カラーズインターナショナルが手がけるカスタムパーツブランド、ストライカー。多彩な機種に向けた多様なパーツを送り出し続けるこのブランドが、2021年9月に25周年を迎える。『そこで新しい動きを起こす』と代表の新さんは言う。その詳細を聞いてみた。

カスタムパーツブランド、ストライカーの今後
創業からこれまでレースで鍛えた機能をストリートへと応用する

“ストライカー”。カスタムファンではなかったとしても、スポーツバイクに乗っているなら一度は聞いたり見たりしたことのある名前だろう。カラーズインターナショナルが送り出す、カスタムパーツのブランドだ。そのストライカーが、2021年9月で25周年を迎える。

画像: ▲カラーズインターナショナルの代表、新 辰朗(あらた たつろう)さん。1980年代中盤からプロライダーとして活躍、1990年代にはヤマハYZR500やYZF750SPで全日本選手権に参戦。引退後からほどない1996年に同社を興し、同社は2021年に25周年を迎える。

▲カラーズインターナショナルの代表、新 辰朗(あらた たつろう)さん。1980年代中盤からプロライダーとして活躍、1990年代にはヤマハYZR500やYZF750SPで全日本選手権に参戦。引退後からほどない1996年に同社を興し、同社は2021年に25周年を迎える。

「もう少し前から事業は始めていて、1996年にカラーズインターナショナルとして法人化してから25周年。ゼロから始めて、私がずっと全業務の中心にいたのですが、今ぐるっと周りを見れば、スタッフもそれぞれ独立して仕事が出来るくらいに成長してくれている。そこでストライカーというブランドを改めて考えて、今までやってきたことを見直して、新しい世代に合わせてスタッフに業務を任せていこうと。この節目で改革してみようと思ったんです」

カラーズインターナショナルの代表を務める新 辰朗さんは言う。新しい世代による、新しい動きとアイディアによってブランドを成長させる。企業としては当たり前かもしれない。でも、カスタムの分野ではあまりなかった動きだ。

画像: ▲カラーズインターナショナルでパーツ開発を担当する高橋秀行さん。2014年に同社に入社し、ストライカーブランドでは開発や管理など、パーツに関わる業務を主に担当。これからストライカーブランドを最前線で引っ張る役目を担うことになった。

▲カラーズインターナショナルでパーツ開発を担当する高橋秀行さん。2014年に同社に入社し、ストライカーブランドでは開発や管理など、パーツに関わる業務を主に担当。これからストライカーブランドを最前線で引っ張る役目を担うことになった。

その新しい動きへの展望を知る前に、ストライカーブランドの成り立ちと特徴、これまでのパーツ動向を振り返っておこう。

新さんはこの事業を始める前は、プロのレーシングライダーを生業としていた。1986年には鈴鹿8耐に参戦、1987年には15位など戦績を残し、1990年にはアメリカに渡る。WERAフォーミュラUSAで7勝を挙げ“GUN-BOY”と呼ばれた。1991年には全日本GP500クラスにYZR500で(~1993年、最高位2位)、1994/1995年には全日本スーパーバイククラスにYZF750SPでと、2ストローク/4ストロークとも最高峰クラスをファクトリーマシンで走ってきた。そんな世界で10年以上を戦った後、引退してから、カスタムとパーツの世界に身を移したのだ。

「35歳でしたね。現役を退いてすぐにパーツの仕事を始めました。当初は卸業のような形で関わり、オリジナルブランドを立ち上げました。それがストライカーです。それまでレースでしかバイクに接してなかった身からすると、ストリートのバイクやパーツというものが実に新鮮でした。レース時代は、バイクは道具だったんです。仕事でタイムを出す、速く走る。ですからバイクのどこの部分がどう動いているかというようなことには目が向いてなかった。当時の(レーシング)ライダーはほとんどそうでしたよね。今みたいに、レースもやるけど普段からツーリングしたりという人は少なくて、レースとストリートは同じバイクでも、全然違う世界の話でした。今思えば、ライダーの時にそんなことに興味があれば、もっとパーツのことが分かって良かったかな(笑)と思いますけど」

