レプリカブームの中、GPZ400Rのヒットで「独自路線」を決め込んでいたカワサキも、TT-F1、F3のワークスマシンのDNAを持つレプリカ・ZXR400を投入。カワサキらしく、最強・最速を狙うハイスペックマシンだ。
文:オートバイ編集部、太田安治

カワサキ「ZXR400」特徴・回顧録(太田安治)

画像: Kawasaki ZXR400 1989年 総排気量:398cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 シート高:765mm 車両重量:188kg 前モデルのZX-4からうって変わって、TT-F3を戦うワークスレーサー、ZXR-4のイメージを強く反映したスタイリングに一新。

Kawasaki ZXR400
1989年

総排気量:398cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
シート高:765mm
車両重量:188kg

前モデルのZX-4からうって変わって、TT-F3を戦うワークスレーサー、ZXR-4のイメージを強く反映したスタイリングに一新。

1980年代中盤以降、ホンダ、ヤマハ、スズキがレプリカモデルを続々と登場させていたのを横目に、GPZ400R、GPX400Rというスポーツツアラー的なモデルを展開していたのがカワサキ。1988年のZX-4でレプリカ路線に最後発として参入した翌1989年には、熟成期に入っていた他社のレプリカ達を一気に飛び越える戦闘力を備え、ワークスレーサーと同じ車名が与えられたZXR400を投入した。

市販車初の倒立フォークを装着した車体、フレッシュエアをエアクリーナーに送るK-CAS採用のエンジンはサーキット走行に全振りした特性。さらにSP仕様はクロスミッションにハイカム、FCRキャブレターの一人乗り専用モデルで、街乗りなどまったく考えていない構成に、カワサキらしい潔ささえ感じた。群雄割拠の400レプリカ戦国時代、最後に天下を獲ったのがZXR400だった。

カワサキ「ZXR400」各部装備・ディテール解説

画像: アルミツインチューブフレームを採用。メインビーム部は日の字断面の押し出し材を使用、ピボット部は鋳造パーツとした。

アルミツインチューブフレームを採用。メインビーム部は日の字断面の押し出し材を使用、ピボット部は鋳造パーツとした。

画像: ZX-4用をベースにヘッドまわりを新作して圧縮比をアップ。エキパイは集合部の形状を見直した新設計のものが採用された。

ZX-4用をベースにヘッドまわりを新作して圧縮比をアップ。エキパイは集合部の形状を見直した新設計のものが採用された。

画像: メーターまわりは当時の流行だったレーサー風のレイアウトで、速度計は別体式。タコメーターのレッドゾーンは14500rpmから。

メーターまわりは当時の流行だったレーサー風のレイアウトで、速度計は別体式。タコメーターのレッドゾーンは14500rpmから。

市販車として初めて倒立フォークを採用。ホイールは軽量な中空3本スポーク、タイヤは60扁平のラジアルタイヤが標準だった。

カワサキ「ZXR400」関連の歴代モデル 1989年~1999年

ZXR400R(1989)

全日本F3にワークス参戦したZXR-4のピュアレプリカとして登場。アルミe-BOXフレームやK-CASなど妥協のない造りが魅力。

画像: ZXR400R(1989)

ZXR400R(1990)

バルブタイミングを変更、スイングアームも「KIS-ARM」となった。写真はクロスミッション採用のシングルシーター「R」。

画像: ZXR400R(1990)

ZXR400R(1991)

フルモデルチェンジ。異形ヘッドライトの滑らかなスタイリングを採用、フレームはアルミプレス材の新設計となった。写真はR。

画像: ZXR400R(1991)

ZXR400(1992)

グラフィックを当時流行したブラッシュタイプに変更。出力の自主規制上限変更に伴い、パワーは53PSになった。

画像: ZXR400(1992)

ZXR400 LIMITED EDITION(1993)

鈴鹿8耐をZXR-7が制したのを記念した350台限定モデル。レーサー同様のカラーを採用し、スポンサーロゴステッカーも同梱された。

画像: ZXR400 LIMITED EDITION(1993)

ZXR400(1999)

最終モデル。グラフィックのない、単色のライムグリーンを採用、SP仕様であるシングルシーターの「R」も用意された。

画像: ZXR400(1999)

カワサキ「ZXR400」主なスペック

※諸元は1989年モデル

全長×全幅×全高2025×705×1125mm
ホイールベース1395mm
最低地上高120mm
シート高765mm
車両重量188kg
エンジン形式水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量398cc
ボア×ストローク57×39mm
圧縮比12.1
最高出力59PS/12000rpm
最大トルク4.0kg-m/10000rpm
燃料供給方式CVK32キャブレター
燃料タンク容量16L
変速機形式6速リターン
タイヤサイズ(前・後)120/60R17・160/60R17
ブレーキ形式(前・後)Φ300mmダブルディスク・Φ240mmシングルディスク

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