Z900RSには’17年末の東京モーターショーデビュー時から“Z1 Style”の外装を提案、以後もその装着を容易にするインナータンク等を充実させてきたドレミコレクション。2021年春、ついにそのラインナップが揃った。その全貌とポイントを軸に代表・武 浩さんに聞いた。
※本企画はHeritage&Legends 2021年5月号に掲載された記事を再編集したものです。

空冷Z1のイメージを一気にまとえる

バイクの外装を純正から丸ごと取り替えて別のバイクのイメージを楽しんでしまう。いわゆる“コスチュームプレイ”=コスプレの概念を持ち込み、空冷Zの世界をその現代版モデルと言われるZ900RSによって、もっと気軽に楽しんでほしい──。

ドレミコレクションの代表・武さんのこの考えが、いよいよ全面展開を始めた。毎年春の東京モーターサイクルショー(’18/’19年。’20/’21年は中止)でそのプロトタイプを展示してきた“Z1 Style”が、いよいよ各色塗装済みで市販がスタートしたのだ。

基本としては2020年に先行して発売されたドレミ製スチールインナータンク(容量14Lで車検対応、燃料ポンプ類は純正がそのまま付けられる)を購入して、装着しておく。それさえしておけば、今回の“Z1 Style”、あるいは今後追加されるだろうZ900RS用外装キットが載せられる。

画像: ▲揃えてみたくなるZ900RS Z1 Style タンクカバー各色/今回撮影したのは5パターン。いずれもドレミ製Z900RS Z1 Styleタンクカバー(FRP製)で、写真では付属する専用取り付けステーも装着。左から「2018-19火の玉(キャンディトーンブラウン×キャンディトーンオレンジ)」(塗装済みはこれのみ単品販売があり、他はセット販売)、「火の玉」、「黄タイガー」、「赤タイガー」、「青玉虫」。ほかにイエローボール、茶玉虫、DOREMIカラー、好きにカラーリングするベースとなる無塗装ペイントベースもある。もう少し踏み込んでおくと、出揃ったのはZ1の純正カラー塗装済みのセット。初代'73年型の火の玉(同パターンのイエローボールもあり)、'74年型Z1Aの赤タイガーに黄タイガー、'75年型Z1Bの青玉虫(同じく茶玉虫もあり)。よく言われるZ1AもZ1Bも通称で、車名はどれもZ1。そう、いわゆる「Z1」の純正カラーが一気に揃ったわけだ。

▲揃えてみたくなるZ900RS Z1 Style タンクカバー各色/今回撮影したのは5パターン。いずれもドレミ製Z900RS Z1 Styleタンクカバー(FRP製)で、写真では付属する専用取り付けステーも装着。左から「2018-19火の玉(キャンディトーンブラウン×キャンディトーンオレンジ)」(塗装済みはこれのみ単品販売があり、他はセット販売)、「火の玉」、「黄タイガー」、「赤タイガー」、「青玉虫」。ほかにイエローボール、茶玉虫、DOREMIカラー、好きにカラーリングするベースとなる無塗装ペイントベースもある。もう少し踏み込んでおくと、出揃ったのはZ1の純正カラー塗装済みのセット。初代'73年型の火の玉(同パターンのイエローボールもあり)、'74年型Z1Aの赤タイガーに黄タイガー、'75年型Z1Bの青玉虫(同じく茶玉虫もあり)。よく言われるZ1AもZ1Bも通称で、車名はどれもZ1。そう、いわゆる「Z1」の純正カラーが一気に揃ったわけだ。

ここに紹介したのはそのセットを次々とドレミコレクション本社のショールームで付け替えていってのもの。ドレミの4本出しマフラーやワイヤスポークホイールとも相まって、どれもがZ1のスリムで流れるようなスタイルにぐっと近づいているのが分かる。

細かなパーツからも全体のまとまりを高める

「実は、新しいパーツが加わっているんです」と武さん。何だろう。

「メーターアップステーです。ちょっとしたパーツですけど、意匠登録もして発売しました。専用ヘッドライトステーと合わせて使うといいですね。Z900RSはそれ自体としてはまとまっていますけど、Z1に近づける時にはヘッドライトもメーターも低いなと思ってたんです。その位置を補正して、上げてやります」

なるほど、これでメーター/ヘッドライトからタンクにかけてのラインが自然になっているわけだ。この流れはそのまま、リヤのフェイクツインショックまでにも続く。武さんがZ1 Style開発中から言ってきた“デフォルメ”。Z1とZ900RSは別のモデルだから、近づけるためにはイメージを大事にしながら形を考えていくこと。それと“Z1を知るからこそ抱けるイメージ”は、こうして高いバランスを持ってミックスされる。それはZ1 Styleに用意されたふたつの火の玉カラーの動きでも分かるようだ。