画像: ▲1991年から伊藤園レーシング/YZR500で全日本GP500クラスに参戦、1992年にランク7位となって迎えた1993年の新さん。

▲1991年から伊藤園レーシング/YZR500で全日本GP500クラスに参戦、1992年にランク7位となって迎えた1993年の新さん。

そう新さんは言うが、新さんがこの頃に培った操作の感覚は、常にストライカーブランドの軸にあったと言える。それはストライカーならではの優位点でもあった。

「パーツを作る時には、まずどんな形だと格好いいかというデザイン性を考えます。その上で、確実に機能が高まるもの。“機能はある、でも使ってみないと分からない”ではお客さんに結びつきにくいですから、直感的にまず手に取っていただく。それで機能が良ければ“買って良かった”になって、次からは“ストライカーならOK”という感じで買ってもらえる。 私たちの場合、創業当初からパーツの製作自体は鈴鹿の工場で行っていますが、いいところと付き合えて、それでいい製品になっているというのも大きいですね」

その機能とは、例えば手や足で操作した時に節度があって精度の高い動きをすること。バイクからの情報が豊富に伝わり、走りに集中しやすくすることなど、ライダーの多くに共通する感覚でもある。ストライカーパーツのそうした機能は、新さんがバイクに装着して実際に触れ、乗り、その感覚を細かく反映して作り込まれる。

画像: ▲2014年のTOT(テイスト・オブ・ツクバ)・スーパーモンスターエヴォリューションクラスを走るストライカー・ゼファー1100で、この頃はパーツ開発のために車両を作り込んだ。こうしたところから機能の反映が行われている。

▲2014年のTOT(テイスト・オブ・ツクバ)・スーパーモンスターエヴォリューションクラスを走るストライカー・ゼファー1100で、この頃はパーツ開発のために車両を作り込んだ。こうしたところから機能の反映が行われている。

Z900RSのコンプリートカスタム“SZ”では、パッと跨がった時から自然に思えるコンパクトなポジション、走り出すと感じる操作しやすさや車両との一体感。そうした印象としてライダー/ユーザーにフィードバックされる。それが機能ということになる。

前述の新さんの話には、ライダー時代にはパーツとしての具体的な仕様や素材、作りというものには目が向いていなかったとあったが、ライディング時のポジションはどうなっていて、どう操作すると速くなるのか、うまくマシンコントロールできるのか、身体をうまく使えるのかということを、自身の身体に染みつかせていた。

それがストライカー・パーツ群の中に、自然にフィードバックされていたわけだ。買って使う側としては意識していなかったが、知ると、機能向上にもっと期待したくなる。それについても、この25年の中で、ジャンルやユーザーの好みの変化があったという。

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使い手のニーズも時代に合わせて変化してきた

「創業当時はちょうどカスタムがブームでした。パーツとしてはまずマフラーを、キャブレターを換えようというパワーアップ的なものが一番手。カスタムをしようという人も多かったし、車両もいろんなカスタムが出てきて、憧れられる。私たちもZRX1200やGSF1200などを仕立てて、反響は大きかったですね」

そのマフラーも、スーパーストライカー・チタン手曲げなど多くの製品を輩出し、対応機種もメーカーも増え、マフラー交換を考える際には必ず挙がるブランドへと育つ。その後2000年代に入ってからの騒音や排出ガスの規制は、マフラーやパーツに対する認識を変えていくことになる。

画像: ▲“ストライカー”と聞いてすぐイメージ出来るのは、フルチタンのエキゾーストやスライダー、ステップキットだろう。こうしたパーツ群が対応機種も豊かに用意されている。

