文:二輪車新聞 野里卓也
※この記事は、『二輪車新聞』の公式ウェブサイトで2020年8月21日に公開されたものを転載しております。
取材したのは二輪用用品の販売と開発、それに車検やメンテナンスなどピットサービスも提供する企業で知られるNAPS(ナップス)。全国に数多く店舗を構えるが、その一つである埼玉店に勤務する柏原杏華さんが今回の主役。一級自動車整備士資格を保有している社員だ。
一級自動車整備士といえば整備関連の国家資格で最上級の資格であり、取得も4年制の専門学校へ入校する場合や、実務経験を経ながら三級/二級自動車整備士と段階的に取っていく方法がある。いずれも年数を必要とするもので、受験の難易度も高くなっていく。学科試験を担う日本自動車整備振興会連合会が発表した直近のデータ(2020年3月実施筆記試験)でも、合格率は5割程度という狭き門なのだ。
そんな柏原さんだが、今の仕事に就いたきっかけを聞くと「小さい時から二輪や四輪が好きで、お人形さん遊びよりも弟と一緒にミニカーに夢中になっていました。今も二輪・四輪愛好家のタレントが出る番組や、モトGPをチェックしています」というほどの乗り物好きだ。
幼少から大人へ近づくにつれ好きなことを仕事にしようと思い、整備士職があることを知り、資格取得のために高校や専門学校へ入学して、今に至るという。柏原さんも4年制の専門学校へ入学して資格を取得している。
ナップスへ入社したのも、さまざまな車両が車検やメンテナンスで入庫してくることで選んだそうで、現在はピットスタッフとして活躍中だ。「今は車検整備をメインに作業を行っています。ほかはクイック作業と呼ばれるオイルやタイヤの交換業務もあります」と話す。
ところで、柏原さんが勤務するナップスは女性スタッフが働きやすい職場となっている。勤務する埼玉店でも半数近くのスタッフが女性だが、子どもの体調不良などで急な欠員が発生したときでも周囲がフォローする体制になっている。産休や育休を利用したのちに復帰する女性スタッフもおり、他の店舗では三級整備士の資格を取得したママさんスタッフも在籍し、教育プログラムもしっかり整っているという。
柏原さんは「資格があるといって特別扱いはされたくないです。経験が大事ということで先輩から作業を一から教えてもらっています。最初は不慣れで時間が掛かってしまうのですが、キチンと正確に作業を行ってもらえれば良いと言われています」と話す。
同店の西村健太店長も「ピット作業はなにより経験です。いきなりハードな作業はさせません。覚えてもらうためにも順を追って指導しています。ちなみに二輪車の外装やヘルメットのガラスコーティング作業は女性ならではのきめ細やかな仕事ぶりが活きるので、多くの女性スタッフが専任されております。もちろん、柏原も担当者です」と、全幅の信頼を寄せている。
店舗も男女の区別なく能力に応じたキャリアアップが図れる制度も導入しており、働く人の向上心を高める取り組みにも力を入れているという。
仕事で嬉しかったことや、今後の目標について聞くと「作業に慣れて時間を短縮して、お客さまに感謝されたことですね。これからは効率よく作業をしてピット作業で収益を上げていきたい。でも、一番大事ことは過信しないこと。初心を忘れないことです」と話す。
整備全般が好きで、特にキャブレターのオーバーホールをしているときは無心になれるという柏原さん。今後のさらなる活躍を期待したい。
ナップス埼玉店
▽所在地=埼玉県桶川市末広1-1-42▽TEL048・778・3117▽営業時間=平日10時30分〜20時/土日祝日10時〜20時▼定休日=年中無休(年末年始・臨時休業日を除く)
https://www.naps-jp.com/
文:二輪車新聞 野里卓也
※この記事は、『二輪車新聞』の公式ウェブサイトで2020年8月21日に公開されたものを転載しております。