軽量かつコンパクトな車体に排気量895ccの水冷並列2気筒エンジンを搭載したネイキッドスポーツ「F900R」が、2025年モデルで進化。さらなる軽量化と足まわりのアップデートを受け、乗り手のスキルを問わず気軽に走れる仕様となった。
文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
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BMW「F900R」インプレ(太田安治)

画像: BMW F900R 2025年モデル 総排気量:894cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒 シート高:815mm 車両重量:208kg 発売日:2025年2月5日 価格:127万9000円〜

BMW
F900R
2025年モデル

総排気量:894cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒
シート高:815mm
車両重量:208kg

発売日:2025年2月5日
価格:127万9000円〜

足まわりのアップデートで素直な走行フィールを実現

BMWのオートバイと聞けば、まずは伝統的な水平対向2気筒エンジンを搭載したRシリーズ、次いで並列4気筒エンジン搭載のSシリーズ、Mシリーズを思い浮かべる人が大多数だろう。それぞれツーリング、スポーツライディングと、明確な指向でユーザーを魅了している。

ただし車格やパワー特性で気を遣う部分もあり、車両価格も総じて高い。昨年S1000RからR1250Sに乗り換えた自身の経験を踏まえて言うと、気負わず日常的に乗れるのは並列2気筒900ccエンジンのFシリーズ。

BMWはF900Rを「ロードスター」と表現しているが、日本では「スポーツネイキッド」と呼ばれるタイプで、GSX-8SCB750ホーネットZ900MT-09あたりがライバルとなる。

208kgという装備重量はライバル車と比べても特段軽くはないが、ハンドルバーの形状/高さとスリムな車体で押し歩きしやすく、足つき性もシート高815mmという数値から想像するより良好。輸入車だから、BMWだからと身構えるような手強さは一切ない。

エンジンはDOHC4バルブ並列2気筒という、現在ではオーソドックスとも言えるレイアウト。前モデルのF800時代は360度クランクを採用していたが、完全新設計エンジンのF900は270度クランクとなり、出力特性が大きく変わった。

画像: BMW「F900R」インプレ(太田安治)

公道で多用する4000~6000回転あたりの中回転域でスロットル開度に対して忠実に力が盛り上がるから数値以上のパワフルさを感じるし、どこか人間味があってライダーとの一体感が濃く、流すように走っていても退屈知らず。

9000回転超までストレスなく回るが、トップエンド付近になると伸びやかさが薄れてくるから、高回転まで引っ張ってパワーを絞り出すよりも、1~2段高めのギアを選択して中回転域を使った方が間違いなく楽しい。高速道路の100km/h巡航時は6速で4000回転弱。不快な振動はなく、適度なパルスが心地良く響く回転域だ。

このエンジン特性にピタリとマッチしているのがハンドリング。乗り始めはフロントが重く感じたが、ワインディングを駆け回る速度域になると重さが消え、接地感の掴みやすさが際立ってくる。

車体剛性もSSモデルのように高荷重に対応させたものではなく、例えばブレーキを残したままの寝かし込み、クイックな切り返しといった場面で適度に車体全体がしなることで過敏な挙動を起こさない。言い換えれば多少強引な扱い、雑な操作を許容する懐の深さを備えている。

公道での速度レンジに合った車体スタビリティとエンジン特性で、陳腐な表現だが「誰でもどこでも乗りやすくて楽しい」、SシリーズやMシリーズのように体格やスキルを問うことなく、価格も120万円台。気軽に走れるだけではなく、BMWのフィロソフィーがしっかり感じられるのも魅力だ。

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