BMWのGSシリーズといえば、いまやアドベンチャーではメガヒットモデルである。各種の搭載された電子制御と緻密に計算された車体構成は、オンロードからオフロードに至るまで、あらゆるシチュエーションで快適なライディングを実現し、そのトータル性能は他社の追従を許さない。そんなGSシリーズの最新モデルが2024年に国内導入されたばかりのR1300GSだ。前モデルのR1250GSからどう生まれ変わったのか、旅に連れ出してテストしてみた。
文:櫻井伸樹/写真:渕本智信

BMW「R 1300 GS」インプレ(櫻井伸樹)

画像: BMW R 1300 GS 総排気量:1300cc エンジン形式:空水冷4ストDOHC4バルブ水平対向2気筒 シート高:850mm(GSスポーツは870mm、ツーリングは820-850mm) 車両重量:237kg 発売日:2023年11月23日 税込価格:287万4000円~ ※撮影車両はツーリング・グレード

BMW
R 1300 GS

総排気量:1300cc
エンジン形式:空水冷4ストDOHC4バルブ水平対向2気筒
シート高:850mm(GSスポーツは870mm、ツーリングは820-850mm)
車両重量:237kg

発売日:2023年11月23日 
税込価格:287万4000円~

※撮影車両はツーリング・グレード

どんな道であろうとも、快適に遠くまで旅ができる懐の深さ

そもそも、「GSとはなんぞや」という方もいらっしゃると思うので、まずは少しだけ触れておくと、BMWのGSとはG:ゲレンデ、S:シュトラッセを掛け合わせた言葉だ。ゲレンデとは不整地、未舗装路、草原、砂地、土漠などを指し、一方のシュトラッセとは「道」、すなわち舗装路のことを指す。つまりは地球上のあらゆる場所を走れるバイクということだ。初代GSは1980年に発売された「R80G/S」で、これはGとSの間に/が入っていたことで、俗にスラッシュなどと呼ばれる。

そんなGSシリーズはエンジンバリエーションも豊富。単気筒、水平対向2気筒、並列2気筒とあり、排気量も310ccから1300ccまでさまざま。主流となる水平対向(Rシリーズ)モデルは1000cc、1100cc、1200cc、1250cc……と、34年の歴史とともに排気量は大きく、エンジンは空油冷から空水冷へと進化してきた。そして2023年はBMWがちょうど創業から100周年にあたる記念の年だったことから、そこに合わせてこのR1300GSが披露されたわけだ。

それまでフレームはスチール鋼管パイプだったものを角型鋼板に変え、リアフレームはなんとアルミのダイキャスト製に。完全新設計のエンジンは単体で3.9kgの軽量化を実現。欧州モデルでは1250GGSよりも12kgも軽い237kgの車重を達成し、車高を30mm下げるアダプティブビークルハイトコントロールや、前走車との車間を自動で調整するアクティブクルーズコントロールを搭載するなど、完全なフルモデルチェンジといえるものになっている。

画像1: BMW「R 1300 GS」インプレ(櫻井伸樹)

1990年代の1100、1150は実に大柄で、日本人では乗りこなせないほどの車格だった。それが不評だったのか1200でややスリムになり、2013年に空油冷から空水冷に変った段階で大きく進化。さらなるスリム、軽量化が図られたが1300になり、それはさらに加速。排気量の拡大でパワーもトルクも上がったのに、車体は167cmの筆者が乗ってもコンパクトに感じるほど。筆者はR1250GSを所有しているから、両車の差はあきらかだ。

まず、停止状態から車体を起こすのが軽い。コンパクトになったといえ、その車格から考えれば拍子抜けしてしまうほどだ。跨ってみると、燃料タンクとカウル、スクリーンのボリューム感が前モデルの2割減といった印象。乗車姿勢で周囲の視界が広く、路面もよく見える。クラッチの軽さは同シリーズならではだが、街中のせわしないシフトチェンジもスパスパ決まりスムーズ。ハンドリングもどこかに違和感を覚えることなどなく、非常にナチュラルなもの。

今回試乗したモデルは、自動車高調整機能やアクティブクルーズコントロール(ACC)を搭載した、ツーリングモデルだ。高速道路では、電動スクリーンで風圧を自在に調整でき、ACCのおかげでライダーは車線の左右だけを注意していればいい。

ワインディングに入ると、その車体はさらに軽快感を増す。BMW独自のフロントサスペンション=テレレバーシステムが、コーナーリングでしなやかかつ剛性の高いグリップ感を生み、20年以上熟成されてきたABSは充分以上の減速性能を持つ。その上で、車体からライダーへはダイレクトな挙動が伝達され、路面の様子が逐一わかるほどだ。

画像2: BMW「R 1300 GS」インプレ(櫻井伸樹)

このダイレクト感こそが進化したフレームとテレレバー、パラレバー(リアサス)が生み出すディメンションによるところなのだろう。足の長いアドベンチャーモデルでは前後のピッチング挙動が起きがちだが、このGSにはそれがほとんどない。試乗を始めて短時間の間に、ワインディングから狭路でのUターンまで、手足のように扱えてしまうようになることにも驚かされる。

高い剛性感、進化した電子制御システム、熟成された前後サスペンション、そして上質な各部の仕上げ……。筆者も所有する前モデルのR1250GSですら、すでに他の追従を許さないほどの性能を持つと思われたのに、BMWはこの1300でさらに他社を突き放した『快挙』を成し遂げた。そこから見えるのは、誰もがぱっと乗って乗りやすく、どんな道であろうとも快適に遠くまで旅できるという、BMWがGSで積み上げてきた歴史をさらに一歩進める、とんでもない懐の深さなのである。

GSファン待望のアドベンチャーモデルは『BMW MOTORRAD DAYS JAPAN 2024』でお披露目

BMW R1300GS ADVENTURE

画像: BMW R 1300 GS Adventure 発売日:2024年9月7日 税込価格:333万5000円~

BMW
R 1300 GS Adventure

発売日:2024年9月7日
税込価格:333万5000円~

今回試乗したR1300GSの機能を、よりロングツーリング仕様として強化したのが『R1300 GS ADVENTUREシリーズ』。ドイツ本国では2024年7月に発表された同シリーズも、2024年9月7・8日に白馬で開かれたBMW MOTORRAD DAYS JAPAN 2024の会場で、日本国内でも初お披露目された。R1300GSとの主な差異は、タンク容量の30Lへの拡大、スクリーンの大型化、より高い重量の荷物を積載するためサブフレームをアルミ角パイプに置換したことなど。

BMW「R 1300 GS」カラーバリエーション

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  • 画像1: 【レビュー】「R 1300 GS」インプレ(2024年)BMW創業100周年を記念して登場!“GS”の歴史や変遷と合わせて解説
    レーシング・ブルー・メタリック
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    ブラック・ストーム・メタリック
  • 画像3: 【レビュー】「R 1300 GS」インプレ(2024年)BMW創業100周年を記念して登場!“GS”の歴史や変遷と合わせて解説
    アウレリウス・グリーン・メタリック
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    レーシング・ブルー・メタリック
    53
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    ブラック・ストーム・メタリック
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    アウレリウス・グリーン・メタリック
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