文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
ホンダ「CBR250RR」インプレ(太田安治)
公道での爽快な走りに主眼を置いた充実進化
CBR250RRは、クラス初の電子制御スロットル、ライディングモードなどを備えた最先端スーパースポーツ。デビュー以来、レースでも速さを見せつけ、セールスも好調だ。
しかし、4気筒45馬力エンジンを最大の武器とするカワサキのNinja ZX-25Rの登場もあってか、新型CBR250RRは2020年9月、41馬力にパワーアップ。クイックシフターもオプションとして設定し、スポーツ性の向上をアピールしている。
まず市街地を走ったが、ゼロ発進、そこからの加速は前モデルより少し力強さが増している。新採用のアシスト&スリッパークラッチは実に軽く、繋がりが自然なことも扱いやすさに貢献している。8000回転あたりから勢いを増して回転が上昇する爽快さは前モデルと同様で、扱いにくさはまったくない。新旧モデルを乗り比べてみたが、全域でパワーに厚みが増したことを体感できた。
前モデルより高回転・高出力化が進んでいるが、公道で走らせている限りは劇的な差は感じない。それよりも1万回転から1万4000回転までの高回転域で前モデルより軽く回り、振動も少ないことが印象的。この回転域を使ってのコーナリング中にスロットルを開け閉めしても唐突な反応は出ず、サーキットでは安心して攻め込めるし、タイトターンの多い峠道でもパワーを引き出しやすい。
もうひとつ感じたのが前後サスペンションのバランスが良くなったこと。フロントは小さなギャップも優しく吸収するようになり、乗り心地が向上。ストローク奥での踏ん張りも増し、フルブレーキング時や左右へ切り返したときの車体姿勢変化が抑えられた。
試乗して感心したのは、3馬力アップしたことも、市街地で実感できる力強さと高回転域での軽やかで素直なフィーリング。CBRの主眼はあくまでも公道での乗りやすさと爽快感だと思う。