2023年9月3日、MotoGP第11戦カタルーニャGPがスペインのカタルニア・サーキットで行なわれた。カタルーニャGPといえば、2022年にアレイシ・エスパルガロ(Aprilia Racing)が周回数を間違え、2位表彰台を失ったという出来事が記憶に新しい。そんな因縁の地カタルニアで、カタルニア出身のアレイシとマーベリック・ビニャーレス(Aprilia Racing)が躍動。アプリリア史に残る偉業を成し遂げる感動的なレースとなった。

王者の貫禄! F.バニャイアがレコード更新でポールポジション獲得

画像1: 王者の貫禄! F.バニャイアがレコード更新でポールポジション獲得

快晴に恵まれた初日から一転、上空は雲に覆われた予選日。小雨が降ったものの、Q1はドライコンディションの中で行われた。

Q1のセッション前半はミゲル・オリベイラ(CryptoDATA RNF MotoGP Team)が暫定トップタイムマークすると、後半のアタックでジャック・ミラー(Red Bull KTM Factory Racing)、マルク・マルケス(Repsol Honda Team)がトップタイムを更新。

最終的に最速タイムを更新したオリベイラがトップに浮上、ミラーに後追いを行ったマルケスが2位に入りQ2進出を決めた。

Q2ではフリー走行から速さを見せているアプリリア勢が好調をキープ。まずビニャーレスが暫定トップタイムを記録すると、アレイシも僅差で3位につける。

Q2後半ではアレイシがビニャーレスのタイムを更新しトップに浮上。しかし好調アプリリア勢の牙城を崩したのはディフェンディングチャンピオンのフランチェスコ・バニャイア(Ducati Lenovo Team)だった。

アレイシは最終ラップで逆転を狙うもバニャイアに0.104秒届かず。レコードタイムを更新したバニャイアがポールポジションを獲得。2位にエスパルガロ、3位にはQ1から上がってきたオリベイラが入っている。ビニャーレスも4位に食い込んでおり、アプリリアがトップ5に3台が入るという結果となった。

画像2: 王者の貫禄! F.バニャイアがレコード更新でポールポジション獲得

A.エスパルガロがスプリントレース初優勝! アプリリアはダブル表彰台

画像1: A.エスパルガロがスプリントレース初優勝! アプリリアはダブル表彰台

予選同様曇り空となったスプリントレース。レッドクロスが振られるも気温25度、路面温度31度、ドライコンディションで12周のレースが行われた。

ポールポジションスタートのバニャイアがトップでターン1へ。ビニャーレス、アレイシと好調のアプリリア勢がバニャイアを追う。

初日からコースレコードを更新するなど好調のアレイシは、序盤から全開。僚友ビニャーレスを追い抜くとバニャイアをマーク。優勝争いは早くもこの2台で繰り広げられた。

チャンスを伺っていたアレイシは7周目のターン1でバニャイアのインに飛び込みオーバーテイク。先頭に立ったアレイシはバニャイアに隙を与えさせない走りを披露する。徐々にバニャイアとの差を広げていき、ファイナルラップに入る頃には2秒のギャップを築いていた。

そのままトップの座を明け渡さなかったアレイシがスプリントレース初制覇。アプリリアにとってもスプリントレース初優勝となった。3位ビニャーレスは2位バニャイアに詰め寄るも追い抜きまでは至らず。猛追を振り切ったバニャイアが2位を獲得している。

日本人ライダーの中上貴晶(LCR Honda)は20位で完走を果たしている。

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アプリリア強し! A.エスパルガロが今季2勝目を挙げ、昨年の雪辱を果たす

画像1: アプリリア強し! A.エスパルガロが今季2勝目を挙げ、昨年の雪辱を果たす

決勝日の天候は曇り。気温27度、路面温度33度、ドライコンディションで24周の決勝レースが行われた。

決勝レースはいきなりマルチクラッシュが発生する波乱の幕開けとなった。ターン1の侵入ではイン側にいたクラッシュではイン側のエネア・バスティアニーニ(Ducati Lenovo Team)が減速しきれずにヨハン・ザルコ(Prima Pramac Racing)に追突。アウト側にいたマルコ・ベッツェッキ(Mooney VR46 Racing Team)やファビオ・ディ・ジャンアントニオ(Gresini Racing MotoGP)、アレックス・マルケス(Gresini Racing MotoGP)も巻き込まれてしまった。

