フルモデルチェンジされた2021年モデルは、エンジンをこれまでのLツインから強力な新世代V4に変更、アルミ製モノコックフレームも採用するなど全てを一新。「V4 S」はスタンダードな「V4」をベースに、スカイフックサスペンション(DSS)EVOサスの採用をはじめ、ブレンボ製Stylemaキャリパー、クイックシフター、クルーズコントロールなど、装備を充実させて走りも快適性もグレードアップしたモデルとなる。
文:八代俊二、ゴーグル編集部/写真:松川 忍、柴田直行

ドゥカティ「ムルティストラーダ V4 S」エンジン解説

画像: ドゥカティ「ムルティストラーダ V4 S」エンジン解説

GPマシン譲りのV4レイアウトを採用しながら、長期的なメンテナンスサイクルを実現

新型ムルティストラーダV4 Sは、まったく新しいV型4気筒エンジンを搭載し、アドベンーチャーモデルに求められる、タフで過酷かつ柔軟な性能が与えられた。

ドゥカティにとって「まったく新しい時代の扉を開くものです」と言わしめる新エンジンの名称は、『V4グランツーリスモエンジン』。最新鋭のテクノロジーと最高の素材を融合し、それまでにない耐久性と信頼性を確保しつつハイパフォーマンスを達成させている。

V4グランツーリスモエンジンは、究極のパフォーマンスを発揮するよう設計された従来のV4エンジン「デスモセディチ・ストラダーレ」と基本レイアウトとテクニカルディティールを共有し、ドゥカティ初となるバルブ駆動システムを採用し、メンテナンスサイクルを間隔を大幅に延長させた。

デスモドロミック(従来のバルブ駆動システム)と比較してもエンジンコンポーネントへの負荷が少ない、新採用となったスプリング・バルブ・リターン・システムは、エンジンのコンパクト化と軽量化にも寄与する。

また、エンジン低回転域でのスムーズな出力特性も特徴となっており、様々な道路状況や環境に対応するムルティストラーダのキャラクターにとっては大きな武器になることは言うまでもない。

長距離走行を前提としたエンジンの具体的なメンテナンスインターバルは、エアフィルターの点検が30000km毎、オイル交換とエンジンフィルターの交換が15000km(または2年毎)に設定されている。

また、バルブクリアランスの点検&整備とスパークプラグの交換は、60000km毎に規定されており、これは地球を1周半するほどの距離に匹敵する。

出力特性は本格的なスポーツモデル同様に、絶対的なパフォーマンスや高回転域での優れたパワー、そして最高速をも犠牲にしない仕様となっている。特性を絞り、狭い領域に特化したスペシャルエンジンとは異なり、エンジン回転全域といっても過言ではない広範囲に渡り高いパフォーマンスを発揮する。

Moto GPマシン譲りのテクノロジーとして、クランクの回転が車輪の回転と逆回転となるカウンター・ローテーティング・クランクシャフトを採用し、コーナーへ進入にする際のハンドリングと安定感が通常のものに向上しているという。さらに、俊敏なコーナーの切り返しに貢献するとともに、フル加速時のウィリー抑制にも効果があるなど、ライディングに於ける多くのメリットが得られるという。

V型4気筒のエンジンレイアウトとしながら、まるでV型2気筒のエンジンの様なパルス感と出力特性を生む、左右それぞれの気筒が短い間隔で点火するツインパルス・イグニッションを採用している。オールラウンダーに求められる力強いトルク感を生み、スムーズな作動を実現する他、心地よいエキゾーストサウンドを発生させ、ハイエンドモデルならではの最高の音質を演出している。

V型4気筒のリアバンクは、ライダーに近い配置となり、特定の状況によっては熱による負担が大きくなるため、リアバンク休止機能(シリンダー内の燃焼が行われない)を採用。渋滞路ではライダーの快適性を向上させ、燃費の向上にも繋がるメリットも備えている。

画像: ドゥカティ伝統のバルブ開閉システム「デスモドロミック」は、バルブの開閉を機械式に行うものだが、V4グランツーリスモエンジンのバルブ開閉システムはスプリング式を新たに採用。新に採用されたスプリング・バルブ・リターン・システムは、スプリングの反力を利用してバルブクロージングを行うもので、デスモドロミックと比較して使用されるパーツ点数が少なくコンパクトな設計を可能にする。

ドゥカティ伝統のバルブ開閉システム「デスモドロミック」は、バルブの開閉を機械式に行うものだが、V4グランツーリスモエンジンのバルブ開閉システムはスプリング式を新たに採用。新に採用されたスプリング・バルブ・リターン・システムは、スプリングの反力を利用してバルブクロージングを行うもので、デスモドロミックと比較して使用されるパーツ点数が少なくコンパクトな設計を可能にする。

スプリング式バルブ開閉システムで採用される、フィンガーフォロワータイプのロッカーアーム。バルブ自体の動きを阻害する重量増を招くシム等を採用しない、現代スポーツモデルに於いてはオーソドックスであり、シンプルな構造に貢献する。

画像: 耐久性と信頼性の両立を実現するために、最新鋭のテクノロジーと現在入手可能な最高の素材を使用したという。クランクシャフトには、硬化、焼き戻し、窒化処理が行われた高張力合金鋼が採用される。エンジン内のそれぞれの部品は、目に付くことはなくとも工芸品の様な美しい仕上がりをみせる。

耐久性と信頼性の両立を実現するために、最新鋭のテクノロジーと現在入手可能な最高の素材を使用したという。クランクシャフトには、硬化、焼き戻し、窒化処理が行われた高張力合金鋼が採用される。エンジン内のそれぞれの部品は、目に付くことはなくとも工芸品の様な美しい仕上がりをみせる。

画像: 前モデルのL型2気筒エンジンからV型4気筒へエンジンレイアウトを変更し、さらに新バルブ開閉システム等を採用したことで、エンジン単体のサイズで高さでマイナス95mm、前後長でマイナス85mm、幅でマイナス20mmとコンパクト化を果たし、重量ではマイナス1.2kgに及ぶ軽量化を実現している。同じV4レイアウトのデスモドロミック・ストラダーレと比較しても、厚みが薄いオイルパンを採用することで、エンジン全高を抑えることが出来、最低地上高の確保に貢献することに。また、ピストン径を2mmアップし総排気量1158ccへと排気量を上げられているが、最高出力は214psから170psへおさえられ、最高出力発生回転を13000 rpmから10500 rpmとする設定は、エンジン回転全域での乗りやすさを求めた結果である。

前モデルのL型2気筒エンジンからV型4気筒へエンジンレイアウトを変更し、さらに新バルブ開閉システム等を採用したことで、エンジン単体のサイズで高さでマイナス95mm、前後長でマイナス85mm、幅でマイナス20mmとコンパクト化を果たし、重量ではマイナス1.2kgに及ぶ軽量化を実現している。同じV4レイアウトのデスモドロミック・ストラダーレと比較しても、厚みが薄いオイルパンを採用することで、エンジン全高を抑えることが出来、最低地上高の確保に貢献することに。また、ピストン径を2mmアップし総排気量1158ccへと排気量を上げられているが、最高出力は214psから170psへおさえられ、最高出力発生回転を13000 rpmから10500 rpmとする設定は、エンジン回転全域での乗りやすさを求めた結果である。

画像: V4 Granturismo: Technological Beauty www.youtube.com

V4 Granturismo: Technological Beauty

www.youtube.com

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