反撃開始!M.ベッツェッキがポールポジション獲得
土曜日に行われた予選。Q1では、ヨハン・ザルコ(Prima Pramac Racing)が暫定のトップタイムを記録し、セッションは折り返しへ。
セッション後半では各ライダーアタックを開始。その中で速さをみせたのはミゲル・オリベイラ(CryptoDATA RNF MotoGP Team)で、Q2進出圏内の2位に入ってきた。
一方、マルク・マルケス(Repsol Honda Team)はタイムを出すためにエネア・バスティアニーニ(Ducati Lenovo Team)の背後に位置し周回。バスティアニーニのスリップストリームを利用してタイムを詰める算段だったが、アタックに失敗したバスティアニーニが失速。レコードラインから外れた上で減速していたが、後ろを走っていたマルケスが後続を目視で確認していたため、バスティアニーニの減速に気付くのに遅れてしまい追突。結果両者ともQ2進出を逃してしまった。
トップのザルコ、2位のオリベイラのタイムを更新するライダーは現れず、トップ2名のQ2m進出が決定。中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)はQ1を4位で終え、Q2進出を逃している。
ポールポジションが決まる予選Q2では、フリー走行全てでトップタイムを記録しているマルコ・ベッツェッキ(Mooney VR46 Racing Team)がここでも躍動。いきなり暫定のトップタイムを記録すると、Q2後半にはオールラップレコードとなる1分31秒472を叩き出し、暫定トップの座を譲らない。
レコードタイムを記録したベッツェッキを上回るライダーは現れず、ベッツェッキのポールポジションが確定。2位にはバニャイヤ、3位にはルカ・マリーニ(Mooney VR46 Racing Team)が入り、ヴァレンティーノ・ロッシの弟子たちがフロントローを独占してみせた。
ファビオ・クアルタラロ(Monster Energy Yamaha MotoGP)が入り、今季ベストグリッドとなる4番グリッドを獲得。コース特性とマシン、ライダーの相性が良く、クアルタラロとヤマハにとってドゥカティ勢に一矢報いるチャンスでもあるオランダGP。スプリント、そして決勝に向けて期待の持てる予選結果となった。
決勝に向けて視界良好!ベッツェッキがスプリントでポールトゥウィン
予選と同じ土曜日に開催されてティソ・スプリントは、気温27度、路面温度41度というコンディションの中、13周で行われた。
予選2番グリッドからスタートしたバニャイアがスタートを決めホールショットを奪う。さらに予選5番グリッドスタートのブラッド・ビンダー(Red Bull KTM Factory Racing)も一気に2位まで浮上する。
3位に落ちてしまったベッツェッキだが、トップのバニャイアを逃すまいと2周目にビンダーを攻略。ペースの良いベッツェッキは4周目のターン7でバニャイアもパスしトップに浮上する。
トップに立ったベッツェッキはスパートをかけ、7周目には1秒ほどのギャップを築いていく。一方、3位争いはビンダーを先頭にクアルタラロ、アレイシ・エスパルガロ(Aprilia Racing)の3台で繰り広げられる。
一時バニャイアにコンマ6秒まで詰められるも、再び引き離したベッツェッキ。4周目以降、トップの座を譲ることなくトップチェッカー。フランスGP以来の優勝となった。2位にはバニャイア、3位にビンダーが入るも、ビンダーはファイナルラップでトラックリミット違反によるロングラップペナルティが課されてしまう。ラストラップでペナルティが消化できない状況であったため、ロングラップペナルティに相当する3秒が加算され、5位に降格となった。
その結果、4位でフィニッシュしたクアルタラロが3位に繰り上がり、今季初のスプリントレースでの表彰台を獲得している。
日本人ライダーの中上は、12位でのフィニッシュでポイント獲得ならず。ホンダ勢はマルケスも17位に終わり、スプリントレースでポイントを獲得することができなかった。
バニャイアが安定したペースで今季4勝目!エスパルガロが今季初表彰台
前日のティソ・スプリントレース終了後、マルク・マルケスは決勝レースを欠場することを発表した。これまでに負った怪我が原因で、メディカルチェックで不通過してしまったため、前戦に引き続き決勝レースを欠場することとなった。
26周の決勝レースは、5番グリッドのビンダーが抜群のスタートを決めてホールショットを奪取。バニャイヤ、ベッツェッキ、エスパルガロと続く。
2周目のターン1でジャック・ミラー(Red Bull KTM Factory Racing)が転倒。さらに3周目にはザルコとクアルタラロがターン6で、4周目のターン8でビニャーレスも転倒と、レース序盤から荒れた展開となる。
先頭争いはバニャイヤがビンダーを追い抜いてトップに浮上。ベッツェッキもビンダーの後ろでチャンスを伺い、残り10周時点でビンダーをオーバーテイクし2番手に浮上。
ベッツェッキは1秒先にいるバニャイアを攻略するため、ギャップを詰めるも、バニャイアも反応し、タイム差を1秒前後にキープする。
ベッツェッキの動きに柔軟に対応したバニャイヤが1秒差を保ったままトップでチェッカー。今季4勝目を挙げ、チャンピオンシップでもリードを広げる格好となった。2位はベッツェッキ、ビンダーはエスパルガロ、そしてマルティンの猛追を凌ぎきり3位でゴール。しかし前日と同じように最終ラップのターン8でトラックリミット違反と判断され、1ポジションダウンのペナルティが科されてしまう。
これにより、マルティンに0.009秒差で4位を守り切ったエスパルガロが3位に繰り上がり、今季初のポールポジション獲得となった。
中上は一時7位を走行するも、トラックリミット違反によるロングラップペナルティを科されてしまい8位でフィニッシュ。それでも今季ベストリザルトで夏休み前最後のレースを締め括った。転倒者も多かった今大会は、完走わずか14台のサバイバルレースとなった。
2023 MotoGP 第8戦 決勝結果
MotoGPはサマーブレイクに突入!次戦は8月6日のイギリスGP
8戦を消化した今シーズンのMotoGPは1ヶ月のサマーブレイクに入る。次戦はモータースポーツ文化が根付くイギリスのシルバーストンサーキットが舞台となる。
1950年に始まったF1世界選手権の記念すべきオープニングレースの舞台としても有名なシルバーストンは、全長5.9km、右コーナー10、左コーナー8、770mのストレートを持つ、高速サーキットだ。
しかし、現在のシルバーストンは低速・中速・高速コーナーが混在しているため、セッティングが難しいサーキットでもある。
昨年はバニャイアが優勝しているが、マーヴェリック・ビニャーレス(Aprilia Racing)も素晴らしい走りで2位表彰台を獲得している。昨年に比べ苦戦が強いられているアプリリア勢だが、相性の良いサーキットなだけに復調のきっかけにしたいところだろう。
シーズン後半戦のスタートとなる第9戦イギリスGPは勢力図に変化があるのだろうか、8月7日の決勝が今から待ちきれない。
レポート:河村大志