加工箇所の維持性にも配慮するからこその手法
2021年に登場した第3世代ハヤブサ。純正の仕様でレギュラーのメインカラーとトリムパーツ、ホイールの各カラーコンビネーションを換えられるカラーオーダープランが用意されていて、オーダー時に計21パターン(’22年型では18パターン)から選べる。
そこでこの車両だ。’22年型レギュラーカラーのグラススパークルブラック×マットブラックメタリックのようだが、少し様相が異なる。そう、カラーオーダープランでもない、フルブラックになっている。
「“全部黒くしてほしい”ってお客さんからオーダーを受けて、その通りに黒くしたんですよ」と、この車両を手がけたブライトロジック・竹中さん。ほかは特に何もしてないですよ、と続けるものの、純正のブラック車両と比べるとその内容がよく分かってくる。外装色は純正と異なるツヤがあり、隼やSUZUKIなどのロゴ類も純正に同じ形ながら、トーンを変えたブラックとしている。
「ただ黒いってだけならばぱっと外装を塗るって考えるんでしょうけど、それだと元々黒い部分との色も揃わないし、オーダーには沿ってない。ですから塗装屋さんと相談して、外装に使う黒の色を作ったんです。ロゴも貼りつけだとあとあと剥がれてしまうので、すべて塗りにして、最後にクリアで仕上げています」
やっぱりと言える手間があった。よく見れば、もっといろいろなところが黒い。スイングアームピボットに前後のアクスルなどのシャフトにナット、ステップもタンデムステップステーも、その取り付けボルトも…。リンクやメーターのゴールドリングといった部分まで黒い。それでこの統一感が生まれているのか。
「やるのなら徹底して。ステップやボルトはめっき、マフラーカバーは持ち込まれたサイレンサーに合わせて成型した上でアルマイト。ロゴと同じで、どこもあとで色が剥がれたらいやですし」
当然ながらこの塗装のために全バラ、それだけでなく車体各部も全バラ後に色付けし、再組み立てされている。その際にもきちんと給脂やチェックも行われる(新型の新車であってもだ)のはもちろん同店流。
こうして生まれたブラックビューティ・ハヤブサ。ベースとしてのハヤブサの上質さやいい部分も十分に知っている。もちろんカラーへのこだわりも分かるし、より良くしたいから、こうしたアレンジも高い統一感をもってできるということだ。
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Detailed Description 詳細説明
ハザードランプとヘッドライトを点灯した状態。外装色の黒はこの車両のために作りこみ、ヘッドライト上のSUZUKIロゴも塗装で仕上げた。
メーターまわりもフルブラックで統一するためにアナログ表示のエンジン回転計および速度計のアウターリングを純正のゴールド処理からブラックに変更。ステムナットや上下のフォークブラケットもブラック。フォークトップやスイッチ類の機能表示文字は純正そのままとしている。
燃料タンク部に入るSUZUKIロゴ(純正のブラックにはグレーでロゴが入る)などはステッカーではなく、ボディカラーとトーンを変えたブラックで純正に同じ書体とサイズでペイントし、クリア仕上げしている。カウル両サイドの隼ロゴも同様の処理で仕上げられた。
シングルシートカウルはブラックの純正アクセサリーをボディに合わせた黒で再塗装。テールカウル左右のHayabusaロゴもブラック化している。
スイングアームピボットシャフト/ナットやステップの取付ボルトなども純正ではスチールをシルバーめっき処理したものだが、ここではブラックめっき処理してフルブラック化と、内容は徹底している。リヤショック本体などの非分解部については純正で行っている。
テールカウルまわりもブラックペイント。グロスブラックのパーツ上に浮かぶ、ブラックのHayabusaロゴやSUZUKIロゴもよく分かるはずだ。
ボディは純正のグラススパークルブラックとは異なる色味のブラックを、塗装屋さんとブライトロジックで詰めて調色した上でペイントした。隼ロゴ後ろ側の別体トリムパーツも同色でペイントされる。元からブラック成形されている樹脂パーツはそのまま使われている。
フロントフォーク、そして純正ではグレー系となっているアウターチューブや同じくブラックのボトムピースを再着色して、ブラックの色調をボディカラーに揃えている。純正ではシルバー地のアクスルシャフトやアクスルナット、フロントフェンダーやカウルのボルト類も同様だ。
リヤスプロケットやチェーンプラー/ボルト、リヤアクスルシャフト&ナットにステップやステップベース、ステップ各部ボルトもめっきやアルマイトなど素材に合わせた処理を行って、ボディのブラックに揃える。ドライブチェーンも当然、RKのブラックに変更している。
排気系はオーナー持ち込みのUSヨシムラサイレンサーを加工装着。サイレンサーカバーは純正のアルミプレートをこのサイレンサーに合わせたラインで成型し、アルマイト加工でブラック化。スイングアームやブレーキまわりは純正部品だが、ここもブラックで揃えられる。