2023年8月20日、MotoGP第10戦オーストリアGPがオーストリアのレッドブルリンク・サーキットで行なわれた。エンジン全開率の高いコースであるレッドブルリンクは、レッドブルがメインスポンサーであるKTM勢にとって母国戦となる。そんな中週末を通して速さを見せ、他を圧倒したのはディフェンディングチャンピオンのフランチェスコ・バニャイア(Ducati Lenovo Team)だった。

バニャイアが僅差でポールポジション獲得

画像1: バニャイアが僅差でポールポジション獲得

決勝前日に行われた予選。予選Q1はジャック・ミラー(Red Bull KTM Factory Racing)がトップタイムを更新しセッションは折り返しへ。

Q1後半ではルカ・マリーニ(Mooney VR46 Racing Team)がミラーのトップタイムを更新。しかしミラーが再度タイムを更新し、見事Q1をトップで通過した。2位にはマリーニが入り、こちらもQ2進出を決めている。

不調が続くホンダ勢は全車Q1から出走。マルク・マルケス(Repsol Honda Team)はタイムが出ているマリーニの後ろにつき、後追いを敢行。しかし8番手とタイムを出すことができず、中上貴晶(LCR Honda)も9番手と、ホンダ勢は4人全員がQ1敗退となった。

ポールポジションが決まる予選Q2は、フリー走行から好調のマーベリック・ビニャーレス(Aprilia Racing)が暫定トップタイムをマーク。その後各車次々とトップタイムを更新する中、ビニャーレスがさらにタイムを更新しトップでセッションを折り返す。

Q2後半は路面状態が良くなり、各車タイムアップに成功。しかしビニャーレスは好調をキープしトップタイムをマーク。これでビニャーレスのポールポジション獲得かに思われたが、バニャイアがわずか0.037秒ビニャーレスを上回り逆転でポールポジションを獲得した。

2番手は惜しくもポールポジションを逃したビニャーレス、3番手にはチームの地元で優勝を狙うブラッド・ビンダー(Red Bull KTM Factory Racing)がつけた。

画像2: バニャイアが僅差でポールポジション獲得

スプリントレースはレースをコントロールしたバニャイアがポールトゥウィン

画像1: スプリントレースはレースをコントロールしたバニャイアがポールトゥウィン

予選終了後、Moto2クラスとMoto3クラスの予選を挟み、スプリントレースが開催。全14周のスプリントレースは気温29度、路面温度34度のコンディションで行われた。

レースはポールシッターのバニャイヤが順当にトップでターン1に侵入。しかし後続ではマルコ・ベッツェッキ(Mooney VR46 Racing Team)、ミゲル・オリベイラ(CryptoDATA RNF MotoGP Team)、ヨハン・ザルコ(Prima Pramac Racing)など複数台が絡むアクシデントが発生してしまう。

このアクシデントの影響でトップのバニャイアと2位のビンダーが抜け出す格好に。後方ではトップの2台に1秒差をつけられたミラーの後ろでマリーニとホルヘ・マルティン(Prima Pramac Racing)がバトルを展開。7周目のターン3でマリーニのインをついたマルティンだったが、両者接触。この接触でマリーニが転倒し、リタイア。マルティンは3位に浮上した。

トップ争いは2位のビンダーがバニャイアの背後につき好きを伺っていたが、バニャイアのペースがよく徐々に引き離されてしまう。

最終的にビンダーに対して2秒の差をつけたバニャイアがトップチェッカーを受け、スプリントレースで4勝目を挙げた。2位にはビンダー、3位に予選12番グリッドから追い上げたマルティンが入っている。

また、マルティンとマリーニの接触に関しては審議され、レースコントロールはマルティンに責任があると判断。マルティンは決勝レースでロングラップペナルティが科されることとなった。

日本人ライダーの中上は3周目に転倒。これまで厳しい中、完走を続けてきた中上だったが、悔しい転倒となった。ホンダ勢の最上位はマルク・マルケスの10位で、入賞まであと一歩のところまできている。

画像2: スプリントレースはレースをコントロールしたバニャイアがポールトゥウィン

バニャイアがオーストリアGPを完全制圧! チャンピオンシップでもさらに優位に

画像1: バニャイアがオーストリアGPを完全制圧! チャンピオンシップでもさらに優位に

スプリント同様、決勝日も暑いコンディションとなってオーストリアGP。気温31度、路面温度34度という厳しいコンディションの中、28周で決勝レースが行われた。

決勝レースでもバニャイアがホールショットを獲得。地元での優勝を狙うビンダーとミラーのKTM勢が続く。特にビンダーのペースが良く、スプリントレースと同じようにバニャイアとビンダーのマッチアップとなった。

ビンダーはバニャイアに食らいついていくが、バニャイアのペースがよく2台の間にギャップが生まれ、差が開いていく。残り10周を切った段階でバニャイアは2位のビンダーに対し3秒のギャップを築き独走状態となった。

その後方ではアレックス・マルケス(Gresini Racing MotoGP)とベッツェッキによる3位争いが激化。バトルが続いていた3位争いだが、残り6周でベッツェッキがアレックスを捕え3位に浮上した。

バニャイアは独走でトップチェッカー。今季5勝目を挙げて、2位以下に62ポイントとリードを更に広げることとなった。2位はKTMの地元で力走を見せたビンダー、3位にはアレックスとのバトルを制したベッツェッキが入っている。

日本人ライダーの中上は18位完走。ホンダ勢最上位はマルク・マルケスの12位。マルケスは今季初の決勝レース完走を果たしている。

画像2: バニャイアがオーストリアGPを完全制圧! チャンピオンシップでもさらに優位に

2023 MotoGP 第10戦 決勝結果

画像: resources.motogp.com
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次戦は今季2度目のスペイン開催!戦いの舞台はカタルーニャ

早くもシーズンの折り返しを迎えるMotoGP。第11戦はスペインのカタルーニャ州にあるカタロニア・サーキットが舞台となる。

カタロニア・サーキットは全長4.66km、右コーナー8、左コーナー6、1047mのストレートを持つサーキット。高速、中速、低速区間がバランス良くレイアウトされており、マシンの総合力が問われるテクニカルなサーキットでもある。

昨年はヤマハのファビオ・クアルタラロ(Monster Energy Yamaha MotoGP)が優勝、周回数を間違えるというミスを犯してしまい、最終的に5位でフィニッシュしたアレイシ・エスパルガロ(Aprilia Racing)も2位をひた走るなど、好調ドゥカティ勢に割ってはいるライダーが多かった印象だ。

昨年印象的な走りを見せたエスパルガロ、そしてオーストリアGPで速さをもせたビニャーレスはカタルーニャでも速さを見せるはず。強力なドゥカティ勢を相手に、アプリリアが今季2勝目を挙げれるかどうかに注目したい。

レポート:河村大志

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