2017年に誕生したスズキGSX-S750が新規制対応のために生産終了されることになった。これで、かつてジャパン・スタンダードといわれた4気筒ナナハンが、国産モデルから消えてしまう。600ccで、1000ccでいい? いや、ナナハンにはナナハンのよさがある。
文:中村浩史/写真:折原弘之

スズキ「GSX-S750」インプレ|街乗り

画像: SUZUKI GSX-S750 ABS 総排気量:749cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 シート高:820mm 車両重量:212kg 税込価格:98万7800円

SUZUKI GSX-S750 ABS

総排気量:749cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
シート高:820mm
車両重量:212kg

税込価格:98万7800円

街、山、高速道路すべてのステージを1台でカバーできる懐の深さがある

日本唯一の4気筒ナナハン、GSX-S750。今となっては貴重な「ナナハン」という排気量は、やはり600cc的に軽量な車体と、1000ccクラスの大パワーを兼ね備えているバランスの取れたクラスだと思うのだ。

車両重量212kgはVストローム650より3kgほど軽く、最高出力112PSはCB1300SFと同等。それでいて、もちろんVストロームよりもパワフルで、CB1300SFよりも軽々と振り回せる。

いつでもどこでも誰とでも――これが扱いやすい、コントローラブルなオートバイだと思っているから、やってみた。オートバイで走り回るシチュエーションである、街乗り、高速道路、ワインディング、そしてサーキットまで走ってみよう、と。

画像: スズキ「GSX-S750」インプレ|街乗り

もちろん、シチュエーションごとに最適なオートバイというものはある。街乗りにはジクサー250、高速道路ではGSX-S1000GT、ワインディングにSV650、そしてサーキットでGSX-R1000Rがあれば最高なんだけれど、誰もがみんな、そんなに何台もオートバイを持てるわけじゃない。なるべく、このシチュエーションをカバーできる1台があればいい、それがナナハンだと思うのだ。

街乗りに走り出してみる。まずは750ccという、数字的には大排気量なのに、それを感じさせないコンパクトなサイズが印象的だ。兄貴分のS1000と比べると、数字的にはホイールベースが45mm短く、全幅は10mmスリムで、重量は2kg軽いだけ。けれど、ひと回り小さく、軽く感じられる。

1000ccのズ太いトルクというよりも、軽くフケる並列4気筒エンジンは、アイドリングすぐ上から実用回転域。2000回転も回すと、車体はキビキビと反応し、開けが大きいとスロットルにダイレクトに反応してドン、と来る。これが1000ccだったら、このアクセルオンオフでのギクシャクが扱いづらく感じてしまうだろう。

ハンドリングは軽快なフットワークで、右へ左への切り返しが軽く、アクセルオンオフでの前後のピッチングもコントローラブル。いやぁ、小さい、クルクル回る。ジムカーナには……いやそれはちょっとパワーありすぎか。

スリムだけれど、下半身にぴったりフィットするボディを両ひざではさみ込んで振り回すのは、このサイズ、この重量が限界という気がしてくる。ライダーの体重込みで300kg――このへんがクルクルのリミットだ。

スズキ「GSX-S750」インプレ|高速道路・ワインディングロード

画像1: スズキ「GSX-S750」インプレ|高速道路・ワインディングロード

街乗りのヒラヒラ感を内包する高速道路でのしっとりとした安定感

高速道路に乗り入れてみる。ヒラヒラと軽快だったハンドリングは、スピードレンジが上がることでしっとりと安定感を増し、ノンカウルで心配されるウィンドプロテクションの脆弱さも、日本の高速道路で許されるスピード域ならば一切気にならない。

トップギア6速で80km/hは3500回転、100km/hは4400回転、120km/hは5300回転といったところで、フリクションのないエンジンの、振動のないクルージングが味わえる。レーンチェンジも軽く、うねりのある路面の追従性も申し分ない。もちろん高速道路でのクルージングは、GSX-S1000GTの方が快適に決まっている。けれどGSX-S750でもまったく苦にならないのだ。

