2021年の新型車ヤマハ「トレーサー9 GT ABS」。従来のトレーサー900から大幅に進化を遂げている。改良点は多岐に渡るが、注目はエンジンとフレーム。MT-09譲りの水冷並列3気筒エンジンは排気量を888ccに拡大し、さらに多くの主要パーツを新設計する大改良で最高出力120PSにパワーアップ。フレームは新型MT-09にも採用された軽量なアルミ製と基本的に共通だが、ツアラー向けに剛性バランスを見直して高速時の安定性やタンデムでの快適性を向上させた。
文:山口銀次郎、小松信夫、アドベンチャーズ編集部/撮影:柴田直行

ヤマハ「トレーサー9 GT ABS」各部装備・ディテール解説

画像1: ヤマハ「トレーサー9 GT ABS」各部装備・ディテール解説

フェイスデザイン

コンパクトだが強い存在感を感じるフロントマスク。上側の2灯はLEDコーナーリングライト、LEDポジションランプを一体化、下側の2灯はコンパクトで優れた照射性をもつモノフォーカスLEDヘッドライト。余裕のある光量による圧倒的な視認性に加え、バンク角に応じて調光するコーナーリングライトで夜間走行も安心。


画像3: ヤマハ「トレーサー9 GT」インプレ|トレーサー900から見た目以上に中身が進化、乗り心地も大きく変わった!(2021年)
画像4: ヤマハ「トレーサー9 GT」インプレ|トレーサー900から見た目以上に中身が進化、乗り心地も大きく変わった!(2021年)

ウインドスクリーン

精悍なフロントマスクに機能性をプラスする新しくデザインされた大型スクリーン。レバー操作によって簡単に5mm単位・10段階で手軽に高さを調整可能。ライダーの体格や好み、走行状況に合わせて防風効果の効き方を調節することができる。


画像2: ヤマハ「トレーサー9 GT ABS」各部装備・ディテール解説

エンジン

排気量拡大や各部パーツの変更によるパワーアップと、最新の排ガス規制への対応を同時に果たした新型エンジン。力強い走りをもたらすクランク回りの慣性マス増大を図りながら、エンジン自体は1.7kg軽量化を達成。排気量拡大のためストロークアップもしているが、サイズ自体は従来と同様のコンパクトさをキープ。


画像3: ヤマハ「トレーサー9 GT ABS」各部装備・ディテール解説

サイレンサー

MT-09と基本的に共通デザインの排気系。このようにサイレンサーはエンジンの真下に設けられていて、その底面最後部の左右に排気口が設けられている独特なレイアウトなため、一見するとマフラーが無いように見える。


フロント 足まわり

フロントフォークはKYB製の倒立タイプ。インナーチューブ径はΦ41mmで、電子制御ユニットが組み合わせられる。フロントブレーキはラジアルマウント4ポットキャリパーにΦ298mmローターの組み合わせ。


画像4: ヤマハ「トレーサー9 GT ABS」各部装備・ディテール解説

リア 足まわり

高剛性なアルミ製スイングアームは、ベースモデルのMT-09のものより60mm長いトレーサー9専用パーツ。直進安定性を向上させ、優れたトラクション性能ももたらす。ホイールは鋳造ながら鍛造に匹敵する強度を実現する「スピンフォージドホイール」で、前後で1kg軽量化。タイヤはバトラックス・スポーツツーリングT32だ。


画像5: ヤマハ「トレーサー9 GT ABS」各部装備・ディテール解説

サスペンション

前後サスペンションにはKYBと共同開発した電子制御サス「KADS(KYB Actimatic Damper System)」を採用。IMUとECU、ブレーキを制御するHUからのデータを元に、サスペンションコントロールユニットによって減衰レベルを自動調整。刺激的なハンドリングと快適な乗り心地を高次元で両立させる。


ハンドル

オフロード車的なアップライトでワイドなハンドルバーには強度の高いテーパーバーを使用。グリップウォーマーも備え、コンパクトなハンドガードも装着。ハンドルホルダーを前後逆に装着することで、ハンドルのグリップ位置を9mm前進させられる構造となっていて、ポジションのセッティングに役立つ。


画像6: ヤマハ「トレーサー9 GT ABS」各部装備・ディテール解説

メーター

3.5インチサイズのTFTカラー液晶パネルを左右に2つ並べ、多彩な機能と良好な視認性を確保したダブルメーターがユニーク。多彩な情報や機能を見やすく、同時に表示することを可能にしている。


画像7: ヤマハ「トレーサー9 GT ABS」各部装備・ディテール解説

燃料タンク

燃料タンクの容量は18L。ツアラーに求められる航続性能と、優れた操作性をバランスさせている。WMTCモード値で計算すると航続距離は約360km。


画像8: ヤマハ「トレーサー9 GT ABS」各部装備・ディテール解説

シート

ライダー側、タンデム側を分割させたセパーレートデザインのシートは、ダブルステッチを用いた上質な造り。快適性はもちろんホールド性などを高い次元でバランスさせている。ライダーが座るメインシートは、シート高を835mm・820mmの2段階から選択することが可能だ。


画像9: ヤマハ「トレーサー9 GT ABS」各部装備・ディテール解説

シートレール

サイドケース&トップケースの同時装着にも対応するトレーサー9専用のシートレールを装着。そこに設けられているサイドケース装着用ステーはダンパーが内蔵されていて、ケースが振動するのを抑えて、直進安定性と旋回性を高次元で両立させる。


サイドケース・ユーロトップケース

サイドケースとユーロトップケースがオプション設定されている。サイドケースは容量約30L(片側)で、写真では装着されているサイドケースパネルは別売。ユーロトップケースは容量約50L、フルフェイスヘルメット2個を収納できる余裕のサイズ 。


画像10: ヤマハ「トレーサー9 GT ABS」各部装備・ディテール解説

テールまわり

テールカウル最後部にマウントされる新デザインされたLEDテールランプは、面発光的な立体感のある形状で被視認性も良好だ。LEDウインカーも非常にコンパクトな仕上がり。

画像: 【動画】TRACER9 GT 開発者インタビュー ヤマハ発動機 www.youtube.com

【動画】TRACER9 GT 開発者インタビュー ヤマハ発動機

www.youtube.com

ヤマハ「トレーサー9 GT ABS」主なスペックと価格

全長×全幅×全高2175×885×1430mm
ホイールベース1500mm
最低地上高135mm
シート高820/835mm
車両重量220kg
エンジン形式水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒
総排気量888cc
ボア×ストローク78.0×62.0mm
圧縮比11.5
最高出力88kW(120PS)/10000rpm
最大トルク93N・m(9.5kgf・m)/7000rpm
燃料タンク容量18L
変速機形式6速リターン
キャスター角25°00′
トレール量108mm
タイヤサイズ(前・後)120/70ZR17M/C (58W)・180/55ZR17M/C (73W)
ブレーキ形式(前・後)ダブルディスク・シングルディスク
メーカー希望小売価格145万2000円(消費税10%込)

文:山口銀次郎、小松信夫、アドベンチャーズ編集部/撮影:柴田直行

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