文:小松信夫
スズキ「レイダーJクロスオーバー」の特徴
![画像: SUZUKI RAIDER J CROSSOVER 総排気量:113cc エンジン形式:空冷4ストSOHC2バルブ単気筒 シート高:775mm 車両重量:97kg](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2021/07/15/3abac048198c0402540f731a4661d1b07d947665_xlarge.jpg)
SUZUKI RAIDER J CROSSOVER
総排気量:113cc
エンジン形式:空冷4ストSOHC2バルブ単気筒
シート高:775mm
車両重量:97kg
「グローバルモデル」全盛の現代において、純粋に特定国の市場の要望に特化した「ローカルモデル」は絶滅しつつある、ということをこの連載をやってみて私は気付かされたワケです。今後そんなモデルが存在する可能性が残されてる地域は、世界2位の人口を背景にした超巨大市場のインドと、今まさに猛烈な勢いで発展しつつあるアフリカの一部くらい……。
しかし、そのいずれにも該当しない、かな〜りニッチな市場向けなのに「何じゃこりゃ?」という存在感を放つ最新の「どローカル」モデルがありました。それが今回のテーマ、東南アジアの島国・フィリピンで、スズキが販売している「レイダーJクロスオーバー」なのです!
![画像1: スズキ「レイダーJクロスオーバー」の特徴](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2021/07/15/fc89d4e0a5c51db6f0b3a998965a5e2e206e7480_xlarge.jpg)
何がユニークって、それはもう見ればお分かりでしょう。東南アジアでは大人気のアンダーボーンスポーツなんだけど、フロントマスクは現代的オフロードモデルそのまま、フロントフェンダーも完全にオフロード向けデザイン。
![画像1: スズキ レイダーJクロスオーバー](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2021/07/15/69b339dba58470ef63664d52cfd93f9dc11da26d_xlarge.jpg)
スズキ レイダーJクロスオーバー
この何とも言えないチグハグさ、違和感が凄いんですが、フィリピンのライダーのハートにはビンビンに刺さるようで。
![画像: ホンダ XRM125(2021年ニュージーランド仕様)](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2021/07/15/18d79fbd4e4ce27dd8fb6f16d79849b549ccfce8_xlarge.jpg)
ホンダ XRM125(2021年ニュージーランド仕様)
そもそも、ホンダがフィリピンで2001年に「XRM110」という、アンダーボーン+オフロードテイストなモデルを発売。それがモデルチェンジを繰り返して「XRM125」に進化しながら、根強い人気モデルに成長(今年からニュージーランドでも販売)。
その対抗馬として昨年、まんまXRMと同じコンセプトという直球勝負でスズキがデビューさせたのが「レイダーJクロスオーバー」なのでした。アンダーボーンとオフロードの「クロスオーバー」という、実に分かりやすい車名ですな。
![画像: スズキ レイダーJ115Fi(2021年モデル)](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2021/07/15/8bbf42a6e2efc0308c88aec969cbe5266ec60c40_xlarge.jpg)
スズキ レイダーJ115Fi(2021年モデル)
ベースとなったモデルは、フィリピンにおけるスズキ製アンダーボーンモデルのスタンダードというべき、スポーティなイメージの「レイダーJ115」。
エンジンは最高出力6.8kw=約9.2PSを発揮する113cc空冷単気筒&遠心クラッチ4速ミッションで、仮想敵であるXRM125より排気量が小さい。もちろんスズキにも125ccモデルが存在するんだけど、あえてこちらをベースにして価格をXRMより安くして勝負! ということらしい。
2020年のデビュー発表時にも、派手な演出のイベントを開いてプロモーション攻勢を仕掛けて、日本でも少し話題になりました。
![画像2: スズキ「レイダーJクロスオーバー」の特徴](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2021/07/15/da050aa0cc8bb93fe607a4da35d96becd3a8855e_xlarge.jpg)
フィリピンでは今もなお「レイダーJクロスオーバー」のキャンペーン攻勢が続いている模様。ついこの間まで、購入者を対象に抽選で1名にフィリピンでも人気らしい新型ジムニー、4名にもう1台「レイダーJクロスオーバー」が当たるなんていう、結構豪華なキャンペーンをしてたみたい。日本ではあり得ないな…。
![画像2: スズキ レイダーJクロスオーバー](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2021/07/15/09863e28e3b0e7812300632323db540df253faf7_xlarge.jpg)
スズキ レイダーJクロスオーバー
こんな風に書いてると、「レイダーJクロスオーバー」がキャンペーン頼りで、オフ車っぽい格好だけの存在だと誤解されそうですが、どうやらそうではないらしい。
![画像3: スズキ「レイダーJクロスオーバー」の特徴](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2021/07/15/5df986b1064c5601a77375abaf68c209299e1230_xlarge.jpg)
