バニャイアが僅差でポールポジション獲得
決勝前日に行われた予選。予選Q1はジャック・ミラー(Red Bull KTM Factory Racing)がトップタイムを更新しセッションは折り返しへ。
Q1後半ではルカ・マリーニ(Mooney VR46 Racing Team)がミラーのトップタイムを更新。しかしミラーが再度タイムを更新し、見事Q1をトップで通過した。2位にはマリーニが入り、こちらもQ2進出を決めている。
不調が続くホンダ勢は全車Q1から出走。マルク・マルケス(Repsol Honda Team)はタイムが出ているマリーニの後ろにつき、後追いを敢行。しかし8番手とタイムを出すことができず、中上貴晶(LCR Honda)も9番手と、ホンダ勢は4人全員がQ1敗退となった。
ポールポジションが決まる予選Q2は、フリー走行から好調のマーベリック・ビニャーレス(Aprilia Racing)が暫定トップタイムをマーク。その後各車次々とトップタイムを更新する中、ビニャーレスがさらにタイムを更新しトップでセッションを折り返す。
Q2後半は路面状態が良くなり、各車タイムアップに成功。しかしビニャーレスは好調をキープしトップタイムをマーク。これでビニャーレスのポールポジション獲得かに思われたが、バニャイアがわずか0.037秒ビニャーレスを上回り逆転でポールポジションを獲得した。
2番手は惜しくもポールポジションを逃したビニャーレス、3番手にはチームの地元で優勝を狙うブラッド・ビンダー(Red Bull KTM Factory Racing)がつけた。
スプリントレースはレースをコントロールしたバニャイアがポールトゥウィン
予選終了後、Moto2クラスとMoto3クラスの予選を挟み、スプリントレースが開催。全14周のスプリントレースは気温29度、路面温度34度のコンディションで行われた。
レースはポールシッターのバニャイヤが順当にトップでターン1に侵入。しかし後続ではマルコ・ベッツェッキ(Mooney VR46 Racing Team)、ミゲル・オリベイラ(CryptoDATA RNF MotoGP Team)、ヨハン・ザルコ(Prima Pramac Racing)など複数台が絡むアクシデントが発生してしまう。
このアクシデントの影響でトップのバニャイアと2位のビンダーが抜け出す格好に。後方ではトップの2台に1秒差をつけられたミラーの後ろでマリーニとホルヘ・マルティン(Prima Pramac Racing)がバトルを展開。7周目のターン3でマリーニのインをついたマルティンだったが、両者接触。この接触でマリーニが転倒し、リタイア。マルティンは3位に浮上した。
トップ争いは2位のビンダーがバニャイアの背後につき好きを伺っていたが、バニャイアのペースがよく徐々に引き離されてしまう。
最終的にビンダーに対して2秒の差をつけたバニャイアがトップチェッカーを受け、スプリントレースで4勝目を挙げた。2位にはビンダー、3位に予選12番グリッドから追い上げたマルティンが入っている。
また、マルティンとマリーニの接触に関しては審議され、レースコントロールはマルティンに責任があると判断。マルティンは決勝レースでロングラップペナルティが科されることとなった。
日本人ライダーの中上は3周目に転倒。これまで厳しい中、完走を続けてきた中上だったが、悔しい転倒となった。ホンダ勢の最上位はマルク・マルケスの10位で、入賞まであと一歩のところまできている。
バニャイアがオーストリアGPを完全制圧! チャンピオンシップでもさらに優位に
スプリント同様、決勝日も暑いコンディションとなってオーストリアGP。気温31度、路面温度34度という厳しいコンディションの中、28周で決勝レースが行われた。
決勝レースでもバニャイアがホールショットを獲得。地元での優勝を狙うビンダーとミラーのKTM勢が続く。特にビンダーのペースが良く、スプリントレースと同じようにバニャイアとビンダーのマッチアップとなった。
ビンダーはバニャイアに食らいついていくが、バニャイアのペースがよく2台の間にギャップが生まれ、差が開いていく。残り10周を切った段階でバニャイアは2位のビンダーに対し3秒のギャップを築き独走状態となった。
その後方ではアレックス・マルケス(Gresini Racing MotoGP)とベッツェッキによる3位争いが激化。バトルが続いていた3位争いだが、残り6周でベッツェッキがアレックスを捕え3位に浮上した。
バニャイアは独走でトップチェッカー。今季5勝目を挙げて、2位以下に62ポイントとリードを更に広げることとなった。2位はKTMの地元で力走を見せたビンダー、3位にはアレックスとのバトルを制したベッツェッキが入っている。
日本人ライダーの中上は18位完走。ホンダ勢最上位はマルク・マルケスの12位。マルケスは今季初の決勝レース完走を果たしている。
2023 MotoGP 第10戦 決勝結果
次戦は今季2度目のスペイン開催!戦いの舞台はカタルーニャ
早くもシーズンの折り返しを迎えるMotoGP。第11戦はスペインのカタルーニャ州にあるカタロニア・サーキットが舞台となる。
カタロニア・サーキットは全長4.66km、右コーナー8、左コーナー6、1047mのストレートを持つサーキット。高速、中速、低速区間がバランス良くレイアウトされており、マシンの総合力が問われるテクニカルなサーキットでもある。
昨年はヤマハのファビオ・クアルタラロ(Monster Energy Yamaha MotoGP)が優勝、周回数を間違えるというミスを犯してしまい、最終的に5位でフィニッシュしたアレイシ・エスパルガロ(Aprilia Racing)も2位をひた走るなど、好調ドゥカティ勢に割ってはいるライダーが多かった印象だ。
昨年印象的な走りを見せたエスパルガロ、そしてオーストリアGPで速さをもせたビニャーレスはカタルーニャでも速さを見せるはず。強力なドゥカティ勢を相手に、アプリリアが今季2勝目を挙げれるかどうかに注目したい。
レポート:河村大志