車両の各部に溢れ出るオリジナリティをキープ

まぶしいホワイトに紺の火の玉パターン。ゴジラマーク入りのマフラーに独特のアルミパーツ……。見る人が見ればすぐそれと気づくだろうZ1。そう、タバックスエンジニアリングによる1台だ。

「19歳でZ1を買って、しばらくしてイベントでタバックスのZを見たんです。何だこれ?! って思って。それである時に八尾市(大阪府。タバックスがあった)を走ってたらそのZが置いてある。それでここだ! って押しかけて。お店の中にはハンドメイドのアルミパーツやフレーム、Zもあって“僕のも作ってください”って頼んだんです。なかなかうんって言ってもらえなかったですけど、ずっと通い続けて“じゃあ作るわ”って、叶えてもらいました」とは、オーナー・東海さんの談。

画像1: 車両の各部に溢れ出るオリジナリティをキープ

15年ほど前のことで、田端さんは自身のツーリング用Z(後方排気の“2006Z”)で走っていた頃。中空構造で上下合わせのトップブリッジやフロントフェンダーはアルミ板材から叩き出して手作業で造形したもの。スイングアームも同じようにハンドメイド。東海さんが持ち込んだXJR用フロントフォークも“そのままじゃダメ”だと、アウターチューブにあえてわずかな段差を手作業で複数入れてファクトリーレーサー感を醸し出した上で装着。

フレームこそタバックスアルミでなくZの鉄だが、補強もレイダウンも行って紺×白の塗装のもと、3本スポークのホイールも含めて、田端さんが好きだった形や仕様が随所に投入されている。

画像2: 車両の各部に溢れ出るオリジナリティをキープ

タバックス・田端さんはこの後ハーレーのV2エンジンを元にZの要素をふんだんに盛り込んでフルアルミハンドメイドしたカスタムマシン「TAVAX 2011V」でカスタム世界一に輝いた。続くアイディアをまだまだ形にしていく中だったが、惜しくも’21年に亡くなった。

でもこの車両は形ある存在、希少なタバックス製コンプリートとして、このように健在だ。前述した各パーツは代えがないものとなったが、エンジンのメンテナンスは整備士としてオーナー自身で行えるとのことで、そこは安心。これからもずっと、走りも見た目も楽しんで元気な車両の姿を見せて続けてほしいものだ。

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Detailed Description 詳細説明

画像1: Detailed Description 詳細説明

メーターまわりはZ1純正で、ハンドルはサンセイレーシング製セパレートをトップブリッジ上に装着し、ステムまわりの造形もしっかり見せる。フロントブレーキマスターシリンダーはブレンボ・ラジアル。ミラーはマジカルレーシング・NK-1ミラーのタイプ3ヘッドだ。

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アルミの板材を叩き出して作った、上下ピースを溶接した中空の上下ブラケットによるステアリングステムはタバックス製。もちろんハンドメイドだ。

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燃料タンクはZの純正を、田端さん(Zをデザインした多田憲正さんを尊敬していた)が自分のZと同じようにオーダーペイントしている。

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シートはノーマルをベースに加工。テールランプはタバックスオリジナルのアルミフェンダーレスブラケットでマウントされている。

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シンプルなブラケットと緩やかな曲線によるペダルを持ったステップキットもタバックス製。フレームはスイングアームピボット上ほか各部に補強が入れられた上でタバックスのアルミフレームZ(こちらはバフ仕様)に近い色調のシルバー塗装が施される。

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エンジンはノーマルべースでオイルクーラーを追加。そのステーやフロントスプロケットカバーもタバックス製。キャブレターはFCRφ35mmだ。

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フロントフォークはXJR1200のφ43mmで、ボトムケースはわずかな段差を加えて'80年代のファクトリーレーサー用フォークの切削感を演出する。フロントフェンダーもアルミ。フロントブレーキキャリパーはAP・CP2696で、フロントディスクはGSX-R1100純正を流用している。

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リヤブレーキもAP・CP2696キャリパー+GSX-R1100ディスクの組み合わせ。カーボンシェルを持ち、その前後エンドをテーパーとした独特の形状のサイレンサーを持つマフラーもタバックスオリジナル。ステッカーのゴジラは田端さんの好きなもののひとつだった。

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オーリンズショックのロアマウントがアーム本体に食い込むように形作られたスイングアームもタバックス製アルミ。ホイールは田端さんが好きだったマルケジーニ中空3本スポークで、黒ベースに青のリムストライプもそうだった。サイズは3.50-17/5.50-17インチ。

取材協力:タバックスエンジニアリング ※2021年2月に閉店

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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