驚速!J.マルティンがレコードブレイクでポールポジション獲得!
今大会では、アレックス・リンスの代役として高橋巧が参戦。しかし、初日のセッションで予選への参加基準となる105%タイムをクリアすることができず、予選と決勝への参戦は叶わなかった。また、ホンダ陣営では高橋以外にステファン・ブラドル(Repsol Honda Team)、ドゥカティ陣営からはミケーレ・ピッロ(Ducati Lenovo Team)、KTM陣営からはダニ・ペドロサ(Red Bull KTM Factory Racing)がワイルドカード参戦を果たしている。
予選Q1ではミゲル・オリベイラ(CryptoDATA RNF MotoGP Team)が序盤からトップタイムを出す。終盤にはブラドルがQ2進出圏内の2番手に食い込むも、アレイシ・エスパルガロ(Aprilia Racing)がトップに浮上。最終的には好調のオリベイラがトップタイムを更新しトップでQ1を突破。アプリリアの2台がQ2に進出を決めた。日本勢は中上貴晶(LCR Honda)がQ1を10番手で終え、Q2進出は叶わなかった。
ポールポジションが決まる予選Q2は、初日にコースレコードを更新したマルコ・ベッツェッキ(Mooney VR46 Racing Team)が序盤から好タイムを記録しトップに立つ。しかし、ホルヘ・マルティン(Prima Pramac Racing)が、初日にベッツェッキの更新したレコードをあっさり更新。
マルティンはセッション後半にもアタックを敢行し、さらにタイムを更新。なんとベッツェッキのタイムをコンマ4秒も更新するスーパーラップを披露しポールポジションを獲得したのだ。
2番手にはベッツェッキ、3番手には先週足に怪我を負いながらもフランチェスコ・バニャイア(Ducati Lenovo Team)がラップをまとめフロントローを獲得した。
そしてワイルドカード参戦のペドロサが予選で5番グリッドを獲得。第4戦同様、ブランクを感じさせない走りを披露したペドロサの走りは関係者をも驚かせたことに違いない。
マルティンがベッツェッキを振り切りポールトゥウィン!ペドロサは大健闘の4位入賞!
予選後のスプリントレースは気温29度、路面温度44度というコンディションの中、13周で行われた。
スタートではポールポジションのマルティンがスタートを決めホールショットを奪い、逃げにかかる。2位にバニャイア、3位にベッツェッキ、そして4位にはスタートでポジションを上げたペドロサがつける。
トップのマルティンを逃したくない3位のベッツェッキは、ターン14でミスしたバニャイアを抜き2位に上がるとペースをあげマルティンに迫っていく。
マルティンとベッツェッキのペースは速く、3位以下はトップの2台に離されていく。2台はハイペースのまま周回し、後半戦に入っていく。しかし、ベッツェッキのペースが徐々に落ちはじめ、マルティンとは1秒差に開いてしまう。
一方、ペースを維持したマルティンはベッツェッキとのギャップを保ったままトップでゴール。スプリントレースを制した。ベッツェッキはレース中盤までマルティンに食らいついたが終盤失速し悔しい2位。
その後方では息詰まる3位争いが繰り広げられていた。レース中盤から終盤にかけて4位のペドロサが3位のバニャイアに接近し両者のギャップはわずかコンマ2秒に。さらに最終盤には2台にブラッド・ビンダー(Red Bull KTM Factory Racing)も加わり、表彰台争いは三つ巴の戦いとなる。
バニャイアは怪我の影響もあり厳しい状況であったが、なんとかKTM2台を抑え込み3位でフィニシュ。貴重なポイント獲得となった。ワイルドカード参戦ながらKTM最上位でのフィニッシュを果たしたペドロサ。驚異的は走りにクルーたちが拍手でペドロサを迎えていた。
日本人唯一の参戦ライダーである中上は21位で完走を果たしている。
マルティンが今季2勝目を挙げサンマリノGPを完全制覇
27周の決勝レースもマルティンがホールショットを奪い、3番グリッドスタートのバニャイヤがターン2からターン3にかけてベッツェッキを攻略し2位に浮上。以下、ベッツェッキ、ビンダー、ペドロサが続く。
マルティンの独走を阻止すべく、バニャイアはオープニングラップから全開。積極的に仕掛けていくも、マルティンもブロックラインを取りバニャイアの先行を許さない。
2周目からはトップ集団のバトルがなくなりペースが安定。そんな中、8周目に4位走行中だったビンダーがターン14で転倒を喫してしまう。ビンダーはすぐにコースに復帰するも大きく順位を落としてしまった。
また、10周目にはビンダーのチームメイトであるジャック・ミラー(Red Bull KTM Factory Racing)がターン3でピッロと接触し転倒。こちらは両者ともリタイアとなった。
レギュラーライダー2名が転倒する中、ペドロサは4位に浮上。レース中盤にはペースを上げ、前との差を詰めていくも、ドゥカティ勢もペースが良く1秒差をキープしながら周回を重ねていく。
残り周回が10周となったところでトップのマルティンがペースアップ。バニャイアとのギャップを一気に拡大させ独走状態となる。
マルティンに引き離されたバニャイアは残り9周でベッツェッキに捕えられ3位に後退。そして後方からはペドロサが徐々に差を詰めてきた。スプリント同様、バニャイアとペドロサによる手に汗握る接近戦が行われた表彰台争い。最終盤にも関わらず両者ラップタイムを上げ、接近戦のままファイナルラップへ突入する。
一方、トップのマルティンはスプリントに続きトップでチェッカーを受け今季2勝目を挙げた。予選とスプリント、そして決勝と全て最速で駆け抜けたマルティンはサンマリノGPを完全制覇。チャンピオンシップでもバニャイアとのポイント差を36にまで詰めている。
2位にはベッツェッキ、3位争いはペドロサが迫るも周回数が足りずバニャイアが3位でゴール。表彰台はスプリントと同じ顔ぶれとなった。中上は19位で完走を果たしている。
ヨーロッパラウンドはドゥカティの圧勝で一旦幕をおろし、グランプリはアジアへ移動。次戦は初開催となるインドのブッダ・インターナショナル・サーキットが戦いの舞台となる。
しかし、現時点ではブッダ・インターナショナル・サーキットのホモロゲーションが行なわれておらず、最終的なホモロゲーションが得られるのはレースウィークになってしまう可能性が大きい。
最悪開催されない可能性もあるわけだが、インドGPの開催するかしないかはチャンピオン争いにも影響しそうである。続報を待ちたい。
2023 MotoGP 第11戦 決勝結果
レポート:河村大志