フロントマスク周り以外の「レイダーJ115」との違いで、目につくのはフロントのディスクブレーキのローターが、ペータルタイプに変更されていることと、フォークブーツ、マフラーのヒートガードくらい。
![画像4: スズキ「レイダーJクロスオーバー」の特徴](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2021/07/15/46a1edb982b674cf8fa179ce164d760278f2f815_xlarge.jpg)
しかし足回りにはオフロードを想定して大きく改良が施されている。剛性を向上させるために、インナーチューブ径をφ31mmとした正立フロントフォークを採用し、ツインショック構造のリアサスペンションも、高性能なダンパーと全く異なるスプリングによって大幅にグレードアップされているという。前後17インチホイールはそのままだけど、標準装着タイヤはセミブロックパターンに変更。
![画像3: スズキ レイダーJクロスオーバー](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2021/07/15/5b7e3f351547bfde9a7ce2bd85963693ca166cd1_xlarge.jpg)
スズキ レイダーJクロスオーバー
スタイリングも、シュラウド風のフレームカバーとか、車名ロゴの入ったシート周りとか、外装パーツは完全に別物だし、結構細かいとこまで凝ったデザイン。シートは形状を変更して、ブレーキング時にライダーが前に滑るのを防ぎ、同時に快適な乗り心地も実現。
よりワイドでアップライトなハンドルと合わせて、ポジション設定にも手が入っているようだ。このように徹底的に細かくこだわって造られ、さらに97kgという軽量さ、もともとしっかりした作りのフレームと合わせ、オフロードでの走り自体も高く評価されている模様。これ、未舗装路もまだまだ多いフィリピンでは重要なポイント。もちろん使い勝手の良さや信頼性、燃費なども高いレベル。
![画像: ホンダ CT125・ハンターカブ](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2021/07/15/7def8c1ff4d7c4e6f94f05754aa3e1d54d88b575_xlarge.jpg)
ホンダ CT125・ハンターカブ
この「レイダーJクロスオーバー」(やXRM125)の人気ぶりは、フィリピンだけの特異な現象? とも思う。しかし、よくよく考えてみれば、実用的なアンダーボーンの車体とシンプルでタフなエンジン、オフロード走行にも耐える足回りの組み合わせというのは、便利で使いやすいパッケージということだ。
それは今まさに日本でも大人気のCT125ハンターカブとも重なってくる。たまたま今ユーザーに受けるデザインが、日本ではレトロなCT風で、フィリピンでは最新のオフ車風だった、ということで、求めている機能自体はそんなに変わらないのです。
![画像: カラー:イエロー](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2021/07/16/7479a653866304edc3f6901970797ede87cd5a73_xlarge.jpg)
カラー:イエロー
![画像: カラー:レッド](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2021/07/16/fecfb070356faf7f5df8198c4b0c8f63ad0001ed_xlarge.jpg)
カラー:レッド
![画像: カラー:ブルー](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2021/07/16/21069f50db7e36d9ca0e83d523b541ca6c267f19_xlarge.jpg)
カラー:ブルー
![画像: カラー:ブラック](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2021/07/16/8baac078ff26e9da1df9b6c311a584090d5818a7_xlarge.jpg)
カラー:ブラック
ちなみに「レイダーJクロスオーバー」には、スズキのオフロードのイメージカラーであるイエローをはじめ、レッド、ブルー、ブラックの合計4色のボディカラーを設定。このことも、幅広い要望に応えることを狙っているのがよく分かる。
文:小松信夫
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【公式動画】RAIDER J CROSSOVER official promotional video | Suzuki
日本語の解説付きです!
【フィリピンの公式プロモーションビデオ】Raider J Crossover Product Video
www.youtube.comスズキ「レイダーJクロスオーバー」の主なスペック
全長×全幅×全高 | 1970×810×1048mm |
ホイールベース | 1224mm |
シート高 | 775mm |
車両重量 | 97kg |
エンジン形式 | 空冷4ストOHC2バルブ単気筒 |
総排気量 | 113cc |
ボア×ストローク | 51×55.2mm |
圧縮比 | 9.4 |
最高出力 | 6.8kw/7500rpm |
最大トルク | 9Nm/6500rpm |
燃料タンク容量 | 4L |
変速機形式 | 4速リターン |
タイヤサイズ(前・後) | 70/90-17・80/90-17 |
ブレーキ形式(前・後) | ディスク・ドラム |