※本企画はHeritage&Legends 2021年2月号に掲載されたものです。
カタナに限らずバイクの基本を重視して手を入れる
旧車から現行機種、国内モデルから輸入車まで、実に多くの車両を扱っているブライトロジック。スズキ車だけでも、GSやカタナを含むGSX、最新M0に至るまでの水冷/油冷GSX-R、ハヤブサなど、歴代機種が幅広く並ぶ。
販売車両も多く手がけ、空冷カタナはその軸のひとつ。各車両はフレームからレストアとカスタムの手法を織り交ぜて組み上げられ、コンプリートされていく。すっとした立ち姿の美しさや各部作動の軽さは同店の車両を紹介する際に何度か触れたが、空冷カタナではスイングアームやステップを始め、精度良く取り付けられて、軽く動くパーツを使っているんですよと、ブライトロジック・竹中さんに聞いた記憶がある。そこをもうひと掘りすると?
「パーツそのものはどれがお勧めとかではなくて、実際にいいかどうか。ステムならシールやベアリングがちゃんとしてて、ステアリングヘッドがガタなくスムーズに動く。スイングアームも同じで、適切なトルクで締めた時に正しく動く。これはカタナに限らず、どのバイクでも一緒ですよ」
ごく当たり前のことを実行して、それに合うパーツを使っているだけだと言う竹中さん。確かにカタナの先代に当たるGS750/1000でも、GSX-R1000やハヤブサでも、同じようにしてパーツが選ばれていた。全バラから組み立てる際にラバーシール類やベアリングが新品にされていることや、フレームやエンジンの仕立てがしっかりしていることも、どのバイクでも共通だった。
「カタナだから何か特別にしないと、ということはないんですよ(笑)。ただ、さすがに古くなってる車両でしょう? 初代SZだと40年、ファイナルでも20年。そのことは考えておきたいですよね。長く持ってる人ならなおさらという気もします。
その中でも一番気にしたいのは電装系です。フレームも古ければ見直したいし、エンジンも同じですけど、これら機械的なものは突然壊れるというよりも、だんだんと摩耗、劣化していきます。でも電装系は突然壊れるし、そこがだめだと動きません。ですから電気、ハーネスにコイル、点火ユニットもまとめて新しくしたい。ノーマルでもいいですけど、そこにこだわることはないと思います。
今回紹介してもらった車両でもブラックボックスはGSX-R系だったり、ハーネスも水冷GSX-Rを元に引き直したりして、新しいものを使っています。世代が新しい分、機能も高まります」
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足着き性を良好にし自然に乗れるネイキッドへ
BRIGHT LOGIC KATANA/KATANAをネイキッドとして見た場合の機能と魅力を高め“自然に乗りたくなって楽しいKATANA”として仕立てた1台。空冷カタナにも通じるような全体の伸びやかな印象作り、そして足着きの良さを含めたライディングポジションの見直しを行い、身近感も作り込んだ
スクリーンはヨシムラ・ウインドアーマーでハンドルは「ステムをダイレクトに回せる機能が重要」(竹中さん)という考えから、高さは抑えられて絞りも少なく、グリップ部の延長線がステムセンターに来る形状をと、現行の他機種用バーを流用。グリップ位置が前の方に行き、自然な位置で握れるようになった。フロントマスターはブレンボRCSでクラッチもワイヤから油圧駆動化した。
可変リンクロッド(リンクプレートの下/同店市販予定品)によってテールライト部分で40㎜ローダウン。これが本来の位置だったのではないかというほどに着座時のなじみが良く、足着き性ももちろん良好になる。安心感も大きく高まり、バイクも一気に身近になる。またラジエーターサイドのフロントウインカーは移設した上で大型のシュラウドを新作して視覚的なバランスも取る。
ホイールはマグネシウム鍛造のMAGTAN JB4(3.50-17/6.00-17サイズ)でABS検知プレートはブライトロジックでワンオフして対処。ブレーキキャリパーはブレンボCNC GP4 RX/ニッケルコートでディスクはブレンボTドライブ。フロントフォーク/TTXリヤショックはオーリンズと、このあたりはブライトロジックの定番と言える作りで上質さも高められている。スイングアームはGSX-R1000K9を加工し磨き、ステップはウッドストック。
前後ウインカーは超小型の高輝度LEDに変更、フロント側はポジションライト部に内蔵した。点灯時はこのように光り、被視認性も高い。下はリヤウインカーの点灯時で、超小型ながら点灯部を露出することで後方からも側方からも視認しやすくなっているのだ。