カワサキのスポーツツアラーとして2011年に登場したNinja1000。2020年にNinja1000SXと名称を変え、さらに根強い人気を獲得してきた本シリーズが、2025年モデルで大幅に進化。たゆまぬ熟成を重ね、新型は排気量だけでなく、パフォーマンスの上質さもアップした。
文:太田安治、オートバイ編集部/写真:赤松 孝、南孝幸

カワサキ「Ninja1100SX SE」インプレ(太田安治)

画像: Kawasaki Ninja1100SX SE 総排気量:1098cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 シート高:820mm 車両重量:235kg 発売日:2025年3月29日 税込価格:198万円 ※撮影車両のロングスクリーン・パニアケースはアクセサリーパーツ。

Kawasaki
Ninja1100SX SE

総排気量:1098cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
シート高:820mm
車両重量:235kg

発売日:2025年3月29日
税込価格:198万円

※撮影車両のロングスクリーン・パニアケースはアクセサリーパーツ。

スポーツツアラーのあるべき姿・性能へと昇華

2011年に登場したNinja1000。その快適さとエキサイティング感の好バランスに魅せられた僕は2012年型を購入し、高速道路メインの通勤と年に数回の長距離ツーリング、本誌でのタイヤやパーツのテストを行いながら11年間で約5万km乗ったが、物足りない、飽きた、と感じたことは一度もない。

とはいえ初代登場から14年が経過しているだけに、そろそろフルチェンジしてもいい頃だと思っていた。しかし2025年型Ninja1100SX SEに試乗し、キープコンセプトで熟成を進めた開発姿勢は紛れもなく正しいと思い知らされた。

エンジンはストロークを3mm伸ばして排気量を1043ccから1098ccにアップ。最高出力/最大トルクの発生回転数はそれぞれ1000回転/400回転下がっている。つまり使う機会のないピークパワーを追わず、常用回転域での力強さを狙った変更で、その恩恵は走り出した瞬間に実感できる。

ゼロ発進ではアイドリング回転からスルリと動き出し、3000回転以下でショートシフトしようが、6速・40km/hから無造作にスロットルを開けようが、何事もなくスムーズに加速する。前モデルで同様の操作をするとギクシャクした動きやノッキングが出ることがあったが、それらのネガ要素は完全に消えた。

もうひとつ見逃せないのは高速道路でのクルージング快適性が引き上げられたこと。前モデルは6速・100km/h時に約4200回転。ツアラーとしては「回っている」感が気になった僕はドリブンスプロケットを3丁小さくして対処していた。

新型は5速と6速のギアレシオがロングに変更されて100km/h時が4000回転に下がり、ハンドルから伝わる微振動も減った。2000回転台でも小気味よく入るシフターと併せ、エンジンの仕上がりには文句の付けようがない。
  

画像: カワサキ「Ninja1100SX SE」インプレ(太田安治)

ビギナーからベテランまで全てのライダーを満足させる懐の深さ

クルージングではしっとり落ち着いていて、スポーツライディングとなればSSモデルを追い回す自在さを備えているハンドリングは初代から変わらないNinjaの魅力。試乗した「SE」はスタンダードモデルより約21万円高価だが、僕はそれ以上の価値を感じる。

以前からカワサキはオーリンズ製サスペンションのセットアップが巧みだが、Ninjaとの組み合わせでは市街地での乗り心地が上質になっているだけではなく、バンクしているときの加減速とギャップ通過時の安定性が明らかに高くなっている。

フロントのブレンボ製キャリパー/ディスクは制動力自体が高いうえにパッドとディスクの当たる感触がレバーに優しく伝わり、微妙なコントロールもしやすい。こうした極上の感覚が約21万円プラスで得られるのは間違いなくお得だ。

今回のモデルチェンジで「極上」から「極成」のスポーツツアラーになったというのが結論。僕の感覚では完成度95%。残りの5%は、さらなる軽量化とシート高ダウン、そして要求レベルを超える改良、思いも付かない変更が加えられる余地として残しておく。

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