4月26日から28日、スペインのアンダルシア地方にあるヘレス・サーキット-アンヘル・ニエトで第4戦スペインGPが開催された。これまでも多くの熱狂的なファンが足を運ぶイベントだが、今年は過去最多となる296,741人を動員。コロナが落ち着きをみせた中、ヘレスらしい最高のシチュエーションでレースが行われた。

大本命がまさかの優勝争いから脱落! ベイヤーが貫禄の走りで今季初優勝

3戦中2勝と絶好調のランキングリーダーであるダビド・アロンソ(CFMOTO Aspar Team)はヨーロッパラウンドに入っても好調をキープしていた。金曜日のフリー走行から土曜日の予選まで全てのセッションでトップタイムをマーク。Moto3クラス2年目のコロンビアの新鋭は昨年放った眩い輝きを今年も放ち続けている。もちろん、今大会も優勝候補筆頭であった。

2番グリッドに母国で初優勝を狙うダビド・ムニョス(BOE Motorsports)、3番グリッドにはコリン・ベイヤー(Liqui Moly Husqvarna Intact GP)がつけた。

日本勢の最上位は山中琉聖(MT Helmets - MSI)の5番グリッド。ここまで苦戦が続いていた山中だが、今季ベストグリッドを獲得した。鈴木竜生(Liqui Moly Husqvarna Intact GP)は9番グリッドでこちらもシングルグリッドを獲得。開幕戦で3位表彰台を獲得した古里太陽(Honda Team Asia)はタイムを上げることができず、後方21番グリッドからのスタートとなった。

大観衆が見守る中、19周の決勝レースがスタート。2番グリッドスタートのムニョスがスタートを決め、アロンソをパスしトップに浮上する。しかし、ペースが良いアロンソはトップでレースを進めるため、バックストレートエンドのブレーキングですかさずトップに返り咲く。

バトルになるとアグレッシブな動きを見せるムニョスが背後にいるだけに、ペースを上げギャップを築きたかったであろうアロンソ。しかし、はやる気持ちがあったのかオープニングラップの最終コーナーでまさかのスリップダウン。すぐにマシンを起こしレースには復帰できたが、最後尾までポジションを落としてしまった。

画像: アロンソの転倒後、リーダーに躍り出たベイヤーは先頭集団を引っ張っていく。 www.motogp.com

アロンソの転倒後、リーダーに躍り出たベイヤーは先頭集団を引っ張っていく。

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アロンソの転倒後、首位に立ったのはベイヤーだった。ベイヤーは安定したラップを刻んでいき、トップ集団は上位6名に絞られる。山中は5番手につけ、表彰台争いに加わっていく。

ベイアー、ムニョス、イヴァン・オルトラ(MT Helmets - MSI)のトップ3が抜け出していき、山中もこのペースアップに反応。ジョエル・エステバン(CFMOTO Gaviota Aspar Team)を抜き、4番手に上がると上位3名に喰らいつく。

先頭のベイヤーが安定したラップをコンスタントに出したことにより、集団に大きな動きがなくラップが消化されていく。2番手につけるムニョスがラストスパートを仕掛けるもベイヤーには届かずファイナルラップへ。

先頭に出てからは一度も首位を譲らなかったベイヤーがトップチェッカー。今季初優勝となった。2位はムニョス、3位はオルトラとそのままの順位でフィニッシュした。

山中は終盤にトップ3から離されてしまったが4位でフィニッシュ。しかし、前戦に続いての4位だけに悔しい結果でもあった。

オープニングラップでまさかの転倒を喫したアロンソは11位までポジションを上げてゴール。優勝が固かったレースだけに悔やんでも悔やみきれない結果となった。

画像: 転倒後、単独ながら追い上げを見せるアロンソ。 www.motogp.com

転倒後、単独ながら追い上げを見せるアロンソ。

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鈴木はシングルフィニッシュ圏内でレースを進めるもマシントラブルにより戦線離脱。一度ピットに戻るも再スタートし、25位でチェッカーを受けた。古里も17位とポイント県外でのフィニッシュ。週末を通して厳しいレースになってしまった。

2024 Moto3 第4戦スペインGP 決勝結果

画像: resources.motogp.com
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チャンピオンシップはオルガドがリードもアロンソとベイヤーが迫る

第4戦スペインGPではランキング首位のダニエル・オルガド(Red Bull GASGAS Tech3R)は優勝争いに食い込むことができず7位入賞に終わった。しかし、ライバルのアロンソの自滅によりランキング首位の座は堅持している。

一方、アロンソにとってはオルガドとの差を詰める絶好のチャンスだっただけに勿体無いレースになってしまった。とはいえ、最後尾からの見事な追い上げにより5ポイントを加算。74ポイントのオルガドに対し、6ポイント差の68ポイントでランキング2位、今年はこの2名のタイトル争いになると思われる。

画像: 優勝したベイヤーはランキング3位に浮上。今後オルガドとアロンソに追いつけるパフォーマンスを見せてくれるのだろうか。

優勝したベイヤーはランキング3位に浮上。今後オルガドとアロンソに追いつけるパフォーマンスを見せてくれるのだろうか。

しかし、今回優勝したベイヤーもダークフォース的存在と言えるのではないだろうか。第4戦で今季初優勝を挙げたベイヤーだが、先頭でレースをリードしていき、最終的には2位以下に隙を与えることなくトップチェッカーを受けた。集団を引っ張るスピードをコンスタントに刻めるライダーはMoto3クラスにはそうはいない。今回の優勝は強いライダーの証とも言える勝ち方で掴み獲ったものであり、失礼ながらこのようなベイヤーのこのような勝ち方は予想外であった。

オルガドとアロンソが本命であることに変わりはないが、今回のレース運びを見るとベイヤーもタイトル争いを面白くしてくれる存在になりそうだ。次戦は5月10日から12日にかけて行われるフランスGP。タイトル争いが一騎打ちの様相を呈するのか、はたまた三つ巴の戦いに変化するのか、新たな伏兵が現れるのか、次戦も見逃せない戦いが続く。

レポート:河村大志

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