予選ではマルティンがポール獲得でバニャイアに先行
予選Q1には前戦オーストリアGPで初の表彰台を獲得したファビオ・ディ・ジャナントニオ(Gresini Racing MotoGP)やマルク・マルケス(Repsol Honda Team )、アレックス・マルケス(Gresini Racing MotoGP)のマルケス兄弟、ジャック・ミラー(Red Bull KTM Factory Racing)らが出走。
セッションはアレックス・マルケスが1分29秒892を記録し、暫定トップに。そこにマルク・マルケスがそこに続き暫定2番手につける。
後半セッションに入るとマルク・マルケスはミラーの後ろでアタックを行いタイムアップに成功。1分29秒830で暫定トップに躍り出る。
しかし、アレックス・マルケスがラストアタックで1分29秒743をマーク。兄マルク・マルケスとともに、マルケス兄弟が揃ってQ2進出を決めた。
ディ・ジャナントニオは惜しくもQ1で3位となりQ2進出ならず。中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU )も6番手タイムでQ1敗退に終わっている。
ポールポジションが決まる予選Q2ではマルティンが躍動。いきなりレコードタイムを更新し、暫定トップタイムを記録する。
マルコ・ベッツェッキ(Mooney VR46 Racing Team)もこれまでのレコードタイムを上回り2番手につけるなど、ドゥカティ勢が上位を独占。しかし、ランキングトップのバニャイアは6番手留まりとトップ5に食い込むことができないでいる。
その後、バニャイアはタイムを更新するも、各車セクタータイムを更新する走りを見せる。その中でも速かったのはやはりマルティンだった。1分29秒287のレコードタイムを樹立してのポールポジション獲得となった。
予選2番手にはルカ・マリーニ(Mooney VR46 Racing Team)、予選3番手にはアレイシ・エスパルガロ(Aprilia Racing)が入った。バニャイアは6番手で予選を終え、ライバルであるマルティンに先行される結果となった。
スプリントで優勝したマルティンが着実にバニャイアとのポイント差を詰める
予選後に行われた13周のスプリントレースは、前戦とは打って変わって気温33度、路面温度47度と暑いコンディションとなった。
スタートでは2番グリッドスタートのマリーニが良い蹴り出しを見せたが、マルティンがトップを死守。トップでレースをリードしていく。一方、バニャイアはスタートで9番手までポジションダウン。チャンピオン争いを繰り広げる両者にとって明暗分かれるスタートとなった。
マルティンがハイペースで逃げるため、集団は縦長に広がっていく。2番手のマリーニはブラッド・ビンダー(Red Bull KTM Factory Racing)とのバトルを強いられる。
リードを広めていくマルティンだったが、手を緩めることなく快走。終盤には安全マージンと言える2秒差をつけゴールを目指す。
2番手争いではマリーニを攻略したビンダーが2番手に浮上しマルティンを追う。最終盤にはマルティンとの差を1秒にまで詰める力走を見せるも、ギャップを守り切ったマルティンがトップチェッカーを受けた。
ビンダーが2位、マリーニが3位に入り表彰台を獲得。スタートでポジションを下げたバニャイアは立て直すも7位でフィニッシュ。この結果、バニャイアとマルティンとのポイント差は18となった。
今シーズンから導入されたスプリントレースで7勝目を挙げたマルティン。直近のレースでポイントを稼げなかった中、まずは第一関門を突破した格好だ。再びランキングトップに返り咲くため、決勝でも優勝を狙う。
中上は2周目のターン12で無念の転倒。レースには復帰し、19位で完走を果たしている。
激戦を制したマルティンがタイラウンドを完全制圧!バニャイアは意地の2位獲得
決勝前には黒い雲が確認されたが、天候は崩れることなくドライコンディションでのレースとなった。気温31度、路面温度37度という暑い中、26周で決勝レースが行われた。
スプリント同様、マルティンがマリーニとのバトルを制し、トップでターン1へ突入。3番グリッドスタートのエスパルガロもスタートを決めマリーニを抜き2番手に浮上した。
後方ではバニャイアもスタートを決め5番手にポジションアップ。先頭のマルティンは、前戦オーストラリアでの教訓を活かし、リスクを犯さずライバル勢と同じタイヤを選択。さらに、後半のペースダウンを防ぐため、前半はペースを抑えて走行。上位勢は集団となりレースは進んでいく。
スプリント同様、マルティンを狙うのはビンダー。2番手に上がり、マルティンにプレッシャーをかけていく。バニャイアもペースを取り戻し、10周目にはマルク・マルケス、エスパルガロ、そしてマリーニも攻略し4位に浮上した。
14周目、3位走行中のアレックス・マルケスがターン10で転倒。これによりバニャイアが3位に上がり表彰台圏内に入ってきた。4位のマリーニはペースが上がらず、優勝争いはマルティン、ビンダー、バニャイアの3台に絞られる。
緊迫した3台による緊迫したトップ争いは残り6周に動きが。2位のビンダーがターン3でマルティンに仕掛けるもマルティンが抜き返し優勝争いが激しさを増してきたのだ。
ブレーキングで抜ききれなかったビンダーだが、残り5周のターン8でマルティンをパス。最終盤でトップにたった。しかし、マルティンも諦めない。残り2周のターン3でビンダーを抜き切りトップの座を奪い返す。
残り2周の最終コーナーではアウト側からバニャイアも仕掛け3ワイドになる激戦に。順位は変わらず接近戦のままレースはファイナルラップに突入する。
しかし、ビンダー、バニャイアともオーバーテイクを仕掛けるまでには至らずマルティンがトップチェッカー。ポールトゥウィンで今季4勝目を達成した。
ビンダーは2位でチェッカーを受けたが、ラストラップにトラックリミットを取られ、1ポジションダウンの裁定が下った。これにより、バニャイアが2位に繰り上がり、ビンダーは3位となった。
バニャイアにとっては貴重な2位となったが、週末を通してマルティンにポイント差を詰められてしまった。残り3戦で両者のポイント差は13。2週間後に行われる第18戦マレーシアでもマルティンとバニャイアのバトルから目が離せない。
2023 MotoGP 第17戦 決勝結果
レポート:河村大志