「インナータンクを使う外装カバーキットはタンクカバーもサイドカバーもテールカウルもセットで、当社指定のZ1純正カラー。もうひとつは、Z900RSの’18-’19年型純正火の玉カラータンクカバーで、先行販売したサイドカバーやテールカウルをこのカラーのドレミ製に換えてくださっていた方が、インナータンクと組み合わせて使えるもの。Z1とRSは同じ純正火の玉でも色味そのものが違いますから、RS純正火の玉のオーナーさんが後者を使ってくださるだろう。そう思ってたんですが、前者の方が圧倒的に売れるようです。

Z1をよく見ている、知っているという方はこの外装セットの開発時から前者、Z1の火の玉カラーを買おうと考えてくださってたんでしょう。最近Zを知ったという人も、同じように感じたのかな」

画像: ▲ドレミコレクション代表の武 浩さん。リプロパーツ製作をはじめ、長年空冷Zに携わって鍛えた目をゼファーやZ900RSにもコスプレとして反映させている。

▲ドレミコレクション代表の武 浩さん。リプロパーツ製作をはじめ、長年空冷Zに携わって鍛えた目をゼファーやZ900RSにもコスプレとして反映させている。

Z1そのものを知らなくても憧れる存在。それに近づけたい。そうした熱意もユーザーには強いし、Z900RSはそれを受け入れてくれる。それも熟知した上で、純正火の玉カラーのRSに乗っている人にも買いやすい選択肢が用意されているのはありがたいことだ。

「それに加えて、外装セットとして最初に出した“無塗装ペイントベース”というのがありますから、カスタムペイントをしたい人はこちらでも楽しんでもらえます」と武さん。バリエーションはもっと広げられるというわけだ。しかも、前述のインナータンクがあれば外装セットはタンクカバーをボルトオン、サイドカバーやテールカバーも純正に同じマウント方法で付け替えられると、容易でもある。

「ここはドレミ製キットでもこだわっている部分です。最初に東京モーターショーでの同時デビューという形で声をかけていただいたカワサキに迷惑のかかるような製品にしてはいけない。だからテールカウルは純正に同じ7点留め。インナータンクも鉄製で車検対応というのはそういうことです。ただ外側だけ似せるのは簡単ですけど、私たちはそうした付け方や素材にも気を配っているんです」と武さん。そうした、表に見えない部分は確かに信頼の裏付けになる。

その上で、このZ1 Style外装キットがあれば、タンク(カバー)など外装を外して清掃やメンテナンスを行った時に気分転換に別カラーという変更もできる。それが塗装済みで1セット税込み17万500円というのもリーズナブルだ。もう1台買う予算で5カラーを揃えてマフラーやホイールも換えられると考えると、可能性はより広がる。そんなZ1 Style外装キット、ドレミでは塗装部門が全力稼働中という勢いだ。

「それでもお待たせすることもありますので、買おうという方は予約をお願いしています。予約順がそのまま出荷順になりますから」と武さんは続ける。出揃ったZ1 Styleで楽しんで、もし飽きが来たり、目立てないなと思うなら前述のペイントもある。そうしているうちに、武さんは“ローソン Style”“Ninja Style”をラインナップに加えてくれる予定だ。そうなると、Z900RSとコスプレの世界は、もっともっと広がっていく。

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メーター位置を自然にするメーターアップステーを新作

画像1: メーター位置を自然にするメーターアップステーを新作
画像2: メーター位置を自然にするメーターアップステーを新作
画像3: メーター位置を自然にするメーターアップステーを新作
画像4: メーター位置を自然にするメーターアップステーを新作

より格好いいZ1ルックを実現するためにメーター位置を約4cm上げる新製品が「Z900RS メーターアップステー」(意匠登録商品。写真中2点は単品と装着時、左右は装着後のメーター位置が分かる)。初回ロットはステンレス製の限定製作でボルトオン。「Z900RS ヘッドライトアップステーKit」と合わせると使いやすい(ノーマルヘッドライトステーを使う場合はノーマルメーターステーのカット加工が必要になる)。

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すべてをコンバート可能にするインナータンク

画像1: すべてをコンバート可能にするインナータンク
画像2: すべてをコンバート可能にするインナータンク

「Z900RS スチールインナータンク」は今回紹介するZ1 Styleタンクカバーだけでなく、今後登場予定のタンクカバーも使うためのベースになる重要パーツ。スチール製で表面地鉄仕上げ、容量14L(純正は17Lだが、まったく不足ない)。タンクキャップや燃料ポンプはZ900RS/CAFEの純正品を移植して使えるし車検対応だから、1度付ければ次々カバー交換が楽しめる。下は今回の外装をスタッフが付け替えている様子だ。

