文:太田安治/写真:赤松 孝
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BMW「R12G/S」インプレ(太田安治)

BMW
R 12 G/S
2025年モデル
総排気量:1169cc
エンジン形式:空油冷4ストDOHC4バルブ水平対向2気筒
シート高:860mm(GSスポーツ)/875mm
車両重量:234kg
発売日:2025年5月21日(注文受付開始)
税込価格:245万1000円〜269万2000円
オフロードの走破性も重視したキャラクター
BMWのGSシリーズは、オンロードでの快適性とオフロードの走破性を誰もが納得するレベルでバランスさせたアドベンチャーツアラー。しかし車名の「G」と「S」の間にスラッシュが入るR12G/Sは、1980年に登場したR80G/Sと同じく、オフロードライディングでの楽しさと走破性、コントロール性にフォーカスして作り込まれている。
引き締まったデザインゆえに大柄には見えないが、ギャップ踏破能力を高めるためフロントタイヤは21インチと大径で、試乗した「スポーツ」はリアも18インチに大径化されているから、またがると相応のボリュームがある。シート高は875mmで、身長175cm以下のライダーだと足つきは厳しい。約230kgという車重もあって、慣れるまでは乗降時やUターン時に少なからず緊張する。
ところが、走り出すと印象はガラリと変わる。湧き出すようなトルクで6速・2000回転台から車体を揺すりつつ力強く加速し、3000回転台になると等間隔爆発の鼓動と水平対向レイアウトが生むスムーズさが表に出てくる。6速・100km/h時は約3400回転で穏やかに回り、ストレスはない。

想像と違っていたのは前後サスペンションの動き。フロント210mm/リア200mmのストロークを持つだけに加減速時にフワ付きが出そうなものだが、乗車1Gの状態から減衰力がしっかり効いていてピッチングが少なく、オフ車に多い車体のリア下がり姿勢にもならないから、ネイキッドのロードスポーツに近い感触。
それでいて減速帯の連続ギャップ超えのようなストロークスピードが速い状態ではしなやかに動いて乗り心地がいい。試乗車はブロックパターンタイヤ(ミシュラン・アナキーワイルド)を履いていたため低速域では若干のゴロ付き感があるものの、高速道路クルージングは意外なほど快適だ。
ダート路面に入るとトラクションコントロールとABS、アナキーワイルドのグリップ力のおかげで車重とパワーに臆することなく未知の場所へと進んでいける。ダート走行スキルのあるライダーならライディングモードを「エンデューロプロ」にセットすることで、テールスライドやウイリーを駆使してGSの車名に見合ったハードな走りを存分に楽しめるだろう。

ただし荷物の積載スペースが小さく、タンク容量も15.5Lなので現実的な航続距離は300km程度。キャンプツーリング、長距離ツーリングでの利便性はR1300GSのほうが間違いなく優れている。このあたりはBMWの乗り手と走行条件に対する割り切りによるもので、中途半端感がないゆえにG/Sの本格的なオフロード向けキャラクターが際立っているとも言える。
なによりR80G/S を思い起こさせるルックスはR12G/S独自の魅力。ダート走行とは無縁のライダーであっても所有感に浸れることは間違いない。
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