広島県福山市を拠点にGPZ900Rを主体に活動するカスタムショップ、MCジェンマ。同店ではライダーの使い勝手に合わせてニンジャのシャシーを組み上げるJCG-N(JAPAN CURRENT GEMMA NINJA)を考案。ユーザー提供をスタートした。ニンジャカスタムに向けたJCG-Nのシャシーコンストラクトという考え方を紐解いていく。

シャシー製作への専念と分業化で納期圧縮を実現

「今のショップを始めたのは2011年、今年でちょうど10 年になります」と言うのは、MCジェンマの代表・石田道彦さん。当時から、自らが乗りやすさに納得する仕様を決め込むために、様々なカスタムにトライしたそうだ。

「それこそ、ピボットを下げてみたり、キャスターを立てたり寝かせたり、補強を入れたり純正フレームより緩くなるように補強を剥がしてみたり……。特にフレームまわりに関しては考え得る限りの仕様を試していたんです。 そんな中、人を介して知り合ったケイファクトリーの桑原代表が、『イジったフレームを作ったから、石田さん、乗ってみないか』と。走らせると、これが驚くほどに乗りやすかった」(石田さん)

画像: ▲JCG-Nフレーム。

▲JCG-Nフレーム。

ケイファクトリーのニンジャは、本誌(月間誌Heritage& Legends)2020年6月号のニンジャ特集内でも試乗記事を既報した、まさにそれ。前後17インチホイール化したニンジャを気持ちよく走らせようと、取材時の桑原ニンジャは純正位置から15mm、ピボット位置を下げる加工が施されていた。

「良いピボット位置を見つけたけれど、ケイファクトリーはパーツメーカー。一般ユーザーのフレーム加工サービスまで手が回らない。引き継いでもらえないかという桑原さんの言葉を受けて、それならウチでやりましょう、と」

2年前から本格的に石田さんと桑原さんはニンジャ・シャシーを煮詰め、いよいよ今年からMCジェンマによるJCG-Nの名称で、フレーム加工サービスをスタートしたのだと言う。ケイファクトリー・ニンジャと同様のリンクセットもJCG-Nで選択可能にもなった。

「ただし、ネックはカスタム作業を提供しようにも、MCジェンマは僕ひとりのショップ。1台を仕上げるために長時間、お客さんを待たせてしまうことになる。ニンジャを今、楽しんでいるお客さんたちの多くは50歳代後半の方々。失礼ながらこの先、どこまでバイクを楽しめるか。その世代の桑原さんからは、『さっさと作らないと、ユーザーはどんどんお爺さんになってニンジャに乗れなくなる。早く納車できる方法を考えよう』ってハッパもかけられる(笑)。

画像: ▲純正のピボットマウント穴の下に、前後17インチホイール化に適切となるマウントを新設。ピボット位置可変式のKファクトリー製ステップを併用して組み立てる。フレーム補強はライダーのスキル、使用目的に合わせてフレキシブルに対応。

▲純正のピボットマウント穴の下に、前後17インチホイール化に適切となるマウントを新設。ピボット位置可変式のKファクトリー製ステップを併用して組み立てる。フレーム補強はライダーのスキル、使用目的に合わせてフレキシブルに対応。

それなら、ニンジャのエンジンを得意とするプロショップさんは多くいらっしゃるし、そうした皆さんにお客さんをつないで好みのエンジンを仕上げてもらい、僕はシャシーのカスタムと組み立て、お客さんのニーズに合わせたセッティングに専念できるかなって考えているんですよ」(同)

つまり、コンストラクターの立ち位置。石田さんが考えるニンジャ・カスタムの理想は、バイク自体にクセを作ることなく、何より『ニンジャが好きだ!』というライダーが、街中からサーキットまで楽しめること。先の世代を考えれば、エンジンもトップパフォーマンスは必要ない。それよりも、壊れずに安心して乗り続けられるニンジャが、多くのお客さんに期待されているのではないか、と言う。

「エンジン製作に関しては、すでにトレーディングガレージナカガワさんともお話を始めさせていただいています。同店でコンプリートエンジンを製作していただいて載せてもいいし、他に作ってもらえるお店があるなら、そこでも構わない。もちろん、僕もやれますが、先の通り時間がかかる。桑原さんも仰ったように、最高のニンジャを少しでも早くお客さんの手元にお届けするのが、今の僕に出来る使命ですから」(同)

プロショップでフレームにまで手を入れるヘビーカスタムは納車まで1年以上、下手すれば数年かかるのは当たり前。そんな常識を分業で短縮しようとする石田さんの情熱は、『ニンジャを楽しみたい人を同じニンジャ好きとして応援したいから』。ピュアに取り組むMCジェンマは当然、同車オーナーなら注目のショップなのだ。

石田ニンジャ最新仕様! GPZヘッド+ZZRケースエキパイはテスト中

自在に変化する石田ニンジャの最新状態がこちら。エンジンはZZR1100クランクケースにニンジャヘッドを搭載した、通称“デカヘッド”仕様に積み換えられて、ワイセコ製ピストンで105cc化。エキゾーストパイプには「実走行での各種テストを頼まれたんです」という、新コートが施されたものが装着されていた。それ以外の仕様はインプレ編記事のままという。

画像1: 石田ニンジャ最新仕様! GPZヘッド+ZZRケースエキパイはテスト中
画像2: 石田ニンジャ最新仕様! GPZヘッド+ZZRケースエキパイはテスト中
画像3: 石田ニンジャ最新仕様! GPZヘッド+ZZRケースエキパイはテスト中

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レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

本企画はHeritage&Legends 2021年11月号に掲載された記事を再編集したものです。

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