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Z900RSノーマルカラーとZ1スタイルカラーはそれぞれに合わせる

画像1: Z900RSノーマルカラーとZ1スタイルカラーはそれぞれに合わせる
画像2: Z900RSノーマルカラーとZ1スタイルカラーはそれぞれに合わせる

上の黄タイガーは左が「’70年代カラー」でラインがやや明るい。右がZ900RS純正。下は火の玉カラーの「2018-19火の玉(キャンディトーンブラウン×キャンディトーンオレンジ)」とZ900RS純正火の玉カラータンクを並べた。既にこのカラーのテールカウルなどを持っている人向けだ(購入時に問い合わせるといい)。

画像3: Z900RSノーマルカラーとZ1スタイルカラーはそれぞれに合わせる

Z900RSには純正でZ1をモチーフとしたカラーがある。’18-’19年型の火の玉=キャンディトーンブラウン×キャンディトーンオレンジと、’20-’21年型の黄タイガー=キャンディトーングリーン。それらはZ1純正と色味が異なっていて、ドレミのZ1 Style外装はそこにも対応している。写真のテールカウルはともにドレミ製で、車両装着品が空冷Zに合わせた「火の玉」、上がZ900RS純正色で、このように色味が異なる。

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Z1の純正パターン同士でカラー違いも楽しめる

同じ形でありながら、同時に持つことが難しかった年式違いやカラー違いのZ1。それが、このドレミコレクション製Z900RS Z1 Style外装カバーセットならウエアや気分によってある時は火の玉、ある時はタイガー、玉虫……と簡単に実現できる。

●青玉虫カラー(’75 Z1B/Z2B)/シリーズ中唯一のブルーをタイガーパターンで表現

画像1: ●青玉虫カラー(’75 Z1B/Z2B)/シリーズ中唯一のブルーをタイガーパターンで表現
画像2: ●青玉虫カラー(’75 Z1B/Z2B)/シリーズ中唯一のブルーをタイガーパターンで表現
画像3: ●青玉虫カラー(’75 Z1B/Z2B)/シリーズ中唯一のブルーをタイガーパターンで表現

空冷Z1/Z2がZ900/Z750に移行する前の’75年型の青玉虫カラーを再現するセット。他のZ1 Style外装カバーセットもそうだが、ドレミ製フェンダーレスキットまたはメッキリアフェンダーを併用するのがスムーズ。カラーについてはZ1やゼファーでも使っている、ドレミと塗装業者で決めた近似カラー(他のカラーも同様)。

画像4: ●青玉虫カラー(’75 Z1B/Z2B)/シリーズ中唯一のブルーをタイガーパターンで表現

この外装カバーセットは装着例(いずれもワイヤスポークホイールやドレミ製4本出しマフラー、フェイクツインショック等も装着)のようにドレミ製製品でトータルコーディネイトすることが推奨されている。写真左側が’75年型750RS(Z2B)、右側が同じくZ1(Z1B)のカタログで、このカラー/パターンがモチーフとなっている。

●赤タイガーカラー(’74 Z1A/Z2A)/初のカラーチェンジで現れたタイガーパターンを再現

画像1: ●赤タイガーカラー(’74 Z1A/Z2A)/初のカラーチェンジで現れたタイガーパターンを再現
画像2: ●赤タイガーカラー(’74 Z1A/Z2A)/初のカラーチェンジで現れたタイガーパターンを再現

「Z900RS Z1 Style外装カバーセット 赤タイガー」は上で紹介の青玉虫カラー同様にセットでのみの販売。セットには「Z1 Styleタンクカバー、専用取り付けステー」「Z1 Styleサイドカバーフロントセクション 右/左」「Z1 Styleサイドカバー 右/左」「Z1 Styleテールカウル」が含まれる。

画像3: ●赤タイガーカラー(’74 Z1A/Z2A)/初のカラーチェンジで現れたタイガーパターンを再現

’73年型として登場したカワサキSuper4 モデルZ1、いわゆるZ1が翌’74年型(Z1A。車名はZ1のまま)になるとカラーを変更。火の玉カラーの配色をラインパターンで表した赤タイガー(左写真)と、同パターンで配色が異なる黄タイガーが設定された。’74年の750RS(Z2A)も同カラーだ。

