空冷Zの柔軟なエンジン特性を味わえる理想型

前後17インチのハイグリップラジアルタイヤを前提にした上で剛性とディメンション設定を行い、強度と靱性に優れたSTKM13C鋼でオリジナル製作した「1R9S」フレーム。これにいわゆる空冷Z、KZ1000のエンジンとフューエルインジェクションを組み合わせた上で積んだ、アメリカのRCM USA社製「A16」。スタートエディションが30台限定で生産され、それを日本のACサンクチュアリー本店で輸入、同店でカスタム化とセットアップを行うという車両だ。シングルシート仕様がA16R、ダブルシート仕様がA16Sという名で呼ばれる。

写真の車両は2016年のA16登場直後からA16Rのデモ車として活躍してきたもので、シリアルナンバーは004。当初ハンドルはセパレートタイプだったが、新たにA16Rの素性を広く知ってもらうための試乗車としての役割が加わり、利便性を高めるためにバーハンドル化されている。

画像1: 空冷Zの柔軟なエンジン特性を味わえる理想型

19/18インチのノーマルではなく、前後17インチに合わせて作られたそのフレームゆえか、車両にはかなりコンパクトな印象がある。現代のリッタークラスネイキッドの中でも、スリムに思えるほどで、足つき性やポジションにも無理はない。ヘッドパイプとスイングアームピボットの位置関係を最適化し、フロント分布荷重を増し、ステムシャフトの大径化やベアリングの大容量化も行っているという内容も聞けば、このフレームはまさに現代バイクのそれだ。

エンジンは見ての通り空冷Z。内容に関しては鍛造ピストンによる1105cc化やクランクの芯出し修正。オリジナルのオーバーサイズバルブ&オリジナルスプリング、同じく焼結合金製ガイドなど、フルリビルド&バランス取りに調整が行われる。そこにFIを組み合わせて燃調と点火時期を細かく合わせ込んで、Zらしい吹け上がりの感触を維持しつつ、現代モデル並みの柔軟性を作り込んでいるのだ。

画像2: 空冷Zの柔軟なエンジン特性を味わえる理想型

もしカワサキが空冷Zシリーズの開発と生産を’80年代中盤で終了させずに、時代に応じてずっと進化を続けていたら、今こうなっていたのではという形。Zベースの17インチ・コンプリートカスタムでも、その域に達している素晴らしいものはある。ただA16は、それらとは出発点を異にしている。Zエンジンに合わせた、今の17インチ用の車体を用意し、そこにエンジンをコンバートしたらこうなっていたという状態。他にない作り方による車両を、少しの台数ではあるけれど、提供してくれたのだ。

▶▶▶ヘリテイジ&レジェンズが取材した最新のカスタム・バイクはこちら!

Detailed Description詳細説明

画像1: Detailed Description詳細説明

当初ハンドルはセパレートタイプだったが、現在はデイトナ製バーに変更。ブレーキ/クラッチマスターはブレンボレーシングで、レバーはZETA・RCMコンセプト。ブレーキ/クラッチのラインはアレーグリ・ショルトシステム。オフセット35mmのステムはA16専用品だ。

画像2: Detailed Description詳細説明

燃料タンクはアルミインナー+FRPアウター。ここではZの丸タンクに合わせた形状の丸タンクカバーを製作している。塗装はYFデザインによるもの。

画像3: Detailed Description詳細説明

A16Rはシングルシートカウルを装着。Z純正のようなダブルシート仕様にもでき、そうして製作された車両はA16Sとネーミングされる。

画像4: Detailed Description詳細説明

キー開閉式シングルシート下、アルミサブフレーム部にはFI制御用フルコンのLINK・ATOMが収まる。ほかにもFI補機類が整然と並ぶのが分かる。

画像5: Detailed Description詳細説明

STKM13C製のオリジナルフレーム「1R9S」は当初からヘッドパイプとスイングアームピボットの位置、チェーンラインのオフセットやショックマウント位置等、戦後17インチホイール向けのディメンションとして狙った数値で製作される。エンジンはヴォスナーφ73mm鍛造ピストンを使い1105cc化。カムシャフトはウェブ395、バルブはサンクチュアリーオリジナルの1mmオーバーサイズで、クラッチはPAMSの後期型キットだ。

画像6: Detailed Description詳細説明

ファンネル仕様のスロットルボディは、これまでのZ1000用φ38mmからZX-10R用φ43mmに変更された。このボディをエンジンにマウントするスピゴットもアルミ削り出しで新作されたが、そのノウハウは今後のRCMにも応用される。オイルクーラーは11in13段を装着。

画像7: Detailed Description詳細説明

フロントフォークはオーリンズRWUでサンクチュアリーE×Mモード・パッケージによってフロントフェンダーやキャリパーサポートも合わせて変更。フロントブレーキはブレンボGP4 RXキャリパー+サンスター・ワークスエキスパンドφ320mmディスクの組み合わせ。

画像8: Detailed Description詳細説明

スタンドフック付きのスイングアームはスカルプチャーのA16専用品で、リヤブレーキはブレンボCNCキャリパー+サンスター・ワークスエキスパンドφ250mmディスク。3.50-17/5.50-17サイズの前後アルミ鍛造ホイールはO・ZレーシングGASS RS-Aで、ドライブチェーンにはEK530をチョイスする。

画像9: Detailed Description詳細説明

サブフレームにきっちり沿ったベースを持つステップキットはA16専用品。スプロケットカバー、チタンマフラーはナイトロレーシングだ。

取材協力:ACサンクチュアリー(SANCTUARY本店)

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

▶▶▶ヘリテイジ&レジェンズが取材した最新のカスタム・バイクはこちら!

This article is a sponsored article by
''.