波乱は続く。直後のターン2でトップのバニャイアが単独でハイサイドを喫してしまい転倒。コース上に叩きつけられたバニャイアは後続のマシンに脚を轢かれてしまうアクシデントが発生した。

すぐさま赤旗が掲示され、バニャイアはコース上で措置を受けることに。メディカルセンターへ運ばれたバニャイアはその後検査のため病院へ。検査の結果、バニャイアは打撲のみで、骨折などの大きな怪我ではないことが判明。バニャイア本人は次戦のサンマリノGP参戦を目標にするという。

一方、同じく病院に運ばれたバスティアニーニには左足のくるぶしを骨折、さらに左手の第二中手骨の複雑骨折が判明。手術が必要となり、後日所属チームからは、サンマリノGPに加え、インドGPと日本GPの欠場も発表された。シーズン前半も怪我で棒に振っただけに、バスティアニーニにとってドゥカティワークス1年目は散々な年となってしまった。

赤旗が掲示されて20分後、グリッド通りの並びでレースはリスタートされた。

再スタートではホルヘ・マルティン(Prima Pramac Racing)がホールショットを奪うも、ビニャーレスがすぐに抜き返しトップに浮上。ビニャーレスは序盤からハイペースで逃げていく。

チームメイトのアレイシも4周目のターン10でマルティンをオーバーテイクし2位に浮上。同じアプリリア陣営のオリベイラも3番手に浮上。アプリリアがトップ3を独占する形でレースは進んでいく。

ビニャーレスとアレイシはハイペースで周回。3位以下を置き去りにし、チームメイト同志の優勝争いとなった。レース前半はビニャーレスがアレイシに対しマージンを築いていたが、中盤から後半にかけてアレイシのペースがよく、両者のギャップは徐々に縮まっていく。

そして残り4周のホームストレートでビニャーレスに並んだアレイシはターン1でトップに浮上。レース終盤でトップに躍り出た。

前半のスパートが影響したのか、ビニャーレスのタイヤは限界に近づいていた。ブレーキングで止まりきれない場面が多々見受けられ、アレイシの独走を許してしまった。

チームメイトバトルを制したアレイシがトップでチェッカー。地元のカタルーニャで今季2勝目を挙げた。2位にはビニャーレスが続きアプリリアのワンツーフィニッシュとなった。3位はマルティンが入りでスペイン人3人が表彰台を独占する結果となった。

中上は苦しい状況の中、15位入賞。サバイバルレースを生き残り貴重なポイントを獲得している。

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2023 MotoGP 第11戦 決勝結果

画像: resources.motogp.com
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第12戦は連戦となるサンマリノGP

次戦第12戦は、9月8日から10日にイタリアのミサノ・ワールド・サーキット‐マルコ・シモンチェリで行われるサンマリノGP。

全長4.23キロ、右コーナー10、左コーナー6、530メートルのストレートをもつテクニカルサーキットであるミサノはドゥカティ、そしてアプリリアにとって地元レースでのレースとなる。

昨年はバニャイアとバスティアニーニの一騎打ちが繰り広げられ、ドゥカティ勢が強さを見せた。また、昨年3位に入っているのが、今大会歴史を作ったアプリリアのビニャーレスだ。

得意不得意の差が大きいアプリリアだが、ミサノも特性に合ったサーキット。今回の大活躍した勢いそのままに、次戦も上位でレースを進めるのではないだろうか。

イタリアンメーカー同士の激しい戦いが予想される第12戦サンマリノGP。地元での優勝を飾るのはどちらになるのか。はたまた日本メーカーが一矢報いることができるのか、見逃せない。

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