足まわりをアップデートした上で動力系は弱点を対策
「自分が思う方向性と、必要になるパーツやカスタムの内容が違うと結局楽しめない。ですから、自分がどう乗るかなどの使い方をまず整理して、そこから車両を選ぶべき」。
バイクの大型用・洋品店にして、カスタムショップの側面も持つしゃぼん玉でマネージャーを務める滝川さんが、ゼファー1100/750のカスタム化に際してまず教えてくれる言葉だ。
同店にはそれこそ多種多様なハードパーツが置かれ、滝川さんたちスタッフが、そのパーツそれぞれが個々のお客さんとその使い方に向くものなのかどうかを、実際に使った中からのノウハウでしっかりと教えてくれる。それをどう組み合わせていくかについても、答えがある。しかも、しゃぼん玉では、デモ車という形でそれを具体的に見せてくれる。そうすれば、何となくで描いていたようなカスタムのイメージはぐっと湧きやすくなる。もしその車両が自分の考えや使い方と合えば、購入することもできるのだ。
このカワサキ・ゼファー1100も、そんなしゃぼん玉・デモ車のひとつ。車体のほとんどに及ぶパーツ使いなどでフルカスタムらしい作り込みを行い、ブラックベースの塗装で長く飽きさせない。その一方でエンジンはフルオーバーホールとともに弱点対策を加えたライトチューニング仕様として、カスタムでありながらもツーリングやストリートでも気負わずに乗れるような身近さを持たせている。
具体的には「タイヤの選択幅を広げられるようにフロントホイールの17インチ化をまず行います。ただそのままの履き替えでは前下がりでオーバーステアになりますから、トップブリッジをウイングタイプにするか、ステム(ノーマル1100のオフセットは40mmで、これを30~35mmにする)を換えてハンドリングまで調整。サスまわりではまずフロントスプリングで、リヤショックを換えようと思った場合でもフォークスプリングとセットで行う(ここではフロントフォーク交換を選択)。
それが出来てフロントの沈み込みを抑えられるなら、フロントマスターなどを換えて、タッチと制動力を変えていきます」という、滝川さんがノーマルから順番に換えていくべき内容が、すべて入っているという状態と考えていい。個別に、順序立ててゼファー1100カスタムを作ろうとする人にも、これは参考になる。目の前のパートだけでなく、今回はここ、次はここと考える場合にも、このデモ車を見れば最終形態が分かるわけで、一箇所が突出するようなことがなくなる。
もし自分の望むものや形と違うという場合でも、その考えに合うようなスタイルを作ることができるのが、しゃぼん玉だ。このゼファーは、その数多い持ちスタイルの中の、ひとつの例ということなのだ。
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Detailed Description 詳細説明
ステムはしゃぼん玉オリジナルのショートオフセットタイプでフロントホイールの18→17インチ化に対応、ハンドルバーもゼファーに向くしゃぼん玉オリジナルに換装する。左右マスターシリンダーはラジアル化。メーターはここではノーマルに準じたアナログ指針だが、しゃぼん玉では純正のメーターケースに埋め込む形、またはパネル製作という形で正確性や応答性に優れるスタック製への換装も勧める。
テールカウルや、純正では割れやすいことを対策したサイドカバーなど、外装各部はしゃぼん玉オリジナルのカーボン製だ。シートはTo'sカスタムを装着。
エンジンはフルオーバーホールを行うとともに、初期型ゼファー1100の弱点となるミッションの抜けに対する対策も行った。オイルクーラーはアクティブ・ラウンドタイプの下入れ/下出し仕様で、オイルパンは4-1集合マフラーに対応するためフラット化されている。
キャブレターはTMRφ36mmをDNAフィルター仕様で装着。エンジンまわりは全体としてオールラウンドな仕様として作られているという。
φ43mmフロントフォークはオーリンズ正立で、ブレーキはブレンボ4ピストンキャリパー+サンスターディスクの組み合わせ。
リヤショックはオーリンズで、前後ホイールはO・Zレーシング・アルミ鍛造のPIEGA。サイズは[純正サイズ:3.00-18/4.00-17→]3.50-17/5.50-17インチに。スイングアームはGストライカーのセラコート・ブラック仕上げで、マフラーはチタン4-1。ステップキットはアグラスの削り出し品をチョイスした。