※本企画はHeritage&Legends 2022年11月号に掲載された記事を再編集したものです。
試乗開始、たった1分でハッキリと差がわかる!
初めに結論を言ってしまおう。スゴい、これ。パフォーマンスダンパー、イイ! 今回、アクティブのデモ用カスタムDAEGを使って、パフォーマンスダンパーの装着、取り外し、さらに装着ステーのみ取り付け状態の3仕様で乗り比べてみたけれど、その違いはハッキリと分かるものだった。
まずはダンパー装着状態。特にいつもDAEGに乗っているわけでもないし、今回の車両には前後サスともハイパープロ製品が組まれていて、スイングアームもアクティブオリジナルの製品の付いたカスタム車両だった。正直、素性もよく分からないままに試乗となったわけなのだが……。
パフォーマンスダンパーを意識して乗ってみると、タンク下のエンジンをはじめとした重量物がカッチリ固まっているというか、ギュッとコンパクトに凝縮した感じはあった、そんなレベル。
次にパフォーマンスダンパーを外す。これがもう、アイドリングだけでよく分かる。ハンドルに伝わる微振動から違うのだ。もちろん、不快な振動ではないけれど、ダンパー装着時と比べてよりダイレクトに両手に伝わってくる。
走り始めるとダンパーがない方がハンドリングは軽い。さっきまで感じたタンク下の凝縮感は重さだったのかなあ……という気がするほどで、それでもこんなに変化が出ることもスゴいことだ。
けれど、1発目のコーナーでハッキリとパフォーマンスダンパー装着時の優位性に気づくことになる。外してしまうとフロントタイヤの接地感が一気に希薄になり、先の軽さが頼りなさに変わる。これは、リジッドバーを付けた時にも解消したから、きっとフレーム剛性に関わる変化なのだろう。装着時のしっとりとした安心感に気づくことになる。走り始めて1分で気づくなんて、やっぱり変化が大きいパーツなのだろう。
試乗の後半では高速道路も走った。ダンパーありとナシで、路面のうねり、継ぎ目のギャップ、荒れた舗装面をわざと踏みながらの高速クルージング。
さっきまで感じていたハンドリングの軽さと安定性の違いうんぬんよりも、今度はギャップの乗り越えのフワッとしたしっとり感、高回転時にハンドルに伝わる振動の激変が本当によく分かった。
ワインディングで安心して攻められるのはもちろん、僕ならロングツーリング時の走行疲労低減パーツとしても使ってみたい。パフォーマンスダンパーはそんなパーツだったのだ。
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いつかZやカタナにも? 夢が広がる第3のサス
パフォーマンスダンパーは、実はサスペンションの役割をするパーツだ。バイクのサスは、路面をはじめとする外部からの車体への衝撃を吸収して緩和するものだから、フロントフォークとリヤショックが、まず思い浮かぶ。
けれど、広義でいえばタイヤもそうだし、シートクッション、ハンドルグリップやステップラバーもそう。そして実は、各パーツの締結あそびや取り付けガタ、各部材のしなりやねじれもサスペンションの一部といえるのだ。
翻って、パフォーマンスダンパーはヤマハが開発した新しいサスペンションだ。もともとはクルマの世界で始まったもので、クルマのあの大きな躯体が、走行ごとに細かく軋み、たわむ「少量変形」を制振しようという狙いだった。
少量変形はもちろんバイクでも起こっているから、その技術を転用。ヤマハ各車向けのオプションパーツとした。そして、そのヤマハの協力を得て、ヤマハ車以外にも装着できるようにしているのが、このアクティブのパフォーマンスダンパーキットというわけだ。
バイクの少量変形は、主にエンジンを抱え込むメインフレームで起きている。車体への衝撃はコーナリング中にも発生するし、高速道路でも街乗りでも発生する。
たとえば走行中に、前輪で突起をポコッと乗り越えるとする。その突き上げはタイヤ→サスペンションで多くを吸収するけれど、吸収できなかった分はステム、ステアリングヘッドからフレームへ、そしてメインフレームが軋みたわんで衝撃吸収が終了、という流れ。
もちろん、多くは体感できないレベルの衝撃だろうけれど、それさえも抑え込めば、走行時の快適性はずっと上がる。今回はそれを体感できたテストだった。
実は以前に、セローとTMAXでパフォーマンスダンパーを体感したこともある。けれど2台はあくまで軽量トレッキングバイクとスクーターという、フレーム剛性があまり問われないモデルだった。だから効果を体感できて当然、とも思ったものだけれど、それがフレーム剛性の高そうなビッグネイキッドである、ZRX1200DAEGでも体感できるとは。
もちろん、この試乗はほんの数時間で行ったものだけれど、それでハッキリ体感出来るということは、これが1日300kmも走るツーリング、または公道では許されないスピードで走るサーキットランなどでは、ほんの数時間で感じた何倍も、この効果があるはず、いや、きっと間違いなくある。
本来ならもっとフレーム剛性が弱くサスペンション性能が低いだろう’80年代の絶版車などに装着してみると、さらに効果が大きいのではないかとも思う。
車体まわりがノーマルの旧車で、このパフォーマンスダンパーを味わってみたらどうでしょうと、アクティブ開発部の安宅さんに伝えておいたら、いつか「Z1用パフォーマンスダンパー」なんて製品が発売されるかもです!
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ダンパー取り付けステーの形状や強度に開発の苦労あり
車種ごとに最適な位置とステー形状で作り上げたのがパフォーマンスダンパーキット。ダンパー本体は共通で、現在のラインナップはCB400SF/SB、GB350/S、REBEL250/S、CB250R、GSX250R、V-STROM250、ZRX1200DAEG、Z900RS/CAFE、W650/800、390DUKE用が3万8500円、CBR250RR、Z650RS、ZX-25R/SEが4万4000円だ。
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