ホンダ「CB1300SUPER FOUR/SP」誕生の歴史

Honda CB1300 SUPER FOUR SP
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量:1294cc
最高出力:110PS/7250rpm
最大トルク:12.0kgf・m/6500rpm
シート高:780mm(SP:790mm)
車両重量:268kg
燃料タンク容量:21L
タイヤサイズ(前・後):120/70ZR17・180/55ZR17
メーカー希望小売価格:151万1400円/写真の「SP」は188万5400円(消費税10%込)
今も圧巻の存在感を誇る大排気量ブームの立役者
国内では1990年前後から750cc超のビッグバイクが伸張。ここに投入する次世代モデルとして「プロジェクトBIG-1」のコンセプトが掲げられ、1992年にCB1000スーパーフォアがデビューした。ナンバー1の迫力を生み出すため、当時ホンダの水冷直4で最大の998ccユニットを採用。セクシー&ワイルドを目指したボディの造形もライダーを魅了した。
以降、CB-SFは王道モデルとして定着し、1998年には排気量を1300ccに拡大。2003年にはFI化に伴うフルモデルチェンジで現在につながる進化を果たした。現行型は2017年に登場し、排出ガス規制に対応しつつも9PSアップを達成。クラッチ操作を軽減するアシストスリッパークラッチの採用、サス、ブレーキの改良などで完成度を高めた。
さらに2018年には前後オーリンズサスやフロントにブレンボ製のモノブロック・ラジアルマウントブレーキキャリパーを装備したSPも追加投入されている。

CB1300 SUPER FOUR SP。オーリンズの前後サスペンションが奢られている。ブレンボのブレーキキャリパーも「SP」らしさを際立てる。

2014年型で5→6速化されオーバードライブを追加。騒音規制の緩和から排気音は迫力を増し、出力は101PS→110PSに向上。

SPはオーリンズと共同開発の前後サスペンションを採用。車高が10mm上昇し、ハンドリングも軽快になった。

2018年型で丸目のスーパーフォアもヘッドライトが省電力・長寿命のLED化となった。ウインカーも小ぶりのLEDタイプに変更。
ホンダ「CB1300 SUPER FOUR/SP」ショート・インプレッション(宮崎敬一郎)

CB1300SPはオーリンズとブレンボが付いたモデルだが、ポイントはその味付け。単純に考えれば、スポーティな走りでのポテンシャルアップを睨んでのグレードアップと考えるのだろうが、無理な背伸びをすることなく、SF本来の魅力は損なっていない。
フロントフォークは褶動抵抗の少なさによる初期作動の滑らかさが魅力で、強力な減衰を優しく発揮する。リアショックもバネの硬さや伸び代不足による突き上げは一切なく、前後ともセッティングが素晴らしい。ハンドリングにおける旋回性の変化はほとんどないが、接地性が良くなったので、安心感が非常に増している。SPにホンダが施した「魔法」は、SFの魅力を一層際立たせている。
CB1300 SUPER FOUR SPの足つき性・ライディングポジション
シート高:790mm(SP)
ライダーの身長・体重:176cm・68kg

大柄な割に足着きがいいのはシートが低いから。その分、ステップとシートは近めで、大柄なライダーには膝が窮屈に感じられるかもしれない。上体は大きなハンドルによって前傾が緩く、かなりリラックスできる。
ホンダ「CB1300 SUPER FOUR」ブランドヒストリー
ビッグバイクへの憧れを具現化した存在
CB1000/1300スーパーフォアは大別すると3世代に分類できる。初代はCBR1000Fの水冷直4を採用することから形造られ、ビッグバイクの迫力を生み出すため大径の18インチホイールやロングホイールベースが採り入れられた。
第2世代は1998年以降の1300cc+キャブレター仕様で、ツインショックの弱点を克服するダブルプロリンクサスを採用。2003年の第3世代では軽量化も図られ、エンジンで8kgなど計20kgのダイエットに成功。その後、2008年、2017年に排出ガス規制に対応しつつ細部を熟成、現在も進化し続けている。
1992年 CB1000 SUPER FOUR

初代CB1000スーパーフォアは、1991年の東京モーターショーでコンセプトモデルが公開。発売は1992年11月、最高出力は93PSだった。
1998年 CB1300 SUPER FOUR

車名はCB1300スーパーフォアに。エンジンは1284ccに排気量アップし出力は100PSに。リアにはダブルプロリンクサスを採用した。
2003年

フルモデルチェンジで20kgの軽量化を達成。エンジンはFIを採用するとともにロッカーアームを廃してヘッドをコンパクト化している。
2008年

2005年のABS仕様追加を経て、排出ガス規制に対応するためマフラーに触媒を設置。オートチョーク採用やシートなど細部も改良した。
2009年

ハンドルを変更しグリップが14mm手前、23mm上方に移動。またシート形状の改良とスリム化したサイドカバーで足着き性も向上した。
2014年

高速巡航時の快適性や静寂性を向上させるためにミッションを5→6速に変更。ホイールは10本スポークに変更され、マフラーは小型化。
2017年

小型2室構造のマフラーを採用し重厚なサウンドを実現、最高出力は110PS。フロントブレーキキャリパーの改良で効力が向上している。
文:オートバイ編集部、宮崎敬一郎/写真:赤松 孝、森 浩輔