▲“ストライカー”と聞いてすぐイメージ出来るのは、フルチタンのエキゾーストやスライダー、ステップキットだろう。こうしたパーツ群が対応機種も豊かに用意されている。

「マフラーは過渡期を経て、今はJMCA認証の有無を気にすると言うより、車検対応で当然という方が増えました。それだけ合法が根付いて、健全になったかなと思います。格好良さや軽さなど性能を求めるという点は変わりませんが、ユーザー層は変わってきて新しいお客さんも入ってきました」

それを象徴するのが、ストライカー“STC”ステップキットだろうか。スポーツ・ツーリング・コンセプト。重量車を基本に、快適にツーリングできるポジション設定を行ったステップキット。ある意味、これは画期的だった。スポーティに走るからステップを換える。この解釈を、ワインディングやレースという視点から、街乗りやツーリングに変えたのだから。これは“マフラーのストライカー”を“いろんなパーツがあるストライカー”に変えたはずだ。 それはイコール、コアなカスタムファンだけでなく、普通のライダーが当たり前にパーツを使い、カスタム化を図る時代に変わってきたということにつながる。

「私もミーティングやショーの会場でお客さんのダイレクトな意見もいただき、それをアレンジしてパーツを作るという中で、そういう動きも如実に感じました。それで、こちらも冒頭のような新しい動きをすることにしたんです」 時代の流れを常に掴み、魅力ある商品を製作し、確立されたブランド、ストライカー。新さんは自身の“ARATA”ブランドで思うところを形にするようにし、ストライカーには新しい可能性を託す。それは、どんなものだろうか。

これから未来へ機種ごとの特徴や要望を細かく拾い上げて昇華する

これからのストライカーブランドはどう進むのか。その牽引役を担うのは、パーツ開発を担当してきた高橋さんだ。どんな展望を抱いているのか、聞いていこう。「正直、私でいいのかなという感じで少し驚いています。でも、やること自体は基本的には変わらないですから、今までの路線を軸にしながら、スタッフ一同で、新しいことを柔軟に取り入れて進めることになります」

そう言う高橋さんは、この業界では若手と言っていい37歳。外から勝手に考えると、新さんがストライカーを起こした年齢とほぼ同じだ。それも可能性と言っていい。2014年にカラーズインターナショナルに入社し、パーツ開発を主として活動してきた。もちろんライダーで、CBR600RRや1000RRなどを乗り継いできたという背景からも、スポーツモデルに必要な機能や作りに理解があることが十分に読み取れる。そしてこれからはギヤを1段上げる形で、パーツ開発により力を入れることになる。では高橋さん、どういうコンセプトでその開発に臨むのか。

画像: これから未来へ機種ごとの特徴や要望を細かく拾い上げて昇華する

「まずはデザインです。多くの方はバイクを格好良くしたいでしょうから、そこに応える。機能を高めるのは当然です。もし同じ機能のものが並んだ場合、デザインのいい方が選ばれます。そこで手に取っていただいた上で機能も満足してもらえたなら、次も選んでいただけます。幸い機能面では、ストライカーとして蓄積されてきたベースデータがありますから、そこからアレンジもしていけます」

新さんが挙げていた“デザイン+機能”は、しっかりと継承される。機能は、多くの機種用パーツを展開する中で、例えばステップのバー位置はどのくらい上×後ろという基本データから始めて、当該機種に合わせるということができる。ただ、それだけで済まないことも、十分承知されている。高橋さんは実際に、昨年中盤に登場したスーパーチャージドネイキッド、Z H2や久々の4気筒クォーター、Ninja ZX-25R。そしてまだまだ新たなパーツが各社から発表されているZ900RSなどのパーツで、力を発揮した。

画像: ▲Z900RSを同社アンテナショップのストライカーワークスでコンプリートカスタム化した“SZ-021”。

▲Z900RSを同社アンテナショップのストライカーワークスでコンプリートカスタム化した“SZ-021”。

Z H2では凝った作りのフルプレートを採用したステップキットや、初回限定カラーのグリーンを設定したアルミビレットフェンダーレスキット。Ninja ZX-25Rではフルチタンマフラーをラインナップ。Z900RSでは近日リリース予定の削り出しヘッドライトステーなどだ。

