夏の終わりに、CT125・ハンターカブでロングツーリングに出かけてきました。その模様を前後編に分けてレポートします!

ドボドボっという耳慣れない音で目を覚ました。

テントの中でスマホを見ると午前2時を過ぎている。ゲップのような音も聞こえる。

テントから出る。空が異様に明るい。というか、キャンプ場全体がやけに明るい。満月が煌々と輝いている。

「なんでここにいるんだよ……」ため息が出る。

テントの3メートル後ろには、牛の群れがいた。

画像1: ホンダ「CT125・ハンターカブ」でゆくキャンプツーリング!【4泊5日1000kmの旅 前編】

当たり前だけどひたすら一般道! 志賀草津道路を目指す!

9月の頭、少し遅めの夏休みをとった。相棒はCT125・ハンターカブ。4泊5日の旅は、真夜中の街道ランから始まった。本当は朝方に出発するつもりだったが、ワクワクして上手く寝付けなかった。長旅の前夜はいつものことだ。

画像1: 当たり前だけどひたすら一般道! 志賀草津道路を目指す!

東京都心から、たんたんと幹線道路をつないでいく。CT125・ハンターカブのギアは、ガチャコンとカブ特有の音を立てる。

ギアの入りはとてもスムーズで、感触も心地いい。ただ、まともに乗るのは初めてで、どうしても2速から1速に落とすときの呼吸がつかめない。失敗すると強烈なエンブレがかかり、肝を冷やす。

まあ、長い旅のなかで馴染んでくるでしょ、気楽な一人旅、せかせかしてもしょうがない。シフトダウンが噛み合う回転数を探りながらマイペースに進んでいく。

街を離れると、もわっと緑の匂いが立ち込める。気づくと周りは田んぼとなり、夏の夜の香りに包まれた。

画像2: 当たり前だけどひたすら一般道! 志賀草津道路を目指す!

夜中から走り続け、お昼には志賀草津道路に着いた。

渋峠や頂上付近の天気は残念ながら霧雨。群馬県側は雨で、長野県側は快晴。尾根伝いのスカイラインはこれがあるから面白い。

画像: 酷道292号 志賀草津道路の渋峠。 ここは日本の国道でもっとも標高が高い場所。標高は2,172m。

酷道292号 志賀草津道路の渋峠。
ここは日本の国道でもっとも標高が高い場所。標高は2,172m。

画像: 長野県側は晴れている。

長野県側は晴れている。

画像: 志賀草津道路沿線の木戸池。湖畔にバイクが寄せられて、しかも柵がない。ライダーにうってつけのフォトスポット。

志賀草津道路沿線の木戸池。湖畔にバイクが寄せられて、しかも柵がない。ライダーにうってつけのフォトスポット。

画像: 志賀高原から奥志賀、さらにその奥にある目的地のキャンプ場を目指す。

志賀高原から奥志賀、さらにその奥にある目的地のキャンプ場を目指す。

キャンプ場へ入ったのは14時ごろ。

標高は1500mほど。キャンプ好きには知られた絶景の「カヤの平高原キャンプ場」だ。

画像3: 当たり前だけどひたすら一般道! 志賀草津道路を目指す!

「この前の週末は芋洗い状態だったんだけどね」と管理人さんはいうが、この日は平日でキャンパーは数組しかいない。ほとんど貸し切り状態だった。

キャンプをはじめてからおよそ17年、ここは過去最高レベルのロケーションだ。キャンプサイトの奥が牧場となっており、仮にどんなに混んでいてもこの景色はいつも変わらない。

画像4: 当たり前だけどひたすら一般道! 志賀草津道路を目指す!

牛たちはのんびりと草を食む。近くに寄れる場所へハンターカブを移動し、写真を撮った。「テントのそばに来てくれるとありがたいんだけどなあ」どうやら牛は日陰を好むらしい。

画像: Honda CT125 HUNTER CUB 総排気量:124cc エンジン形式:空冷4ストSOHC単気筒 最高出力:6.5kW(8.8PS)/7000rpm 最大トルク:11N・m(1.1kgf・m)/4500rpm シート高:800mm 発売日:2020年6月26日 メーカー希望小売価格:税込44万円 ※バッグは西野の私物(タナックス「キャンピングシートバッグ2」)

Honda CT125 HUNTER CUB

総排気量:124cc
エンジン形式:空冷4ストSOHC単気筒
最高出力:6.5kW(8.8PS)/7000rpm
最大トルク:11N・m(1.1kgf・m)/4500rpm
シート高:800mm
発売日:2020年6月26日
メーカー希望小売価格:税込44万円

※バッグは西野の私物(タナックス「キャンピングシートバッグ2」)

テントを立てて、何となくマットに横になるといつの間に眠っていた。

猛烈な雨音で目が覚める。外はまだ明るい。猛烈な通り雨だ。

急いでテントの外に出していた道具や椅子を取り込む。

そのときに大きなオマケをいただいた。

画像5: 当たり前だけどひたすら一般道! 志賀草津道路を目指す!

