製造年代なりの不足点を補いリセットと再構築を図る

ファイナルエディションをベースに各部を再構築し、今空冷カタナに乗るために必要なパートを変更。その上で前後18インチ化やシート/ステップなど操作系の変更も加えたカタナ。テクニカルガレージRUNによるもので、製作自体は少し前だが、’80年代モデルに今後乗っていく上で、何が必要なのかという疑問に答える作りが込められている。その前提となる内容を同店・杉本さんに聞こう。

「まず言っておきたいのは、もし当時の新車そのものが経年なしでここに再現されたとしても、今の環境下では不足があるということです。発売当時のトップモデルだったGSX1100Sカタナでもです。当然なことなんですけど、作られた基準自体も、当時の環境に合わせたものなんですね。ですから今見てしまうと、どうしても足りない部分が出てくる。

カタナにはファイナルエディションがあるという考えも、捨てましょう。基本が40年前のままで、もう20年は経った車両です。そこは本当に把握し、理解してほしいです」

環境は、道路事情や交通量。まわりを走る車両の量や、性能の向上ということもある。当時からバイクに乗っているけど、人間は変わらないからバイクがそんなに劇的に変わっていないだろうという向きもあるだろうが、実際にはさまざまなことが変わっている。そこに気付いておきたい。では不足とは、どこだろう。

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「安全、安心という部分です。そのためにまずはブレーキ。マスターシリンダーにキャリパーとパッド、ディスク。これらを現代の信頼できるパーツに換えて制動力を確保し、コントロール性も高めます。

すると当然、前後サスペンションの能力不足も顕著になりますので、グレードを上げる方向で手を入れます。リヤショックは交換、フロントフォークも交換が理想ですが、モデルやユーザーの好み、使用方法によっては、内部のチューニングで対処します。

そうなるとタイヤも制動力やサスペンションの性能を引き出す、現代の信頼できるものに換えることになります。純正でフロント19インチのカタナでも、NEWスペックの適合品を選んで、グリップをしっかり高めましょう。

これら重要保安部品が不足となりますから、新しい世代で信頼できるものにしてください。完調ならばカタナは余裕で200km/hで巡航できるパワーがあるんです。でも完調であっても純正そのままでは、急なアクシデントや予期しないトラブルに対応するのが難しいんです。もはや古いもの。そこを理解するのは乗る側の義務ではないでしょうか」

いかに車速や姿勢をコントロールし、きちんと止まれるか。先にそこを考えるべき。新車を前提にして考えてもということ。ならば今実際にある車両=経年した車両なら、それを新車に近い状態にした上で、この不足分を補う、つまりベース側の再構築も考えるべきだ。

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「そこを理解されて、フレームも外観もホイールも純正のまま、一度きれいにして再塗装した上で先ほどのような不足補完を行う方も多くいらっしゃいます。エンジンのオーバーホールやキャブレターについても同様ですね。消耗品や電気系など、今後劣化が考えられるものは新品交換または再仕上げで、ここから改めて車両のスタートというリセットをする。

必要な箇所には適量で給脂や給油を行って、ボルト類は基本新品交換の上、トルクレンチを使って正しく締め付けトルクを管理する。新車からの販売実績と多くの車両や状況の経験も合わせて、組みます。その上で、車両としてのバランス取りをして仕上げます」

これ=オーバーホールとアップグレードの組み合わせができて初めて、’80年代車両を楽しむベースが出来る。

「このようにリセットし、今の環境に合うように再構築してあれば、それがスタートラインにできます。このコンプリートではアップグレードも行っていますし、長く楽しめると思います」

今名車・カタナに乗るために、ベースを作った上で前後18インチ化し、さらに軽量化や上質感を高める手を入れる。この車両はそのままTG-RUNのヴァージョンアップ・コンプリートの一例でもあって、ここまでの杉本さんの説明をそのまま反映した見本的な1台なのだ。

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Detailed Description 詳細説明

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ファイナルエディションのシリアルプレートが張られたトップブリッジおよびステムはノーマルで、フォークオフセットは純正そのままの50mm。ハンドルは純正鍛造セパレートでメーターも純正ワンボディ。

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フロントマスターはブレンボ・レーシングでピボットピンの抜け止め加工などはTG-RUNオリジナルの定番。クラッチはノーマルのワイヤ式。ミラーはマジカルレーシング・NK-1ミラーのタイプ1ヘッドを使う。

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燃料タンクほか外装はGSX1100SY(ファイナルエディション)純正で、良好な状態が保たれている。

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シートは低反発フォームを使ったTG-RUNスポーツ&コンフォートシートで、着座位置を適正化し足着きも高め、コントロール性やコンフォート性も高める。今カタナに乗るためのお勧めと言えるものだ。

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1074ccのエンジンはノーマルで、きれいな状態を作る。A2017材削り出しのTG-RUNビレットエンジンマウントキットによってエンジンを規定位置に積み、ハンドリングも向上している。

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BS34キャブレターも純正。フレームも見直した上で純正シルバーからブラックに塗装する。このフレーム見直し→再塗装も今やっておいくことで長く乗るプラスになるものだ。

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ステップはTG-RUNのバリアブルステップキットで操作性を向上する。ピボット上のフレーム補強はファイナルエディション純正の特徴でもある。

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フロントフォークはφ37mmの純正をスプリング変更等でリセッティング。フロントブレーキはブレンボアキシャルCNC 4Pキャリパーにサンスター・ワークスエキスパンドディスクの組み合わせ。

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リヤブレーキおよびアルミスイングアームはカタナ純正で、リヤショックはオーリンズ・フルアジャスタブル。排気系はケイファクトリー・フルチタンだ。

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ホイールはアルミ鍛造のPMCソード・ヘリテイジで1.85-19/2.50-17から2.75-18/4.00-18サイズに。各部軽量化や高精度化もあって、ドライブチェーンはRKの525XXWにコンバートされる。

取材協力:テクニカルガレージRUN

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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