面倒になりそうなパートを先回りして考える

Z1に始まった空冷Zシリーズの最終進化モデル、GPz1100がベースの1台。すっきりしたテールまわりやスイングアームからはきっちりとしたカスタムの感覚が伝わってくるが、フロント18/リヤ17インチのホイールはGPzのノーマルを履いている。手を入れたサンクチュアリー コウガ・立入さんのコンセプトはどうなのか。

「オーナーさんは元々Zに乗ってらして、このGPzもいずれ乗ろうと持っていたんです。それで乗り換えのタイミングがやってきたんですが、この先も手を入れていくことになるだろうという流れを考えて、先にやれることをフルにやっています」

その“やれること”というのが冒頭、スイングアーム等に始まるリヤまわり主体というわけだが、これが興味深いところ。

画像1: 面倒になりそうなパートを先回りして考える

「リヤサスのリンクとスイングアームに今のスーパースポーツ、YZF-R6用を使いました。GPzもモノサスではあるんですけど、当時の純正ユニトラックは純正モノサス初期ということも含めて少し特殊な作りですから、現代の一般的なリンクタイプにする。

合わせてフレーム側、ショックマウントも加工するのですが、今後リヤも今の17インチから18インチにしたいとかいうことになった場合を考えました。その場合、長さなどが違うショックを使おうということも出る可能性もあるので、その場合でも対応できるよう、別体プレートを介するようにしています。上はショックマウント上、下はリンクロッドをマウントする部分。これなら改めてフレーム本体の加工までしなくても、対応できます」

確かに面倒は少なさそうで、多彩な仕様のショックに対応することができそう。しかもフレームに3次元で加工を行うのでなく、マウントプレートを作ればいい合理性もある。目からウロコの感じだ。

画像2: 面倒になりそうなパートを先回りして考える

「シートも純正で面倒な開閉を、今風に一発でできるようにして、テールライトも大きいのでスマートに作り替えました。シート下やインナーフェンダーも、先に要るという要素を見越して作っています」

プレート変更で換装できるように=フレーム追加工なしを前提にリヤサスまわりができているから、その他の部分は先に完成形が作り込める。

今後の変化も含めて長く楽しむだろうことが分かっているから、その変化を実現するためにその都度作り直しするのでなく、調整という範囲で済むように先に作り込んでおく。乗る方も変化を容易に楽しめるし、これは注目すべき手法だろう。

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外装は純正で、純正パターンをメタリックカラーにリペイント。ウインカーは小型LED化しフロントはオイルクーラー左右上に置く。

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メーターはタンク上の液晶表示燃料計/警告灯も含めノーマルで、ヨシムラ・マルチメーターを追加。ハンドルはセパレートアップタイプに変更。

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リチウムイオンバッテリーや点火ユニット、ETC車載器などをインナーフェンダー内にスマートに収め、シートキャッチも現代的に加工してある。

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シートは着座部分周囲のエッジを落とし足着き性や操作性を高めた。テールランプも薄型LED、ウインカーもスリムなLEDに変更する。

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「スペック自体のアップはしていませんけど」(立入さん)というエンジンは1089ccの排気量はそのままにフルオーバーホール。マフラーはサビていたKERKERメガホンの後半部を仕立て直した上でスーパートラップマフラーの前半部と合体して角度も変更、装着した。

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純正でフューエルインジェクション(KEFI)を採用していた燃料供給はTMR-MJNφ38mmキャブレターに変更。コックはピンゲル製だ。

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AVDS(オートマチック・バリアブル・ダンピング・システム)装備のφ37mmのフロントフォークはGPz純正で、セッティングして使う。

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アッパーリンクの純正ユニトラックから通常リンク式にしたリヤサス。スイングアームとリンクはYZF-R6用で、ショックユニットはオーリンズ。フレーム側は2カ所の別体プレート(赤い部分、この写真は上側)をがセットできるように加工し、今後の変更に対応。

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赤い部分はフレームから伸び、リンクロッドをマウントする下側の別体プレート。フレームを現状のリンク/ショック用に加工していた場合、以後リンクやショックを換える時にフレーム再加工となったが、ここではプレートを作り替えれば対応できるようにした。

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2.15-18/3.00-17サイズのホイールはGPz1100純正で、リヤはスイングアーム変更に合わせて大径(φ28mm)アクスルが入るようにベアリングを交換し、インナースリーブやホイールカラー、キャリパーサポートマウントブラケットを製作。ステップはSSイトウ製だ。

取材協力:サンクチュアリー・コウガ

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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