「Z H2では同系のNinjaH2 SXなどと違って、ステップを外した時のフレームのピボットまわりが中途半端になるんです。せっかくの高質なバイクですから、そこの質感はほしいなと、ベースプレートでその部分をカバーできるようにしたんです。限定色については パーツの色味が車体全体の色に影響したり、ベース車両の支持層の違いも関係してくるんだなと知りました。

それはZX-25Rでも感じました。ステンレス製とフルチタンと2タイプを試作して、製品化を進めていますとSNSにアップしたところ、チタンの支持が圧倒的。エキパイはカウルの隙間から少し覗くだけですけど、ZX-25Rに求められるのはやはり質感、というようなことも分かりました」

機種ごと、ひいてはその使われ方やユーザー層、もちろんルックスを含めた特徴をしっかり掴む。当然今までも行われてきた手法だが、それをより俯瞰的に行うと考えるのがいいだろうか。機種だけでなく、ユーザーやそのニーズも多様化する今、いかに望まれるものを掴んでいくかということだ。

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格好良く高機能なパーツを総合的に提供していく

ところで、高橋さんの言葉にSNSというワードが出てきたが、これも今のパーツ開発には欠かせないものだと説明してくれる。

「今までも新や私も含めスタッフはそれぞれ現場に出て、デモ車やパーツを見ながらお客さんと直接やりとりをして、機種や機能に対する要望をお聞きしてきました。

SNSはその延長だと考えて、ストライカーとして積極的に使っています。先のZX-25Rのマフラーはその例ですし、ユーザーさんに直接接触する機会も増えます。これは大きいですね。こちらから試作途中でアップした写真へのコメントも参考になります。今では普通のライダーが、普通に格好いい、スライダーやステップのようにいい点があるというようにパーツを使うという時代になりました。そうしてパーツの付いた愛車で出かけた写真をアップしたりします。そういうところもチェックして、生かすんです」

画像: ▲Ninja ZX-25Rには「STRIKER“INTER MODEL”SCフルエキゾースト OFF-TypeB JMCA」等を装着。ラインナップにもユーザーの意見を反映する。

▲Ninja ZX-25Rには「STRIKER“INTER MODEL”SCフルエキゾースト OFF-TypeB JMCA」等を装着。ラインナップにもユーザーの意見を反映する。

ユーザー側を向き、どんな機種にどんなニーズがあるかをより深く知ることで、新しいアイディアも浮かぶし、アレンジの方向を変えて魅力をもっと高めることもできる。それは、ストライカーブランドがこれまで築いてきた芯の部分。そこはぶれていない。 加えてストライカーには、バイクやパーツを熟知したスタッフもいる。試作パーツを作る中でスタッフ全員と検討してという改良もある。それはノウハウだ。

では、これからどんな機種を手がけていくのか。そして対象になるのはどんな層なのだろうか。

「メーカーも機種も現時点で結構幅広いんです(笑)。でも先ほども言ったような、パーツを換えて楽しもうという方がおられる機種はカバーしたい。今ならレブルやGB350も気になります。ストライカーとしては、カスタムパーツの総合ブランドとして進んでいきたいですし、そう皆さんに認識していただけるといいですね」

時代に合わせた変化を取り込み、カスタムパーツの存在意義を確実にバイク界に根付かせていくブランドとなったストライカー。発展、進化とは、一端出来上がったバランスを崩していくことでもある。それを乗り越えて、次のステージへ。新さんが改革、と位置づけたストライカー。これからの商品やブランド展開にも、引き続き大きな興味と期待が持てる。

取材協力:カラーズインターナショナル ストライカーモーターサイクルパーツ

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

※本企画はHeritage&Legends 2021年6月号に掲載された記事を再編集したものです。

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