文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
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サクマエンジニアリング「レブル250 トライク サイクル フェンダー」インプレ(太田安治)

SAKUMA ENGINEERING
REBEL250 TRIKE Cycle Fender
総排気量:249cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ単気筒
シート高:690mm
税込価格:104万5000円〜(ベース車両の価格は含まず)
独特の操縦性と存在感はトライクならではの魅力
「トライク」とは車輪が3つある乗り物の総称。4輪自動車より安価で、2輪のオートバイより多くの荷物を運べる実用性の高さから、1970年頃まで自動車メーカーが多くの車種を市販していた。しかし現在のトライクは、独特の乗り味とデザインで、エンスージアストに支持される趣味性の高い乗り物という立ち位置になっている。
茨城県にあるサクマエンジニアリングは、トライクとサイドカーの製作・販売で50年近い歴史を持つスペシャルショップ。今回試乗したレブル250トライクは市販されているオートバイの後部にデフギアを取り付け、リアを2輪駆動とした構造としている。
このトライクは道路運送車両法で「側車付軽二輪」、道路交通法では「普通自動車」に区分される。運転には普通免許が必要(二輪免許不要)だが、都市部の高速道路を含めて二人乗りOK、ヘルメット着用義務はないなど、扱いは自動車に近い。ただしナンバーはオートバイと同じで、高速道路の法定速度が80km/hとなるなど、独自の規定がある。

発進/停止・加減速の操作はオートバイと同じだから動かすことは簡単。しかし曲がる操作と感覚は異なる。オートバイはバンク(車体の傾き)時に前後タイヤが発生する「キャンバースラスト」という力によって旋回するが、トライクは構造上バンクせず、フロントタイヤを左右に切ったときに発生する「コーナリングフォース」で向きを変える。
つまり加減速のような直線的な動きはオートバイと同じで、コーナリングは曲がる方向にハンドルを切る自動車に近い。この独特の運転操作がトライクの面白いところだ。
ハンドルを切るタイミングと量による車体の反応がオートバイとは異なるので、初めて乗るとやや違和感があるが、10分も乗れば慣れて普通に走れる。強引にハンドルを切って急旋回すると遠心力によって上体がコーナー外側に押され、さらに旋回を強めるとコーナー内側のタイヤが浮き上がるので、こうした遠心力による動きを抑えるために上体を曲がる方向に傾けることと、ギャップ通過時の車体挙動を体で覚えればトライク独自の走りを存分に楽しめる。
デフギアが入っているのでUターンのような小旋回も苦にならないが、コーナリング中はハンドルを曲がる方向に向けて切り続ける必要があり、相応の力が必要なのもトライクならではの特徴だ。
操縦性と同じくオートバイとは異なるのが左右に張り出しているリアタイヤの存在。レブル250トライクの全幅は軽自動車規格の1480mmより少し小さい1298mm。操縦に慣れ、車幅の感覚が身に付くまでは接触や脱輪に注意が必要になる。
オートバイとも自動車とも異なる操作と全身に風を浴びる爽快感、そして圧倒的な注目度がトライクの醍醐味。レブル250ベースなので価格や維持費が抑えられているのも大きな魅力だ。