文:丸山淳大/写真:松川 忍/モデル:坂元誉梨
4.ブレーキまわりの確認も忘れずに!
Point1.前後ブレーキパッドのチェック

ブレーキまわりでまず確認したいのがパッドの残量だ。摩擦材が減ってくると熱容量も低下するため、効きも悪くなる。摩耗限度まで達していなくとも、早めの交換を心がけたい。
また、10年以上が経過したような古いパッドはバックプレートから摩擦材が剥がれるようなケースもあるので、残量がたっぷりでも交換を推奨したい。ブレーキの鳴きについては、パッドの残量や組付けに問題が無ければ、安全性に支障ないケースがほとんど。

パッド残量はキャリパー下側から見るとわかりやすいが、頭を突っ込んで肉眼で見るのは大変だ。そこでおすすめしたいのが鏡である。使わなくなったバイクのバックミラーを使うと非常に見やすい。

フロントパッド:CL250のフロントパッドの側面(上写真の赤丸部)には摩耗限度を表す凹みが設けられていた。

フロントパッド:摩擦材に掘られた溝がインジケーターとなっているタイプもある。

リアパッド:CL250のリアパッドは後方から覗き込めば残量確認できた。特に片押しピンスライドキャリパーは2枚のパッドが均等に減りにくいので、片減りがないかもチェックしておく。
Point2.ブレーキフルードのチェック

ブレーキフルードはまず残量を確認する。フルードの液面が低下していたら、パッドの減りがまず疑われるが、もしパッドが減っていないのにフルードが減っているならば、漏れている可能性もあるので、ショップに整備を依頼したい。
フルードは吸湿性が高く、水分を含むと沸点が低下する。汚れ具合では性能低下の判断はできないので、色がきれいだからといって何年も交換しないのはNG。最低でも2年毎に交換したい。

フロント側:マスターシリンダーのリザーバータンク上面が水平になるようにハンドルを切って調整し、サイトグラスのフルードレベルを確認する。LWRレベルより液面が上にあればOK。

リア側:フロントと同じくリザーバータンク上面が水平になるように車体を調整し、上限と下限の線の中にフルードの液面があるか確認する。下限を下回るとブレーキラインにエアが噛むおそれがある。
Point3.ブレーキローターの摩耗をチェック

ブレーキパッドと同じくブレーキローターもまた消耗品である。ローターには摩耗限度が刻印されており、それを下回ったら交換が必要だ。すべての部分で均一に摩耗することはないので、厚みは最も薄い部分で計測する。
また、ローターの割れや歪み、純正セミフローティングタイプのディスクは、ピン部のガタが無いかも併せてチェックしておく。作業時はローターに油分が付着しないように注意。汚れたら中性洗剤でしっかり洗っておく。

ローターの摩耗限度はたいていインナーローター部分に「MIN.TH●●mm」などと刻印されているので計測前にチェックしておく。CL250のリアディスク摩耗限度は4mmと記されていた。

ローターの厚みは真ん中部分が減りがち。厚みの計測は、マイクロメーターかノギスを使用する。摩耗限度を超えて使い続けるとローターのホール部にクラックが入ったり、熱で歪んだりするので、十分注意したい。

パッドが当たる部分の中でも均一に減ることはない。どこが最も減っているかどうかは、金尺やノギスの真っ直ぐな部分を当てて、できた隙間の形状を見ると簡単に判断できる。

パッドが当たる部分の中でも均一に減ることはない。どこが最も減っているかどうかは、金尺やノギスの真っ直ぐな部分を当てて、できた隙間の形状を見ると簡単に判断できる。

針金をレコード針のように使用して確認。ローター周辺のボルトに針金を固定し、先端をローター表面に近づけた状態でホイールを回転させると、簡易的にローターの歪みチェックができる。歪みが規定量を超えたら交換だ。
知って得するOTHER TIPS!

ホイールベアリング
ホイールベアリングのガタやゴロゴロ感は、ホイールを外した際に指で回転させればすぐにわかる。タイヤ交換などのタイミングでメカニックに確認してもらうと良い。

ステムベアリング
前輪をフリーにした状態でハンドルを左右に切り、ゴロゴロ感や引っ掛かりを感じたら、ステムベアリングの寿命を疑う。リアタイヤとサイドスタンドの2点でフロントをアップさせれば簡単にチェックできるが転倒注意!
店主・マルの結びの一言

乗り方の癖が強くてバイクの不調を招くことも
車種や乗り方、走り方によって車体各部品の劣化状況は大きく異なる。
「リアパッドの方が減りがち」といった症状の原因が「実は走行中常にペダルに足が触れていた」とか、「頻繁にパンクする」といった人が「路肩走行多すぎ」など、不調からバイクの乗り方を見直すきっかけにつながることもある。
400cc以上のバイクは車検があるが、指定の点検項目だけではすべて網羅できないので、常日頃から運行前点検や走行中の異変の察知などを心がけたい。
文:丸山淳大/写真:松川 忍/モデル:坂元誉梨