文:小松信夫
バイクはエンジンの特性を身体で感じやすい乗り物
エンジンのレイアウトは、単気筒とか4気筒とかの「シリンダーの数」と、直列とかV型とかの「シリンダーの配置」の組み合わせだ。もう一つ「排気量」という要素によって、エンジンのアウトラインが決まる。
1885年にダイムラーとベンツによって世界初のガソリン自動車が誕生して以来、現代に至るたゆまぬ進化を続けてきた結果、今ではこの排気量で、こんな用途で、これぐらいのパワーが欲しい、とないう条件を設定すれば、だいたい最適な組み合わせは決まってしまう。
しかし二輪車の場合、エンジンが単なるパワーユニットではない、というのが面白いところ。エンジンルームに搭載されその存在を隠すのが基本である四輪車とは違い、より小さく軽い車体に乗るライダーのすぐそばに、エンジンがむき出しで積まれている二輪車は、数字上の性能に加えてパワーの出方、さらには振動や音など、人間の感覚にダイレクトに訴えるように造り込まれている。
そのいずれの面でも、気筒数や配置は重要な意味を持つ。例えばハーレーの鼓動感や音は45度V型2気筒ならではだし、鋭い吹け上がりも求められる大排気量スーパースポーツの多くは並列4気筒やV型4気筒だ。
そういった色んな組み合わせで得られる機械的な特性を活かし、ライダーの求めるフィーリング(もちろん性能もね)を実現するために、多彩なエンジンが存在する。
そんな中から、自分の好みにあったエンジンを積んだバイクを選ぶことができれば、より長く、充実したバイクライフが楽しめるはずだ。
単気筒エンジン
SR400に代表されるオートバイらしいシンプルなモデルが思い浮かぶ空冷の単気筒モデル。SR400は生産終了となってしまったが、その終了と共にホンダGB350の登場で、にわかに盛り上がり始めたカテゴリー。
水冷でいえばレブル250が単気筒モデルで大人気となっている。また、昨今人気の高い125ccモデルやオフロード車などに採用されている。
2気筒エンジン
空冷2気筒といえばカワサキW800シリーズの並列、ハーレーなどに代表されるV型、またドゥカティのスクランブラーに採用されるL型など、バリエーションが豊富。
さらに、水冷モデルとなれば、昨今の250ccスーパースポーツ系モデルにも多く採用されている。
3気筒エンジン
トライアンフが得意とする3気筒モデル。スピードトリプルやストリートトリプルなどのロードスポーツモデルや、アドベンチャーモデルのタイガーシリーズ、2458ccエンジンのロケットシリーズに搭載される。
国産ではMT-09やトレーサー9GTなどヤマハの大型主力モデルでラインアップされており、独特のエンジンフィーリングが人気だ。
4気筒エンジン
スーパースポーツ、ネイキッド、ツアラーと様々なタイプのモデルで使われる4気筒エンジン。以前は250cc/400ccクラスでも主力だったが、最近ではビッグバイクをメインに使われる高価なエンジンとなってしまった。
250㏄ではカワサキNinja ZX-25Rのみ、400ccではホンダのCB400SF/SBのみ。並列とV型がある。
6気筒エンジン
6気筒エンジンはさすがに希少で、現在、国内モデルではゴールドウイング、ゴールドウイングツアーのみラインアップされ、海外モデルのラインアップを見てもBMW K1600シリーズのみ。
6気筒エンジンのシルキーなエンジンフィーリングを活かし、どちらもロングツーリングに適したフラッグシップモデルとしてラインアップする。
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文:小松信夫