2023年6月11日、MotoGP第6戦イタリアGPがイタリアのムジェロサーキットで行なわれた。ドゥカティ、そしてアプリリアのお膝元であるムジェロサーキットには13万人ものファンが来場し熱気に包まれた今年のイタリアGP。チャンピオンとして凱旋したフランチェスコ・バニャイア(Ducati Lenovo Team)はスプリント、そして決勝レースも制し、サーキット中を沸かせてみせた。

マルケスの後追いも関係なし? F.バニャイアがポールポジション獲得

画像: チャンピオンとして母国に凱旋を果たしたバニャイアはポールポジションを獲得した。

チャンピオンとして母国に凱旋を果たしたバニャイアはポールポジションを獲得した。

土曜日は午前中から曇り空で、気温も23度、路面温度30度と過ごしやすいコンディション。フリー走行1と2のコンバインドで総合11位以下のライダーで行われるQ1はアレックス・マルケス(Gresini Racing MotoGP)とジャック・ミラー(Red Bull KTM Factory Racing)がQ2に駒を進めた。

ファビオ・クアルタラロ(Monster Energy Yamaha MotoGP)は予選直前に行なわれたFP3では3番手タイムを記録していたが、Q1では5番手、15番グリッドからのスタートとなってしまった。日本人唯一の参戦となる中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)もQ1で6番手と振るわず、決勝は16番グリッドからのスタートが決定した。

ポールポジションを争うQ2は開始早々、今大会が復帰戦となるエネア・バスティアニーニ(Ducati Lenovo Team)が転倒。一方、ドゥカティサテライトのホルヘ・マルティン(Prima Pramac Racing)が暫定トップタイムをマークする。

Q2後半では、コースインしたマルク・マルケス( Repsol Honda Team)がアタックラップに入ろうとしたバニャイアのラインを塞いでしまい、アタックに入れないというアクシデントもあった。怒りを露わにしたバニャイアだったが、次のアタックでオールラップレコードを更新するラップを披露。マルケスはバニャイアの後ろにつきタイムを更新しようとするも、バニャイアには届かず暫定2位となる。

トップ2のタイムを上回るライダーは現れなかったが、Q1から進出してきたアレックス・マルケスがラストアタックで3番手につけた。

ポールポジションはバニャイアで今季3度目。2位にマルク・マルケス、3位にアレックス・マルケスが入り、マルケス兄弟がフロントローを獲得。なお、アレックス・マルケスは前戦フランスGPで無責任な走行に対するペナルティを受けており、今大会の決勝レースで3グリッド降格が決まっている。日曜日の決勝レースでアレックス・マルケスは6番グリッドからスタートする。

画像: ドゥカティのお膝元で孤軍奮闘のマルケス。できる限りのことを尽くし2番グリッドを獲得した。

ドゥカティのお膝元で孤軍奮闘のマルケス。できる限りのことを尽くし2番グリッドを獲得した。

スプリントではライバルとのバトルを制したバニャイアが優勝

画像: ランキング首位のバニャイアを追うランキング2位のベッツェッキ。

ランキング首位のバニャイアを追うランキング2位のベッツェッキ。

予選同様、雲に覆われた空のもと行なわれたスプリントレース。11周のレースはバニャイアがスタートを決めターン1をクリアするも、後方ではブラッド・ビンダー(Red Bull KTM Factory Racing)と接触したアレックス・マルケスが転倒。ロングラップペナルティが科されたビンダーは、3周目にペナルティを消化している。

スタートしてすぐに雨が降り始め、いきなりレッドクロスとホワイトフラッグが振られ、マシンの乗り換えが許可される。しかし小雨だったことと、周回数が少ないことを考慮し、どのチームもピットには入らずレースを続行。結局雨はすぐに止み、ドライコンディションでの戦いとなる。

2周目に2位のマルク・マルケスを捕らえたマルティンは勢いそのままにトップのバニャイアも攻略。しかしバニャイアはマルティンからトップの座を奪いかえしトップに浮上。5周目にはバニャイアとランキング争いを繰り広げるマルコ・ベッツェッキ(Mooney VR46 Racing Team)が2位に浮上し、チャンピオンをかけて戦うイタリア人2人による優勝争いとなる。

先頭のバニャイア、そして2位のベッツェッキはともにトラックリミット違反の警告を受けており、攻めた走りができない状態を強いられるも、バニャイアはラストスパート。ベッツェッキも喰らいつくも、バニャイアはトップチェッカーを受けた。

