ツーリングでの動向をきっかけに修理の延長から製作
2011年にカスタムビルダー世界一を決めるショー、アメリカのAMDワールドチャンピオンシップにホイールとエンジンの機能部以外フルアルミ叩き出しし、Vツインエンジンながらも惜しみなく空冷Zのエッセンスを注ぎ込んだ“TAVAX 2011V”を持ち込んで優勝、世界一と認められたタバックスエンジニアリング・田端 賢さん。大のZ好き、アルミ好き、ゴジラ好きで、惜しくも’21年に亡くなった田端さんが手がけた、自身用以外で作った最後のフレームによる車両がこのZ1-Rだ。
「フレームは田端さんが多く作っていたアルミではなくて鉄なんですけど、スイングアームピボットまわりがモナカ構造になっていたり、シートレールもエンジン、シリンダーヘッドの上面と平行になるように加工していたり、見る人が見るとびっくりするようです」と、オーナーの北川さん。
![画像1: ツーリングでの動向をきっかけに修理の延長から製作](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2024/05/13/8bd4b1dbf90e96b99de08b073f56c4c4d84cdd1f.jpg)
カウルやタンクなどの外装、スイングアーム、そしてこれも中空合わせのフォークブラケットに前後フェンダーなど、各パーツは当然のようにタバックス製。しかもひとつひとつのパーツをハンマーで叩き、溶接し、サンドペーパーで磨いて仕上げた文字通りのハンドメイド。
「フロントフォークの下に着いたウイングのようなパーツもリヤウインカーステーの形に合わせて作られました。スプロケットカバーもモナカ構造、セルモーターカバーもエアを導いて熱を抑えるような作り。シート下のフェンダーも田端さんが“ここまでやった車両で普通の板のままはないよね”って、オイルキャッチタンク兼用で作ってくれました。
私も元々Zが好きでこの車両に乗っていたんですが、事故のあと、フレームもエンジンも調子を崩していたんです。それが人づてで田端さんとツーリングに行った時に“これ、直そうか?”って言われたんです。それから約2年(’18年頃に完成)、このような形で作ってくれました。私は直れば十分と思っていたのですが、田端さんが自身の頭の中にある設計図とこだわりに従ってどんどん作業を進めてくださったんです。前後18インチにもなって、アルミとも合わせて軽くて乗りやすいです」
![画像2: ツーリングでの動向をきっかけに修理の延長から製作](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2024/05/13/6d86512fc4b8155d9b07dbcde47242b75d679e7b.jpg)
仕上げは白×濃紺で、田端さん自身のZに同じタバックスカラー。見れば見るほど細部にも、全体にも引き込まれる作り。オーナー・北川さんが貴重な車両を見せてくれたことにも、ありがたい気持ちが出てくる。
▶▶▶ヘリテイジ&レジェンズが取材した最新のカスタム・バイクはこちら!
Detailed Description 詳細説明
![画像1: Detailed Description 詳細説明](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2024/05/13/112674885ea222f2439e8f69a1b9e85836a269b2.jpg)
トップブリッジは田端さんがハンマーで叩き出して作った構成各ピースを溶接したアルミ中空構造で、仕上げもサンドペーパー磨き。メーターはZで、エンジン回転計はスタックST200をビルトインしている。左右マスターシリンダーはブレンボレーシング。
![画像2: Detailed Description 詳細説明](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2024/05/13/f96d81fa74f19a48a52ff2b326da255f7318df4d.jpg)
角型ロングの純正形状をなぞりながらエンド部を1段下げ、底面もシリンダーヘッド上面と平行になる造形とした燃料タンクも当然、アルミハンドメイド。カウルほか外装(ここでは装着していないがアンダーカウルもある)やミラー、ウインカーにステップ、ステー類もすべてタバックス・アルミハンドメイドだ。
![画像3: Detailed Description 詳細説明](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2024/05/13/b1963df4734204f2b3e8adfe02ad710c71cf8c23.jpg)
シートは成型した上で表皮を張り替え。ウインカーステーは上下2段のレイヤードタイプ・デルタ形状をアルミでハンドメイドしたものだ。
![画像4: Detailed Description 詳細説明](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2024/05/13/764ab397ed6a820fea5c0c09a26405f73431b4cb.jpg)
シート下、ウオタニSP2点火ユニットが載るのはオイルキャッチタンクを兼ねたフェンダーレスKIT。こんなところまでも田端さんは配慮してハンドメイドしていた。
![画像5: Detailed Description 詳細説明](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2024/05/13/5e5df3ff588a08b68616fd814ef979ff852b66e3.jpg)
スチールでモナカ合わせとしたピボット部もこのオリジナルフレームの特徴のひとつ。ステップもハンドメイド、デルタ形状でその直後のマフラーステー、別項で紹介したウインカーステー、フォークボトムのパーツとイメージを揃えたフットレストももちろん田端さんによるアルミハンドメイド品だ。
![画像6: Detailed Description 詳細説明](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2024/05/13/0bdc35ee9c55c23feba86f541ac972dab9fe1c19.jpg)
配線類もすべて新作し、エンジンも修理されて調子良くなったが、以前のクランクケース割れからのオイル漏れの可能性を避けるため、オーナーが後にJ&J製1045cc仕様のコンプリートエンジンを購入して搭載している。オイルクーラーステーもアルミ製。
![画像7: Detailed Description 詳細説明](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2024/05/13/e7481789c8bc8e65a2543b8c93d96b1ef417f465.jpg)
キャブレターはFCRφ35mmをセット。その前下に見えるのはデルタ形状のアルミプレートで、これは全体の雰囲気を整えるパーツだ。
![画像8: Detailed Description 詳細説明](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2024/05/13/66097a958d5a5a13bf4b2b75099b686b057593b3.jpg)
クラッチは油圧駆動化されるが、周囲に溶接ビードが見えるスプロケットカバーもタバックス製中空構造品を使う。
![画像9: Detailed Description 詳細説明](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2024/05/13/e2d57de51c1e0d78926c7a9561648309608cb3ad.jpg)
フロントフォークはXJR1200用を元に、ボトムケースに0.5mmほどの段差を複数箇所加えて'80年代ファクトリーレーサー感を出すという田端さんのこだわりの加工も施す。下にはこの車両のみと思われるアルミプレートを追加。デルタ形状をベースに、前側はスリットを設けてブレーキディスクが干渉しないようにしている。フロントブレーキはブレンボ・アキシャル4Pキャリパー+GSX-R1100純正ディスクの組み合わせだ。
![画像10: Detailed Description 詳細説明](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2024/05/13/796bf91a32de409e8578f15fd42f6874d71a4d65.jpg)
スイングアームやキャリパーサポート、前後フェンダーもアルミハンドメイド。ゴジラのシルエットとTavaxロゴを組み合わせたステッカーが貼られたマフラーもタバックスオリジナル。リヤブレーキキャリパーはブレンボ2ピストン。
![画像11: Detailed Description 詳細説明](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2024/05/13/41562a23b7d727d52c9e86d73a608a979d1204b3.jpg)
3本スポークのホイールは田端さんが好んだTZ250用18インチでリヤショックはオーリンズ・グランド・ツイン。ドライブチェーンはRKの50UWRを使っている。