高速道路を乗り継いでのワインディングは、ナナハンのよさを最高に実感できるステージだ。ストリートで感じたヒラヒラ感と、高速道路で感じた安定感が同居して、恐怖感なく前後タイヤのグリップを感じながらのコーナリングを味わうことができる。

画像2: スズキ「GSX-S750」インプレ|高速道路・ワインディングロード

さらにワインディングでは、4気筒らしさが快感だ。抑え過ぎられていないサウンドは、日本人が大好きな4気筒ミュージックだし、コーナー進入時のシフトダウンは、ついつい余計にアクセルをあおってレーシング。

このファオーン、ファオーン、ファン、ファン、ファーン――。ライダーならば、この文字だけでリズムがわかるはず。リズムで走る快感がある。

画像: 街乗りして、用もなく高速に上がってパーキングエリアでひと休み。ナナハンの排気量に任せて走る街乗りは、ストレスなく不満感なく、心がのんびりする。

街乗りして、用もなく高速に上がってパーキングエリアでひと休み。ナナハンの排気量に任せて走る街乗りは、ストレスなく不満感なく、心がのんびりする。

スズキ「GSX-S750」インプレ|サーキット

画像: スズキ「GSX-S750」インプレ|サーキット

サーキットで初めてわかる今まで知らなかったナナハンの凄み

どこを走っても気持ちがいいナナハンで、サーキットも走ってみた。とはいえ、もてぎや鈴鹿といった国際サーキットでなく、スポーツ走行を楽しむミニコース、桶川スポーツランドだ。

もてぎや鈴鹿ならば、トランスポーターを用意して、同行者もつけて機材も持ち込んでGSX-R1000Rで行きたいけれど、GSX-S750で気軽にスポーツランというノリで、ミニコースに自走で向かうのだ。サーキットランという「特別な」一日よりも、ツーリングの延長に、バイク趣味の一種として、ツナギをシートバッグに詰め込んでの自走サーキットランだ。

公道では味わってはならないアクセル全開、ABSの効きがわかるほどのハードブレーキング、そしてドライ路面でもトラクションコントロール介入を感じられるような走りは、やっぱりサーキットならではの楽しみだ。

ここで気づいたのが、アクセル全開の時に見せるGSX-S750の凶暴さ。タンク下あたりからゴオォォォ、という吸気音を響かせて、回転上昇にリニアな大パワーが顔をのぞかせるのだ。

誰にでも扱える、よりもちょっとナナメ上。ナナハンは、街に、山に、コースに、毎日乗れるオートバイだ。

画像: 自走サーキットランでは、リアシートバッグを使ってツナギを持ち運び。リアシート面積は先代のGSR750よりやや小さくなって、荷物の積載性は悪くなっている印象だった。

自走サーキットランでは、リアシートバッグを使ってツナギを持ち運び。リアシート面積は先代のGSR750よりやや小さくなって、荷物の積載性は悪くなっている印象だった。

画像: オートバイ編集部からほんの一時間の桶川スポーツランドで、15分×2本だけのスポーツ走行。ミラーを外して保安部品にテーピングして、公道では味わえないGSX-S750の実力を味わう。

オートバイ編集部からほんの一時間の桶川スポーツランドで、15分×2本だけのスポーツ走行。ミラーを外して保安部品にテーピングして、公道では味わえないGSX-S750の実力を味わう。

画像: ちょっと変わった使い方に、筑波サーキットで行われた自転車9時間耐久レースに先導車として参加してみました。6速2000rpm50km/h巡行で、燃費表示は35km/Lをマーク!

ちょっと変わった使い方に、筑波サーキットで行われた自転車9時間耐久レースに先導車として参加してみました。6速2000rpm50km/h巡行で、燃費表示は35km/Lをマーク!

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