創業以来、中古バイクの出張買取サービスという新たなビジネスモデルを確立し、現在は買取に加えバイク購入から保険加入、購入後の整備・点検まで、ワンストップのサービスを提供する「バイク王&カンパニー。2024年12月、代表取締役CEOに就任された澤 篤史さんが語る「バイク王」ブランドの未来とは。
文:齋藤ハルコ/写真:柴田直行、オートバイ編集部

株式会社バイク王&カンパニー

画像1: 〈インタビュー〉バイク王&カンパニー代表取締役CEO澤 篤史さん|お客様と「ともに」、まだ世界にない「感動」を作っていく【ブランドの歴史】

1994年に前身となる「メジャーオート有限会社」を設立。2012年に商号を「株式会社バイク王&カンパニー」に変更。「まだ世界にない、感動をつくる。」をコーポレートミッションに掲げ、ビジョンである「バイクライフの生涯パートナー」の実現に向けて、パイクの買取をはじめ、販売・レンタル・パーツ&用品販売、保険代理販売など、幅広い事業を展開している。


株式会社バイク王&カンパニー 代表取締役 CEO
澤 篤史さん

画像2: 〈インタビュー〉バイク王&カンパニー代表取締役CEO澤 篤史さん|お客様と「ともに」、まだ世界にない「感動」を作っていく【ブランドの歴史】

1998年9月に入社。1999年7月に営業部長に就任し、全国における多店舗展開に尽力。その後、株式上場準備に伴い経営企画室長に就任。株式上場後は経営管理室長、社長室長、企画本部長、マーケティング戦略部門長を歴任し、経営及び営業戦略の立案、実行に従事。2017年バイクライフプランニング事業部担当執行役員、2021年取締役執行役員、バイクライフプランニング事業部管掌、2024年代表取締役CEOに就任し、現在に至る。

──まずは澤さんご自身のバイク歴からお聞きしたいのですが、やはり、入社する前からバイクがお好きだったのでしょうか。

「私の家庭がバイク一家だったんですよ。物心ついた頃からバイクが身近にあって、祖父も乗っていましたし、両親ともに乗ってましたので、なんなら母親のバイクの後ろに乗って保育園に通うような環境でした。当時、母が乗っていたのがRG400ガンマで、父がGSX400。典型的な“スズ菌”一家でしたね(笑)。私自身はスズキに限らず、国産メーカーはひと通り乗りましたし、いまはBMWとKTMも持っていますし、ハーレーに乗った時期もあります。排気量もメーカーも問わず、バイクはすべて乗れば楽しいものですから」

──では、バイク王に入社したのも好きが高じて……という流れだったのですね。

「バイクが大好きで、もともとバイク業界も好きだったからこそ、歯がゆく思っていた部分があって。私は現在48歳ですが、約30年くらい前のバイク業界は、今よりもかなり職人気質な世界だったんですよ。いつも高校の帰り道にはバイク屋さんに入り浸っていたのですが、私にはすごく優しい店長が、バイクを探しに来た免許取り立ての若い人を『うちに素人が乗れるバイクはないから』って追い返した姿を今でも覚えているんです。そういう“一見さんお断り”的な、ちょっと閉鎖的な空気が当時のバイク業界にはあって、それがすごく嫌だったんですね。これはよく社員に言っていることですが、私はバイクに乗った時に『感動』を覚えました。なので昔から、もっと大勢の人にバイクに乗ってもらいたい想いが強かったですし、自分がバイク業界に身を置くことで、ライダー人口の増加に少しでも寄与できたらと考えました」

画像: プライベートでは5台の愛車を乗り分ける筋金入りのライダーである澤さん。写真は今年4月の「ドアオブアドベンチャー」にハンターカブで参加した際の一場面。想像以上にマディな路面に苦戦中!?

プライベートでは5台の愛車を乗り分ける筋金入りのライダーである澤さん。写真は今年4月の「ドアオブアドベンチャー」にハンターカブで参加した際の一場面。想像以上にマディな路面に苦戦中!?

──澤さんの入社が1998年。前身である「メジャーオート有限会社」の設立が1994年ですから、バイク王&カンパニーの黎明期に入社されたわけですが、当時の社内はどのような雰囲気でしたか?

「当社の創業者は石川秋彦と加藤義博の2名ですが、2人が目指した『中古バイクの買取』というビジネスモデルがそもそも新しい業種でした。当時は乗り捨てられた放置バイクが社会問題にもなっていて、中古バイクには“安かろう・悪かろう”というイメージがありましたし、価格もバラバラで、平準化されていなかったんです。入社当初、私は社員4~5人の東京の店舗で働いていましたが、バイク業界で初の業態となる『出張買取』に、お客様からかなり反響をいただいたんですね。ですから、二輪業界の新しいスタンダードをここから作っていこうぜ! という夢ばかりを語っているような、熱い空気がありました」

──現在、バイク王さんは「バイクライフ総合専門店」として全国に79店舗を展開されています。買取に加え、販売やレンタルなど、総合的なバイクサービスを行うようになった経緯をお聞かせください。

「やはり『バイクを売るならバイク王』というCMの印象から、バイク王というと買取のイメージがあると思いますが、現在は『バイクのことならバイク王』というスローガンで、バイクに関する多様なニーズにワンストップでお応えできる事業を展開しています。もちろん会社設立からしばらくの間は、出張買取というビジネスモデルをいかに業界のスタンダードにしていくかに特化して取り組んでいました。ですが事業が拡大し、社員の数も増えていくにつれて、社員から『お客様との交流をもっと増やしたい』という要望が出てきたんです。買取はほぼその時だけのお付き合いですが、小売ですと、お客様との継続的な関係性が生まれるじゃないですか。加えて、おかげさまで当社は現在バイク買取シェアNo.1ですので、小売でも絶対に強いという確信がありました。年間買取台数は10万台以上となりますから、豊富な仕入れ車輌の中から良質な車輌を選び、自社の店舗で直接販売することが可能です。なので質に関しては絶対に負けない自信がありましたし、買取シェアNo.1を獲得したタイミングで車輌販売もスタートすることになりました」

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──近年は店舗でのレンタルサービスも充実していますが、こちらはユーザーのニーズの高まりに応えて始まったのですか?