●黄タイガーパターン(’74 Z1A)/タイガーパターンをZ900RSに反映しつつZ1に近づける

画像1: ●黄タイガーパターン(’74 Z1A)/タイガーパターンをZ900RSに反映しつつZ1に近づける
画像2: ●黄タイガーパターン(’74 Z1A)/タイガーパターンをZ900RSに反映しつつZ1に近づける

黄タイガー(トラカラー)のZ1 Style外装カバーセット装着例。これもセットのみの販売。’20-’21年型Z900RS純正のキャンディトーングリーンとは異なり、Z1タイガーカラーに近づけたオリジナルカラーで塗装されている。

画像3: ●黄タイガーパターン(’74 Z1A)/タイガーパターンをZ900RSに反映しつつZ1に近づける

上の赤タイガーの色違いとなる黄タイガー。’74年型Z1カタログの写真と、Z1 Styleの黄タイガーカラーを並べて比べてみても違和感が感じられないように、当時のイメージをしっかり表現していることが分かる。

●火の玉(’73 Z1)/Z1/Z2のイメージリーダーとなる火の玉カラーの大本命

画像: ●火の玉(’73 Z1)/Z1/Z2のイメージリーダーとなる火の玉カラーの大本命

誰もがZ1もしくはZ2、いや、Zと言われてすぐに思い浮かべるだろう火の玉カラー。これまでドレミコレクションが旧車Zやゼファー用外装セットで扱ってきた、旧車Z1に近づけたカラーで塗装されてZの雰囲気をZ900RSに投影している。セットのみでの販売。

●2018-19火の玉パターン(Z900RS純正カラー)/Z900RSの純正カラーを施して適合テールカウル等と統一化

画像1: ●2018-19火の玉パターン(Z900RS純正カラー)/Z900RSの純正カラーを施して適合テールカウル等と統一化

「Z900RS Z1 Style タンクカバー 2018-19火の玉(キャンディトーンブラウン×キャンディトーンオレンジ)」は単品での販売。Z900RSの’18-’19年型が採用した純正火の玉カラーに合わせた調色で、従来展開してきた同カラー用のテールカウル/サイドカバーを使っている人がコーディネイトに迷わないようにしている。

画像2: ●2018-19火の玉パターン(Z900RS純正カラー)/Z900RSの純正カラーを施して適合テールカウル等と統一化
画像3: ●2018-19火の玉パターン(Z900RS純正カラー)/Z900RSの純正カラーを施して適合テールカウル等と統一化

上はZ1現役当時カラーの「火の玉(’73 Z1)」、下はZ900RS純正カラーに合わせた「2018-19火の玉パターン(Z900RS純正カラー、キャンディトーンブラウン×キャンディトーンオレンジ)」。ともにタンクエンブレムやサイドカバーエンブレムは別売品を参考装着。こうして並べてみると同じパターンでも色味が違うことが分かる。

画像4: ●2018-19火の玉パターン(Z900RS純正カラー)/Z900RSの純正カラーを施して適合テールカウル等と統一化
画像5: ●2018-19火の玉パターン(Z900RS純正カラー)/Z900RSの純正カラーを施して適合テールカウル等と統一化

’73Z1を見れば、ドレミZ1 Style外装カバーセットはこのスリムで流れるような形を再現したとよく分かる。

画像6: ●2018-19火の玉パターン(Z900RS純正カラー)/Z900RSの純正カラーを施して適合テールカウル等と統一化

’75年型750RS(Z2B)。同年Z1とともに採用された茶玉虫カラーで、これもドレミ製セットに用意される。

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Zらしいディテールを作り出す4本出し&集合マフラーもラインナップ

画像1: Zらしいディテールを作り出す4本出し&集合マフラーもラインナップ

ドレミコレクションでは外装カバーセットだけでなく、Zらしいディテールを作り出す各部パーツやマフラーも展開している。今回の装着例では「Z900RS 4本マフラー JMCA公認 ストリート4(メッキ)」を装着。スチール製で音量89dB、JMCA公認マフラーで意匠登録済み、Z1を彷彿させる4本出しのスチールマフラー。

画像2: Zらしいディテールを作り出す4本出し&集合マフラーもラインナップ

φ42.7mmエキパイ/φ80mmテールパイプでZ1現役当時を思い起こさせるショートタイプの4in1フルエキゾースト「JMCA認証フルエキゾーストマフラー スタンダードタイプ(車検対応)」は上の火の玉や下の黄タイガーとの組み合わせを見ても分かるように、Z1 Styleのカスタム感を高めてくれる。

画像3: Zらしいディテールを作り出す4本出し&集合マフラーもラインナップ

取材協力:ドレミコレクション

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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