語り:伊藤真一/まとめ:宮﨑健太郎/写真:松川忍

伊藤真一(いとうしんいち)
1966年、宮城県生まれ。88年ジュニアから国際A級に昇格と同時にHRCワークスチームに抜擢される。以降、WGP500クラスの参戦や、全日本ロードレース選手権、鈴鹿8耐で長年活躍。2020年からは監督として「ケーヒン ホンダ ドリーム エス・アイ レーシング」を率いてJSB1000などに参戦!
CBR650R
多用途性を持ちながら、ピュアスポーツを追い回せる!

Honda CBR650R
総排気量:648cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ4気筒
シート高:810mm
車両重量:206kg
メーカー希望小売価格:税込105万6000円~108万9000円
写真のカラーはグランプリレッド(108万9000円)
公道モデルに要求される接地感と安定性はクラス随一
試乗は高速コーナーが多いワインディングを含むルートであったため、CBR650Rの良さを再認識する良い機会となった。
高回転域を使う場面が多く、ピーク回転から下の1000回転くらいの域で、エンジンの「伸び」の良さを実感し、かなり長く全開を楽しんだが、パワーがもの足りないと感じるシーンはなかった。高回転域ではフリクション感が皆無で、エンジンの元気の良さがとても好ましい。4気筒の最大の魅力は高回転域にあると思うが、この辺りの味付けは非常に上手くできていると感じた。
全体のフィーリングは四輪に例えるとよく出来たスポーツセダン。ピュアスポーツと比べると公道のワインディングでは、スキルがなくても車両側がカバーしてくれるスポーツセダンの方が速い場合があり、CBR650Rは街乗りからワインディングまで楽しく速く走れ、実用的かつリーズナブルな一台であることが確認できた。
公道モデルに必要な繊細なタッチの良さがあるブレーキ。不要なABSの介入もなく前後ともにコントロールしやすい。

車体はフルバンク180km/hあたりまでの剛性バランスで設定され、スチールフレームがCBR650Rの走りの個性を演出している。

スリムな車体で、ツーリングにも使える自然な前傾ポジションは万人が許容範囲だろう。