「免許はあっても継続的にバイクを所有できない事情があったり、置き場所に困る方は多いですから、そうした方々にバイクの楽しさを提供できるレンタルサービスは、バイクファンを増やすひとつの大きなきっかけになるのではないかと考えています」

──買取、販売、レンタルと幅広い二輪事業でお客様に満足していただけるサービスを提供するために、現在はどのような社内システムを構築されているのでしょうか。

「まず買取では、お客様の『できるだけ高く買い取ってほしい』というニーズに可能な限りお応えできるように、買取後、買い取ったバイクを自社の店舗で直接販売できる仕組みがあります。さらに国内外に独自の豊富な流通ネットワークがあり、多種多様なチャンネルを持っているからこそ、今の相場をクリティカルに見定めた金額で買い取ることができます。この見極めがタイムリーにできないと、先々に相場が下がるリスクも見越した、少々保守的な金額で買取ることにつながります。海外バイヤーとの連携も含め、流通網が整備されていることで、今の相場に照らし合わせた旬な価格で買い取ることができるのが、当社のひとつの強みですね。また全国各地に拠点を設け、十分な人員を配置して、最短なら『即日無料出張買取』が可能となる迅速なインフラを整えています」

──バイク販売に関してはいかがですか?

「お客様は『安全に走行できて、且つ綺麗な車輌』を求めています。先ほども申しました良質な在庫販売もそうですが、中古販売では珍しい『100日返品サービス』や『最長7年の長期保証』は、状態の良いバイクで、安心してバイクライフを楽しんで欲しいという想いからご用意しているものです。加えて接客クオリティを上げるために、当社ではお客様満足度を図る指標として、どれだけ当社を周囲にお勧めできるかをお客様から10段階で評価いただく『NPS(ネットプロモートスコア)』を採用しています。また、現在約1000人の従業員のうち約200名が整備スタッフですが、教育チームによる整備技術の向上を図るとともに、それぞれのスキルレベルを評価する独自の社内基準を設けています」

画像4: 〈インタビュー〉バイク王&カンパニー代表取締役CEO澤 篤史さん|お客様と「ともに」、まだ世界にない「感動」を作っていく【ブランドの歴史】

──時代の変化とともに、二輪ユーザーの需要も変化があったかと思います。

「独自の調査によると、昨今のライダーの関心が『手軽』『簡単』などの利便性から、『スタッフの対応が良く、安心して取引ができるショップ』へと変化していると感じます。特に若い世代を中心に安全意識の高まりを感じますし、日本のオートバイ文化が醸成されてきたのかな、と思いますね。変化する世の中の情勢と、それに呼応して変化するライダーのニーズに合ったサービスを展開するために、当社では日々、お客様に向けたアンケート調査を実施して改善に努めていますし、年1回の定点調査として、アンケートによるライダー動向調査を実施しています。リアルイベントでも、直接ライダーとコミュニケーションを取る場を設けるようにしています。また、そうしてサービスの質は担保しながらも、店舗での販売は『気軽』『安心』『選べる』がコンセプトですので、お客様が気軽にフラッと入って相談できる空気感がある、敷居の低いお店づくりをすることも大切にしています」

──レンタルバイクの需要も年々増えているそうですね。

「2007年からスタートしたレンタルサービスの利用件数は、累計4万5000件を突破しました(2025年5月末現在)。広島店と広島店第二ショールームの2店舗でハーレー X350とBMW G310GSのレンタルを開始したり、つくば絶版車館ではZ1、RZ350、NSR250Rなどプレミアム車両のレンタルを行うなど、バイク王のレンタルバイクは、取扱台数の多さを活かした充実のラインナップと豊富な台数が特長です。ワンストップで事業展開しているからこそ手厚くできる補償制度も自慢で、今年3月からは新たに「自損事故補償オプション」と「休車補償免除オプション」の2つの制度が加わりました。レンタルバイクの市場規模はさほど大きくはありませんが、バイクへの興味を高め、バイクを楽しむきっかけになるサービスとして、今後もご期待に応え続けていければと思っています」

大規模な認証整備工場を備える本社に併設された旗艦店

画像: バイク王 世田谷本店 東京都世田谷区若林3-15-4 営業時間:10:30〜19:00(平日)10:00~19:00(土日祝) 定休日:木曜日・第三水曜日 www.8190.jp

バイク王 世田谷本店

東京都世田谷区若林3-15-4
営業時間:10:30〜19:00(平日)10:00~19:00(土日祝)
定休日:木曜日・第三水曜日

www.8190.jp

2023年にオープンした「バイク王 世田谷本店」。本社に併設する大型店舗は、買取・販売・レンタルサービスを提供するとともに、全国に先駆けて新サービスを実施し、より良いサービスを提供するためのモデル店でもある。

通常、一般公開はしていないが、地下には全国のバイク王店舗の中でも有数の広さを誇る認証整備工場を備えており、日々、膨大な在庫車輌の整備やメンテナンスを行っているほか、整備スタッフの育成を行う研修センターとしても機能している。

画像5: 〈インタビュー〉バイク王&カンパニー代表取締役CEO澤 篤史さん|お客様と「ともに」、まだ世界にない「感動」を作っていく【ブランドの歴史】

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