2025年9月26日から28日にかけて、モビリティリゾートもてぎにてMotoGP第17戦日本GPが行われた。

バニャイアが今季初のスプリント優勝

予選ではここまで苦戦を強いられていたフランチェスコ・バニャイア(Ducati Lenovo Team)がポールポジションを獲得。2番グリッドにチームの母国戦となるジョアン・ミル(Honda HRC Castrol )、そして、3番グリッドにはタイトルに王手をかけたマルク・マルケス(Ducati Lenovo Team)がつけた。

最高峰クラスで初の母国凱旋を迎えた小椋藍(Trackhouse MotoGP Team)は13番グリッド、ワイルドカード参戦の中上貴晶(Honda HRC Test Team)は20番グリッドからスタートを迎える。

画像: 日本GPのスプリントはマルチクラッシュにより波乱のスタートとなった。

日本GPのスプリントはマルチクラッシュにより波乱のスタートとなった。

気温28度、路面温度44度のドライコンディションのなか、12周のスプリントがスタート。上位勢がスタートを決めるなか、後方ではホルヘ・マルティン(Aprilia Racing)がターン1で転倒し、複数人を巻き込んだマルチクラッシュが発生してしまった。

マルティンはこの転倒により右の鎖骨を骨折。チームメイトのマルコ・ベッツェッキ(Aprilia Racing)やアレックス・リンス(Monster Energy Yamaha MotoGP Team)、ヨハン・ザルコ(CASTROL Honda LCR)などが煽りをくった。

レースはバニャイアがホールショットを決めると早くもリードを築く走りを披露。その後ろではミルとペドロ・アコスタ(Red Bull KTM Factory Racing)がバトルを展開し、アコスタが2番手に浮上する。

タイトルへのプレッシャーなのか、マルク・マルケスは4番手を走行。5周目にマルク・マルケスはターン10で仕掛けてるもポジションをあげることはできない。時折ラインを外すなど精彩に欠く走りだったが、残り5周のターン10でミルをオーバーテイクし3番手に浮上した。

表彰台圏内に入ったマルク・マルケスは調子を取り戻し、2番手のアコスタに接近。そして残り2周となったところで、アコスタもオーバーテイク。2番手に浮上した。

バニャイアはスタートから一度もトップの座を譲ることなく、2秒の差をつけてトップチェッカー。今シーズン初となるスプリントレース勝利となった。2位はマルク・マルケス、3位はアコスタが入った。

画像: ミサノテストで得た新たなパッケージがバニャイアの速さを取り戻した。

ミサノテストで得た新たなパッケージがバニャイアの速さを取り戻した。

小椋は3つポジションを上げて9位でフィニッシュしポイントを獲得。ファイナルラップではアレックス・マルケス(BK8 Gresini Racing MotoGP)をオーバーテイクしての入賞となった。ワイルドカード参戦の中上貴晶は、14位でフィニッシュしている。

アレックス・マルケスがノーポイントに終わり、マルケス兄弟のポイント差は191ポイントに。決勝ではアレックス・マルケスがマルク・マルケスより7ポイント以上多く獲得しなければならない。つまり、マルク・マルケスが2位を獲得すれば、その時点でタイトルが決定する。

苦難を乗り越えたマルク・マルケスが5年ぶりの年間王者に輝く

迎えた決勝日は雲が広がり青空も覗き込むドライコンディションとなった。そんななか、前日スプリントで入賞を果たし、決勝レースでも期待が高まっていた小椋が欠場を発表。前戦サンマリノGPで負った右手首の負傷によるものだった。

不快感や痛みがあることから、母国GP欠場という苦渋の決断を強いられた小椋だが、次戦以降の戦いに備えることになった。

気温28度、路面温度41度のドライコンディションのなか、24周の決勝レースがスタート。ポールシッターのバニャイアがホールショットを奪うと、スプリント同様序盤から逃げにかかる。

2番手にアコスタが浮上し、マルク・マルケス、ファビオ・クアルタラロ(Monster Energy Yamaha MotoGP Team)、そしてミルは続く。スタートで4位となったクアルタラロだったが、挙動を乱してポジションを大きく落としてしまった。

バニャイアが逃げるなか、マルク・マルケスは11周目にアコスタをオーバーテイク。ミルも14周目にアコスタを攻略して表彰台圏内に浮上した。アコスタはペースが上がらず、その後ベッツェッキやフランコ・モルビデリ(VR46)にも交わされ、ターン1でコースオフするなど厳しい戦いを強いられた。

バニャイアがトップを独走するも、レース終盤になるとマシンから白煙が上がるように。いつエンジンがブローしてもおかしくない状況の中、バニャイアのトラブルを察知したマルク・マルケスが急激にギャップを縮めていく。

画像: いつ壊れてもおかしくない中、先頭をひた走るバニャイア。

いつ壊れてもおかしくない中、先頭をひた走るバニャイア。

しかし、ファイナルラップでその差は2秒だったこともあり、マルク・マルケスがリスクをとることはなかった。バニャイアのマシンは最後まで走り切りトップチェッカー。今季2勝目となり、日本GPを完全制覇してみせた。

そしてマルク・マルケスが2位に入り、2025年シーズンのタイトルが決定。最高峰クラスでは7度目、全クラスあわせて9度目のタイトル獲得となり、バレンティーノ・ロッシの記録に並んだ。3位にはミルが入り、ホンダに移籍後初となる表彰台を獲得した。

画像: 2位でチェッカーを受けたマルク・マルケスが今シーズンのタイトルを決めた。

2位でチェッカーを受けたマルク・マルケスが今シーズンのタイトルを決めた。

2020年に右上腕骨の骨折から始まり、ホンダの不調、転倒と手術の連続、リハビリ、ホンダとの別れなど常人では耐え難いほど苦しい期間を過ごしたマルク・マルケス。しかし、5年という歳月をかけ、弛まぬ努力で再び世界一の座に戻ってきた。

画像: 大型ビジョンにはこれまでの軌跡が流れ、涙を流すマルク・マルケス。

大型ビジョンにはこれまでの軌跡が流れ、涙を流すマルク・マルケス。

これまで6度のタイトルを獲得した時は全て笑顔だったマルク・マルケスだったが、これまでにない苦境があったからか、感情を抑えることはできなかった。5年という年月を経て再び世界タイトルを獲得した唯一のライダーとなったマルク・マルケス。諦めずに戦い続ける大切さと尊さを感じることができた1戦だった。

次戦は10月3日から5日にかけて行われる第18戦インドネシアGP。タイトルを獲得したマルク・マルケス、そして復活を果たしたバニャイアのチームメイトバトルに注目だ。

2025 MotoGP 第17戦日本GP 決勝結果

画像: 今年の日本GPはまさに「復活」という言葉が当てはまるレースだった。

今年の日本GPはまさに「復活」という言葉が当てはまるレースだった。

画像: resources.motogp.com
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レポート:河村大志

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