まとめ:オートバイ編集部
ヤマハ「Y-AMT」の特徴
ヤマハ「Y-AMT」の特長
1.クラッチ操作不要でライダーの負担減
2.走りに集中できる素早いシフト
3.走行状況に応じた2種類のATモード

トレーサー9 GT+ Y-AMT

MT-09 Y-AMT

MT-07 Y-AMT
多彩なモデルに展開可能な拡張性の高さも魅力
Y-AMTは、従来のマニュアルミッションにクラッチ制御用とシフトチェンジ用、2系統のアクチュエーターを追加、これらを統合制御することでクラッチ操作を不要とし、素早いシフトワーク、イージーライドによる「操る楽しさ」と「乗りやすさ」を実現している。
シフトチェンジは左スイッチボックスにあるスイッチで行い、シフトペダルを廃止。これは足より指の方がより素早い操作が可能、という理由によるものだ。
採用される各モデルの特性に応じたチューニングが施されているのも特徴。MT-07やMT-09といったロードスポーツでは俊敏でキレのある走りに重きを置いた仕様となっており、スポーティで俊敏な走りを損なうことのない、スムーズで安定感のあるシフトチェンジが可能。
一方、スポーツツアラーのトレーサー9GT+では、ACC(アダプティブクルーズコントロール)と連携し、先行車に合わせて加減速しながら自動で変速を行う仕様となっており、ライダーは路面状況の把握やライン取りなど、本来の走りに集中することができる利点がある。

変速モードはATとMTが選択可能で、ATは通常の「D」とシフトタイミングをやや高回転寄りとした「D+」の2種類が用意されている。MTモードでは本体のライディングモードであるYRCと連携していて、スポーティな走行からゆったりツーリングまで、状況に応じた仕様を選べるのも魅力。
ビギナーには操作の負担減と安心感を与え、ベテランにはライディングの質の向上をもたらすY-AMT。ツーリングからスポーツランまで幅広く対応する、柔軟性が光る新世代ミッションだ。
シフトスピードの向上が生むゆとり
MTシフト | クイックシフター MT-09 | Y-AMT MT-09 | |
---|---|---|---|
変速制御 | - | シフトUP:点火/噴射 シフトDOWN:電子制御スロットル | シフトUP:点火/噴射 シフトDOWN:電子制御スロットル シフトUP&DOWN:クラッチ/シフト |
変速時間(UP) | 0.2〜0.5秒 | 0.1秒 | 0.1秒 |
変速挙動 | △ | 〇(低負荷が苦手) | ◎(全域) |
変速許可 | 常時 | キックダウンなど領域に限定あり | 常時 |
上の表はヤマハがMT-09で比較した従来のマニュアル車、クイックシフターを装着したマニュアル車、そしてY-AMT搭載車の変速制御の仕組みと変速時間、変速許可の内容をまとめたもの。
Y-AMTはクイックシフターと同様の素早いシフトと全域での変速を可能としており、ライダーにより一層のゆとりを与えてくれていることが分かる。
ヤマハ「Y-AMT」のメカニズム

MT-07とMT-09ではスポーツランの一助となるクラッチ操作の解除とシフト速度の向上、走行状況に応じた素早い変速など、多くのメリットをもたらしてくれる。

クラッチ制御とシフトチェンジをアクチュエーターでコントロールさせるシステム。クラッチユニットとミッションはスタンダードと同様。

クラッチ側のアクチュエーターのシステムレイアウト模式図。アクチュエーターからアームを介し、2本のロッドでクラッチを制御する。

MT-09 Y-AMTのカットモデル。左右のエンジン幅からはみ出さないよう、アクチュエーターを傾けてマウントしているのが分かる。

シフトチェンジを制御するロッド。素早い変速を実現するため、ロッドの内部にはスプリングが組み込まれている。

MT-09 Y-AMTの変速用アクチュエーター。コンパクトで軽量なシステムとなっていて、Y-AMT機構の単体重量は約2.8kgとなっている。

グリップの下に見えるのがシフトスイッチ。スイッチ自体はシーソー形状で、慣れれば指ではじくことでアップ/ダウン操作が可能。

クラッチレバーはなく、シフトペダルも廃止。手前に見えるスイッチがシフトスイッチで、こちらはシフトアップスイッチ。

MT-09 Y-AMTのメーター。MTモードなら本体のライディングモード・YRCも選択可能で、スポーツランを積極的に楽しめる

こちらはATモード。スタンダードの「D」と、やや高回転寄りのシフトスケジュールを持つ「D+」の2種類が用意されている。
まとめ:オートバイ編集部