おそらくブヨ。キャンプ場につくなり虫よけスプレーをたっぷりと噴霧したのだが、雨できれいさっぱり流された。その隙を虫は見逃してくれない。

わずか5分ほどの間に脚と首、計15カ所もやられた。液体ムヒは気休めにしかならず、結局掻きちらし脚は血だらけ、爪の間は凄惨な事件後のような有様となった。

何よりも痒さが勝る。夕食などまともに作る気になれない。

「これを持ってきてよかったぜ」

バッグからホンダ社食のカレーうどんを取り出した。うどんもあるけど、ゆでるのがめんどくさくなり、水と徳用ウインナーを足した。以上、今晩の夕食終了。しかも全然食いきれない、夕食発朝飯行き。美味しいので文句なし。おやすみなさい。

絶景キャンプ場で過ごすひとりの夜

画像1: 絶景キャンプ場で過ごすひとりの夜

2日目の朝、快晴だ。

今日は東京からロケ隊がやってくる。目的はこのロケーション。そして今回ホンダから借りてきたCT125・ハンターカブだ。

その模様は、9月24日に発売の『ゴーグル』11月号をご覧いただきたい。

画像: ロケチームの撮影が終わったのち、松川忍カメラマンが「一人旅だと走ってる写真撮れないでしょ?」と撮ってくれた。優しい。

ロケチームの撮影が終わったのち、松川忍カメラマンが「一人旅だと走ってる写真撮れないでしょ?」と撮ってくれた。優しい。

画像: アップハンドルでポジションゆったり。

アップハンドルでポジションゆったり。

さて、ロケ隊が去ると、またひとりの時間だ。ここはスマホの電波が入らない。受付にいくとWi-Fiが飛んでいるのだが、せっかくなので久々の圏外を楽しもう。

昨日買った食料はまだ充分残っていた。山を下りずにさっそく一杯。

画像: 昼間っからビールを飲む幸せ、プライスレス。

昼間っからビールを飲む幸せ、プライスレス。

画像: 缶詰。楽、美味い、安い。

缶詰。楽、美味い、安い。

画像: 2日目は夕焼けが見られた。

2日目は夕焼けが見られた。

しかし、あまりにも暇だ。昨日と違い、気温もグンと下がった。腕時計に備わっている温度計は19.3℃と示している。

風はほとんど吹いていない。そうだ、焚き火をしよう。

画像2: 絶景キャンプ場で過ごすひとりの夜

焚き火が安定してくる再びやることがなくなった。スマホが使えないと時間が長くなる、お得だ。ほどよい寒さで焚き火の温もりが心地いい。照らされるハンターカブがよりたくましく見える。

ハンターカブとの旅は、思いのほかに快適だった。

画像: 奥志賀からキャンプ場への道の途中。

奥志賀からキャンプ場への道の途中。

画像: 志賀高原。

志賀高原。

画像: 途中で通った渋温泉周辺。

途中で通った渋温泉周辺。

画像: 昨夜は星が美しかった。

昨夜は星が美しかった。

画像: いい顔してるぜ。

いい顔してるぜ。

久しぶりの一般道ロングツーリング。学生時代には当たり前だったことが、33歳となったいま、とても新鮮だった。

仮に250ccで一般道ツーリングを志しても途中で誘惑に負けていたかもしれない。原付二種のロングランは腹をくくらなきゃならない。

それがよかった。ゆっくりと移り変わる景色を見ながら、じょじょにではあるが確実に自宅から離れていく。旅が点にならず、一本の線として記憶に留まる。

だからこそ金欠学生時代の旅は、いまも輝いているのかもしれない。

画像3: 絶景キャンプ場で過ごすひとりの夜

薪一束が完全燃焼したころ、空には分厚い雲が現れた。嫌な予感がする。通り雨が来る→虫よけスプレーの効果がなくなる→ブヨに刺される。この流れはもう嫌なんだ! 焚き火台に水を掛け、テントの中に入った。

真夜中に目を覚ますと、月明かりで大木の影ができていた。

画像4: 絶景キャンプ場で過ごすひとりの夜

牛は日陰を好む。人がテントから出てきても何ら驚くことなく、ある牛は草を食み、ある牛はフゴフゴと声を上げ、ある牛はドボドボと脱糞する。

テントからわずか3メートル先に牛の群れがいる非日常。それもプライスレス。

文・写真:西野鉄兵/走行写真:松川 忍

画像: 丑三つ時は、牛密時だ。

丑三つ時は、牛密時だ。

後編はこちら!

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