長年重ねたスープアップに静粛性目的でFIを追加

火の玉カラーのゼファー750カスタム。前後17インチ仕様のナナハンらしいコンパクトさを前後足まわりの大幅変更によってスポーティに伸ばしたという印象が伝わってくるが、よく見ると吸気系がちょっと違う。フューエルインジェクション=FI化されているのだ。

これまでにも多くのキャブレターモデルがFI化へのカスタムを試みてきた。ドライバビリティの向上や効率の向上を狙って。あるいは新しい燃料供給をオーソドックスモデルに取り込みたいというような意欲。この車両では、どちらの目的もありながら、オーナーが狙ったのはちょっと意外なことだった。

その前に触れておけば、車両自体はもう十数年をワンオーナーで過ごしていて、日常=街中からツーリング、走行会などのスポーツ走行とまさに多目的に使われてきた。各部に受けてきたカスタムも多く、仕様自体も何度も変わってきた。そうして車体も作り込んできた上でのFI化オーダーだった。

画像1: 長年重ねたスープアップに静粛性目的でFIを追加

「オーナーさんの言う目的は“静かにするため”でした。周辺のこともあって、ということです。FI化以前はFCRキャブレターでしたが、その作動音も含めて音は抑えたいと。排気系はいろいろやれますけど、吸気は……ということで、FIになったんです」

作業を行ったバグースモーターサイクル・土屋さんは軽く説明してくれる。だが、FI化への専用パーツというものはないから、あれこれ探して形にしていった。スロットルボディとインジェクターは現行FIモデル用から探す。これをエンジンにマウントするアダプターはオリジナルワンオフ。燃料は自然に流れないから燃料ポンプも要るし、適切な量の燃料を決めてスロットルボディに吹き出すための各種検知用センサに演算用フルコンピュータ。ハードがあればいいだけでなく、燃料量と点火を最適にするセッティングも不可欠だ。

画像2: 長年重ねたスープアップに静粛性目的でFIを追加

それらを次々とこなした上で、このように完成。実際に聞く走行音は、少しの排気音が聞こえる程度で、確かにキャブレターなどからのような他の音はない。現代ミドルモデルよりも静かかもしれないというレベル。しかも1500rpmあたりから全開にしてもストールの心配なく、柔軟に走っていける。オーナーも納得のようだ。

バグースでは多くのゼファーのためにパーツやオーバーホールをはじめとした手法によりよいものがないか探し、形にしている。パーツは簡単に使えるようにしているし、手法はこの車両のように、ノウハウの蓄積になる。それらがゼファーに向けられているから、バグースの作業やパーツには安心感と、次に何が来るかの期待が持てる。このFI化ゼファーは、その期待を大きく高める1台と言っていいだろう。

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フロントまわりはノーブレストのE×Mオーリンズ倒立パッケージで構成され、ステアリングステムはスカルプチャー。フロントマスターはブレンボRCSでクラッチホルダーはコーケンだ。メーターのインジケーターランプ部左にはノックセンサのモニタを追加して、FIセッティングに活用した。

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火の玉カラーが施された燃料タンクとサイドカバーはともに純正で、当初からの仕様。十数年の時を感じさせないほどにきれいだ。

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シートはバグースお勧めのアイテム。人気のアルカンターラ表皮も使いつつ乗りやすい形状に。テールカウルはパワービルダー製を装着する。

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ステップは25mmバック×25mmアップの1ポジション設定となるストライカー・スペシャルステップキットのブラックを装着している。

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フェンダーレス化した上でテールカウル〜シート下にはFIをコントロールするECUのMoTec M84フルコンやetc車載器などをスマートに収める。

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各センサからの信号を演算し点火/燃料量を3D制御。写真はカムセンサ。ほかに油温、大気圧、吸気圧などのセンサとクランクセンサが追加される。

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エンジンは738ccのノーマルスペックだが、オーバーホールやポート加工なども行われ、850cc化の予定もある。ウイリー製パルサーカバーやストライカー・ガードスライダーなど、カスタムらしく質や機能を高めるパーツも備える。スロットルボディ下には燃料ポンプが置かれる。

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FCRφ35mmからFI化した吸気系を見る。スロットルボディはφ38mmのZ1000で、内部通路を段差なく最適化したアダプターをバグースで製作してセットしている。φ34mmボアのような状態を意識し、φ38mm口径でも1500回転からスロットル全開にしてもストールなく回る仕上がりを得た。

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フロントブレーキはブレンボ.484キャリパー+サンスター・プレミアムレーシングディスクで、フロントフェンダーはE×Mパッケージ同梱のカーボン品。

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リヤブレーキはブレンボP2 34キャリパーをKEINZサポートでサンスター・プレミアムレーシングディスクにセット。排気系はバグース・フルチタンエキゾーストだ。

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スイングアームは7N01アルミ目の字断面材ハンドメイドによるウイリー製でRXコート(ブラック)仕様。リヤショックはオーリンズ。ホイールはアルミ鍛造のマルケジーニM10Sで3.50-17/5.50-17サイズを履く。多くの部分のボルトが64チタンに換装されている。

取材協力:バグースモーターサイクル

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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