原付二種相当のEVスクーターとして登場したCUVe:は、すっきりしたスタイルと多機能な7インチ大型TFTメーターなど、先進の装備を備えた期待の1台。走りや航続距離など、気になるその実力を早速試乗検証しよう。
文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
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ホンダ「CUVe:」インプレ(太田安治)

画像: Honda CUV e: 道路運送車両法上の原付二種に分類 定格出力:0.98kW 原動機種類:交流同期電動機 シート高:766mm 車両重量:120kg 発売日:2025年6月20日 税込価格:52万8000円

Honda
CUV e:
道路運送車両法上の原付二種に分類

定格出力:0.98kW
原動機種類:交流同期電動機
シート高:766mm
車両重量:120kg

発売日:2025年6月20日
税込価格:52万8000円

走りは十分上質、あとは今後のインフラ整備次第

都市部では郵便やピザなどのデリバリー業務に使われるEVスクーターや3輪車を見ることが増えた。低めの速度レンジで短距離を往復移動する条件下ではEVのクリーンさ、静粛性といったメリットが活きるが、既存のICE(内燃機関・二輪車はガソリンエンジン)スクーターと置き換わるためには、動力性能、航続距離、車両価格といった複数の「壁」がある。

今回新登場したCUVe:は、ストリートコミューターの主流である原付二種に相当するEVスクーター。ホンダのリリースには「110ccクラスに相当」すると書かれている。同社のディオ110とサイズを比較すると、CUVの方がホイールベースが55mm長いが、これはバッテリースペースの確保と直進安定性を狙った結果。車重が24kg重いことも、1個10kgのバッテリーパックを2個搭載し、その重量増に見合う車体剛性が必要なことを考えれば納得できる。

最高出力はディオ110の8.7PSに対してCUVe:は8.2PSと大差ないのだが、最大トルクはディオの0.92kg-mに対して2.2kg-mと圧倒的に大きく、これは250ccのフォルツァに近い数値。それを僅か2300rpmで発生するのも電気モーターの特徴だ。

その利点をもっとも実感するのがゼロ発進。3種類あるパワーモードを一番強力な「スポーツ」に設定し、既存の原付二種スクーターのつもりでスロットルを一気に開けると、上体が軽くのけぞるほどのダッシュ力を見せる。そのまま一定の力強い加速を保ってトップスピードまで伸びるが、静かなうえに振動もないから、空中を浮遊しているような感覚だ。

これを「スタンダード」にするとスタートダッシュ力は変わらないものの、30km/h程度から加速の勢いが弱まる。交通量の少ない生活道路や住宅街に適したモードだ。3つ目の「ECON」モードは極端にパワーが絞られるので、出番があるとすれば、バッテリー残量が心配なときぐらいだろう。

画像: ホンダ「CUVe:」インプレ(太田安治)

ハンドリングは意図的に軽快感を強調しているようで、走り出すと車重を感じさせないクイックな反応を見せる。キャラクター的にはもっと直進安定性重視でもいいと感じたが、モーター/減速機/スイングアームを一体化したパワーユニットケースがバネ下でドタドタ動く感触もなく、乗り心地は上質。過去に試乗したEVスクーターの中で、最も動力性能と操縦性のバランスが取れている。

価格は車両本体とバッテリーの「モバイルパワーパック」2個、充電器のセットで53万円弱。自治体から出る補助金の額や、実際には70km程度という航続距離、バッテリーのシェアリングサービスである「ガチャコ」のステーションがどこまで増えるか、などの要素で、このCUVe:のストリートコミューターとしての評価は変わるだろう。つまり、車両の完成度には不満はないが、普及するかどうかは今後のインフラの整備次第ということだ。

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