画像: ドゥカティのお膝元であるムジェロ・サーキットでドゥカティ勢が表彰台を独占した。

ドゥカティのお膝元であるムジェロ・サーキットでドゥカティ勢が表彰台を独占した。

バニャイアは12ポイントを獲得し、ポイントランキングでベッツェッキに対し4ポイント差に拡げることに成功。2位にはベッツェッキ、3位にはマルティンが入り、ドゥカティが表彰台を独占した。

バニャイアが隙を与えない走りで母国での優勝を果たす

画像: 安定したペースでレースを支配したバニャイア。

安定したペースでレースを支配したバニャイア。

決勝は天候が晴れ、気温27度、路面温度43度というコンディションで23周で行なわれた。

ポールポジションからスタートしたバニャイアがスタートを決めるも、ミラーが抜群のスタートダッシュを決めホールショットを奪う。しかしターン2の切り返しでバニャイヤが先頭を奪い返した。

序盤にしてペースが上がらないミラーはマルティンにも抜かれ3位へ。さらにマルク・マルケスやルカ・マリーニ(Mooney VR46 Racing Team)にもパスされポジションを落としていく。ミラーが蓋をしていたこともあり、バニャイヤとマルティンが3位以下にギャップを築き、優勝争いは早くも2台に絞られる。

マリーニとマルク・マルケスは3位争いを繰り広げるが、6周目のターン15でマルケスがラインを外しフロントを失い転倒。マルケスは今季3戦全てでリタイアを喫しており、失意の転倒となってしまった。

これまで予選やスプリントで速さを見せるも、決勝でのペース不足が課題だったマルティン。しかしトップのバニャイアからコンマ5秒差をキープし、周回を重ねていく。後方ではマリーニを抜いたアレックス・マルケスが3位に浮上するも、残り9周のターン2で転倒。再びマリーニが3位になるも、後ろからヨハン・ザルコ(Prima Pramac Racing)が急接近し残り6周でマリーニを捕らえ3位に浮上した。

レース中盤まで粘りの走りを見せていたマルティンだったが、残り10周を切ったあたりから徐々にバニャイアに離されていく。安定したペースを刻み続けたバニャイアは最終的にマルティンに対し1秒以上の差をつけてトップでチェッカーを受けた。予選、スプリント、そして決勝全てで1位を獲得したバニャイアは地元のファンを熱狂させる最高の結果を残した。そしてチャンピオンシップ争いのライバルであるベッツェッキが8位に終わったことにより、ポイント上でベッツェッキとの差を21まで拡げている。

2位はマルティン、3位はザルコが入り、ドゥカティが表彰台を独占。母国イタリアで最高の結果をもたらせた。

中上は13位でのフィニッシュしポイントを獲得。唯一のホンダ勢として貴重なポイントとデータをチームに持ち帰っている。

画像: 地元イタリアでドゥカティは表彰台を独占し、サーキットに来場した13万人のファンを沸かせた。

地元イタリアでドゥカティは表彰台を独占し、サーキットに来場した13万人のファンを沸かせた。

2023 MotoGP 第6戦 決勝結果

画像: resources.motogp.com
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3連戦の2戦目はドイツのザクセンリンク

画像: 2020年に上腕骨骨折という大怪我をしたM.マルケスだが、2021年のドイツGPでは衝撃の優勝を果たした。 www.motogp.com

2020年に上腕骨骨折という大怪我をしたM.マルケスだが、2021年のドイツGPでは衝撃の優勝を果たした。

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7月の夏休みを前に行われる6月の怒涛の3連戦。イタリアGPの1週間後に行われるのは第7戦ドイツGPだ。戦いの舞台はベルリン州の下に位置するザクセン州にあるザクセンリンク・サーキットで、1998年からGPが開催されている。

そんなザクセンリンクで絶対的な存在なのがMotoGPクラスを6度制したマルク・マルケスだ。マルケスは2010年の125ccクラス時代から2019年まで驚異の10連勝を達成。2020年に大怪我を負い、本調子ではない2021年にも優勝を果たすなど、絶対的な勝率を誇っているのだ。

10年間ドイツで無敗を誇るマルケスは、2022年シーズンのドイツGPを欠場しているため、2年ぶりのドイツ凱旋となる。今シーズン苦戦が続くホンダで孤軍奮闘のマルケスが得意としているサーキットでドイツ9勝目(MotoGPクラス)を狙う。

ザクセンリンクは全長3.67km、右コーナー3、左コーナー10、ストレートは700mしかないテクニカルで珍しい反時計回りのサーキットである。つまりドゥカティにとって相性があまり良くないサーキットであり、昨年はヤマハのクアルタラロが制している。

今シーズン快進撃を続けるドゥカティにとって勝負所となるドイツ。ライバル勢は一矢報いることができるのかに注目だ。

レポート:河村大志

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