国内4メーカーとプロダクトデザイン1社のデザイナーが講師を務める特別講座が開催されるということで、学生と一緒に二輪デザインの魅力を探ってみた。今回参加できなかったデザイナーを志す学生の皆さんに向けて、二輪デザイナーになるにはどうすればいいのか、普段どのような仕事をしているのか、などを各メーカーのデザイナーに根掘り葉掘り聴いてきました!
まとめ:オートバイ編集部/写真:関野 温
この記事は月刊『オートバイ』11月号の記事を一部編集し掲載しています。

第10回「二輪デザイン公開講座 in 名古屋芸術大学」

二輪のことを知らない学生も参加できるデザイン講座

画像: カラフルなTシャツを着ているのは参加した学生。後方で黒いTシャツを着用するのは、講師を務めたデザイナー陣。

カラフルなTシャツを着ているのは参加した学生。後方で黒いTシャツを着用するのは、講師を務めたデザイナー陣。

画像: ホンダの澤田琢磨さんは、新型車が誕生する過程でデザイナーはどのように関わっていくのかなどの舞台裏を教えてくれた。

ホンダの澤田琢磨さんは、新型車が誕生する過程でデザイナーはどのように関わっていくのかなどの舞台裏を教えてくれた。

画像: 初代ヤマハV-MAXやSRXなどをデザインしたGKダイナミックスの一條 厚さんは、プロダクトデザインの魅力について講演した。

初代ヤマハV-MAXやSRXなどをデザインしたGKダイナミックスの一條 厚さんは、プロダクトデザインの魅力について講演した。

2022年9月1日〜2日、名古屋芸術大学において、ホンダ、ヤマハ、カワサキ、スズキ、GKダイナミックスのデザイナーが主催する「二輪デザイン公開講座」が開催された。今年で10回目を迎えるこの講座は、昨今の若者のクルマ・オートバイ離れにより、デザイナーを志す学生の減少を危惧したもので、モビリティデザインへの興味を醸成するために開催されている。今回は全国の大学でデザインを専攻する32名の学生が参加した。

この講座は2日間に渡り、「手描きスケッチ」「デジタルスケッチ」「CMFデザイン」「クレイモデル」の4つのスキルを、ひと講座2時間という充実した内容で二輪デザインの魅力を体験することができる。この他にも初代ヤマハV-MAXなどをデザインしたGKダイナミックスの一條 厚氏やホンダの澤田琢磨氏による特別公演も行われ、学生たちは二輪デザインの奥深さに耳を傾けていた。

画像: 全国の大学からデザインを専攻する学生32名が参加。それぞれ緑、青、赤、水色のTシャツで4チームに別れて受講した。

全国の大学からデザインを専攻する学生32名が参加。それぞれ緑、青、赤、水色のTシャツで4チームに別れて受講した。

この講座がきっかけでデザイナーになった卒業生からのアドバイス

画像: 左から黒部さん、土屋さん、林さん、冨田さん。

左から黒部さん、土屋さん、林さん、冨田さん。

黒部武輝さん(本田技研工業)
二輪パワープロダクツ事業本部ものづくり統括部 商品開発部 商品開発課 デザイナー(入社6年目)

高校生から大学生になったときは世界ってこんなに広いんだと感じ、大学生から社会人になったときはさらに世界が広がった。知識先行で変な先入観を作らないためにも、学生のうちにたくさんのことにチャレンジして、興味を持ったことからどんどん違う世界を経験してください。バイクを知っているかどうかは関係ありません! 二輪業界でお待ちしてます!

土屋さおりさん(ヤマハ発動機)
クリエイティブ本部プロダクトデザイン部 プロダクト4Gr.(入社3年目)

とにかく学生時代はいろんなことにチャレンジしてください。私は大学に行きながらナイトスクールで服飾の専門学校に通っていました。バイクとまったく異なることをたくさん経験しておくと、入社してからアイデアの引き出しがものすごく多くなります。つまり他人と違うものを持っていることが入社してから役に立ちます。バイクのことは入社してから学びました。今はバイクを2台持ってます!

林 慶典さん(カワサキモータース)
企画本部 デザイン部スタイリング第1課 スタイリングデザイナー(入社2年目)

仕事のスキルは会社に入ってからでも身に付くので、学生のうちにいろんなことをチャレンジしてください。社内でも「デザイナーはたくさん遊ばないと良いものはできない」と言われるくらいです。とくに外国の文化を知ることは大切なので、海外旅行にいっぱい行ってくださいね。早く機種担当になって、お客さんが実際に乗っている姿を見てみたいです。目標はフラッグシップ担当になること!

冨田昇伸さん(SUZUKI 二輪事業本部)
二輪営業・商品部 デザインG(入社3年目)

学生の時にこの講座に参加して、はじめてクレイモデラーという仕事を知りました。これに参加しなかったら今はないですね。学生の皆さんには、単に大学の授業を受けるだけでなく、それ以外で自分のやりたいことをしっかりとやってください。実は入社するまでまったくバイクの知識はありませんでした。二輪免許は入社してから1年後に取得したくらいです。目標はデザイナーに頼られるモデラーになることです。

デザインの基礎「スケッチ・CMF・クレイ」を初体験

画像: スケッチ講座では鉛筆とマーカーのどちらかを選択。鉛筆講座は見本のスケッチをトレースしながら手描きの基礎を学習。アイデアラフは鉛筆で行うことが多いという。

スケッチ講座では鉛筆とマーカーのどちらかを選択。鉛筆講座は見本のスケッチをトレースしながら手描きの基礎を学習。アイデアラフは鉛筆で行うことが多いという。

画像: マーカー講座では暗めのマーカーで陰影の表現の仕方などを学んだ。マーカーの細目と太目があるが、デザイナーの中には太目しか使わない人もいるそうだ。

マーカー講座では暗めのマーカーで陰影の表現の仕方などを学んだ。マーカーの細目と太目があるが、デザイナーの中には太目しか使わない人もいるそうだ。

画像: CMFデザインでは、くじ引きで決まる3つのテーマから自分たちが想定したイメージを元にグラフィックデザインとエンブレムのロゴのデザインを決定する。想像以上に難しいタスクだ。

CMFデザインでは、くじ引きで決まる3つのテーマから自分たちが想定したイメージを元にグラフィックデザインとエンブレムのロゴのデザインを決定する。想像以上に難しいタスクだ。

画像: クレイを削るスクレイパーを使いながら与えられたミッションの形状に仕上げていく。一見簡単そうだが、プロのモデラーでも数時間必要な作業だという。

クレイを削るスクレイパーを使いながら与えられたミッションの形状に仕上げていく。一見簡単そうだが、プロのモデラーでも数時間必要な作業だという。

画像: インダストリアルクレイを使い、3次元の立体を整形する。2次元の曲面は比較的簡単にできるのだが、そこから3次元に持っていく作業は想像力が必要になる。

インダストリアルクレイを使い、3次元の立体を整形する。2次元の曲面は比較的簡単にできるのだが、そこから3次元に持っていく作業は想像力が必要になる。

画像: 最新のWACOM液晶タブレットを使いながらデジタルスケッチを学んだ。近年のデザイナーは二輪も四輪もデジタルでスケッチするのが当たり前になっている。

最新のWACOM液晶タブレットを使いながらデジタルスケッチを学んだ。近年のデザイナーは二輪も四輪もデジタルでスケッチするのが当たり前になっている。

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