文:丸山淳大/写真:松川 忍/モデル:坂元誉梨
2. フロントフォーク・リアショックのチェック

油圧により減衰力を得ているサスペンションは、オイルシールの劣化やインナーチューブまたはダンパーロッドのサビが原因でオイル漏れが発生する。
オイル漏れが発生すると性能が低下するだけでなく、漏れたオイルがブレーキに付着して危険だ。フロントフォークは分解メンテナンスができるので、オーバーホールが可能。リアショックも専門業者でオーバーホールできるが、一部非分解式ショックの場合は交換が前提となる。

正立、倒立式共にインナーチューブは目で見て確認する。CL250のフォークブーツは工具を使わずにめくり上げることができた。シールへのゴミの噛み込みはオイル漏れの原因になるので掃除しておく。
Point1.インナーチューブのオイル漏れは要注意

漏れたオイルがブレーキに付着すると危ないし、油分が焼き付いてパッドやローターが駄目になる。また、フォークスプリングへの負荷が強くなり、自由長が短くなる(縮んでしまい交換が必要になる)。出先で漏れたらひとまずウエスを巻いてオイルの飛散を防止しよう。

リアショックもオイル漏れや曲がりの有無などを確認する。ツインショックでプリロード調整機構がある場合は、調整が左右で同じ位置になっているかの確認が必要だ。

点サビは1500番くらいのサンドペーパーに潤滑スプレーを吹き、横方向に磨いて除去しておく。フォークの動く方向に磨き傷が付くとオイル漏れの原因となるので、磨く方向に注意。
Point2.左右のプリロードも調整!

プリロードは荷物積載の有無などで調整を行う。スポーツバイクは工具不要でダイヤル調整できるプリロードアジャスターを装備していることもあるが、多くの場合、フックレンチが必要となる。

プリロード調整用のフックレンチは車載工具に含まれていることも多い。CL250は車体右サイドカバー内に車載工具を備えており、その中に入っていた。車載工具の内容も確認しておこう。
Ponit3.フォークのねじれは棒で確認

転倒によりフォークが曲がったり、歪むこともある。ごく簡易的に歪みをチェックする方法をご紹介しよう。フォークに対して直角方向に二本のまっすぐな棒を上下に当ててみる。

そのまま真横から見て、2本の棒がまっすぐ揃っていれば、歪みはないと判断できる。ただし、あくまで簡易的なものなので、走行で違和感があるなら、プロショップに診断を依頼したい。
3.チェーンのたるみ&スプロケットの確認

スムーズな走行のために欠かせないのがチェーンのコンディションだ。チェーンは適切なたるみを保つことと、定期的な清掃&グリスアップが必要となる。たるみ量は車種ごとに決まっていて、数値は車体のコーションラベルなどに明記されている。
チェーンのたるみが指定から外れていたら、調整が必要だ。たるみはリアホイールを回転させつつ全周で確認し、キツイところとたるみの多いところで張りにムラがある場合は、応急的に最も張るところで適正に調整する。

チェーンは上方向だけでなく下方向にも振れるので、必ずチェーン指先で掴み、上下に動かして振れ幅を計測する。CL250は30~40mmのたるみが適正となっている。外れている時は調整が必要。

リアショックが縮むとチェーンが張る車種も多いので、タンデム状態でたるみを確認しておくとなお安心。チェーンの張りすぎでリアショックの動きが悪くなることもある。
Point1.チェーンの寿命はここをチェック!

現在はほぼすべての市販車でブッシュとピンの間にグリスを封入した「シールチェーン」が採用されている。
チェーン寿命はアジャスターで張りきれなくなったら交換とされることもあるが、現代のシールチェーンはそこまで伸びることはない。
伸びに代わって交換の目安になるのが「ピン回り」「固着」「Oリング切れ」の3つの症状。いずれも工具などを使わず見るだけで判断できるので、ぜひ愛車のチェーンを確認してみていただきたい。
なお、チェーン交換時は前後スプロケットも同時に交換する。歯が尖っているように見えなくとも、歯底の部分が減っている。その場合せっかくの新品チェーンとの噛み合わせが悪くなる。

1.ピンまわり
チェーンのピンは規則正しく同じ向きで並んでいるのが正常。もし、回転しているピンがあった場合は、ピンとブッシュ間のグリスが劣化して、焼付いていることが考えられる。

2.ピンの固着
チェーンの中に動かないリンク、もしくは動きが渋いリンクがある場合、ピンとブッシュの固着が考えられる。外からグリスアップはできないのでチェーン交換となる。

3.Oリング切れ
チェーンのプレートとプレートの間にあるOリングの欠損があれば、チェーン交換が必要。シール切れはシールチェーン非対応ルブの使用や有機溶剤の使用で起こることも。
Point2.ハブダンパーのガタつきも要チェック!

必ずエンジン停止状態でスプロケットを掴み、回転方向に揺すってみる。ガタがあればハブダンパーが痩せている証拠。交換が必要だ。リアタイヤ交換と同時にショップに依頼するのがおすすめ。

ほとんどの機種にはホイールとスプロケットの間に「ハブダンパー」と呼ばれるゴムパーツが入っており、急加速時やエンブレ時のショックを和らげる役割を担っている。

このハブダンパーが劣化するとガタが発生し加減速時にギクシャクした不快なフィーリングが出る。