Photos:Teruyuki Hirano
'87年に4耐2連覇を達成したノービス仕様車
当時、ヨシムラは全日本の国際A級TT-F1、TT-F3両クラスに参戦する一方で、レーシングチーム・ミラージュ関東にノービスTT-F3仕様のマシーンを供給。ここに紹介するのは、鈴鹿4耐2連覇を達成した'87GSX-R400である。
1987 YOSHIMURA GSX-R400 4耐仕様
![画像1: '87年に4耐2連覇を達成したノービス仕様車](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/08/12/9f56f70dbcd233ac7fb32c7f671b6a8f71b452ab_xlarge.jpg)
こちらはTT-F1と同年式のTT-F3仕様車。'87年シーズンははヨシムラは国際A級TT-F3にも参戦していたが、これはノービス4耐で優勝した、ヨシムラ・ミラージュ・モトライオン&シエットGP-1レーシングチームのマシーン。
![画像2: '87年に4耐2連覇を達成したノービス仕様車](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/08/12/e65fae61dbfe630170e4a05815d52cdde9882eea_xlarge.jpg)
改造範囲の狭いノービスTT-F3レーサーにいかに効果的なチューアップを施していたかを、今はなきこのクラスを走った車両を通じてご覧いただきたい。
![画像3: '87年に4耐2連覇を達成したノービス仕様車](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/08/12/a3b736dff164522e591d8833a026ffb7330cbe49_xlarge.jpg)
ノービスクラスでは、フレームの交換は禁止されていた。このため、カウルやタンクを外したときのイメージは市販車に近い。
![画像4: '87年に4耐2連覇を達成したノービス仕様車](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/08/12/46aa8149df2baf7d46bee886c90ac4e11b3dffb0_xlarge.jpg)
ベースマシンは、シリンダーヘッドのみ完全なウォータージャケットを持つ水冷で、シリンダー以下は油冷と空冷の併用、このため、大容量オイルクーラーをフロントカウル内に装備。
![画像5: '87年に4耐2連覇を達成したノービス仕様車](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/08/12/80e34ae084b1cb08d14db3ed1d5c968acd21310a_xlarge.jpg)
STDのカウルステー用ボスを利用すると簡単に取り付けられたステアリングダンパー。当時はどのメーカーもTT-F3仕様への改造を考えて、公道用レーサーレプリカの開発を行っていた。
![画像6: '87年に4耐2連覇を達成したノービス仕様車](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/08/12/369cae1128473251c026e930f22a9bb8811509cc_xlarge.jpg)
前後ショックユニットの交換は認められていたため、キットパーツとして販売されていたヨシムラ・ショーワのフロントフォークを装着。上下のフォークブラケットは同じくキットパーツ。
![画像7: '87年に4耐2連覇を達成したノービス仕様車](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/08/12/99ec246e0f2a70d4550efa51ed58886dc998e9e9_xlarge.jpg)
フロントブレーキは、φ290㎜の鋳鉄製フローティングディスクとニッシン製対向式異径4ピストンキャリパーで、どちらもTT-F3キットパーツとしてヨシムラが販売していた。
![画像8: '87年に4耐2連覇を達成したノービス仕様車](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/08/12/8ffb81811d1bf301cbfede36cbe51d98eb9d8038_xlarge.jpg)
アルミ削り出し+ハードアルマイト仕上げの左右ステップは、ストリート用パーツとしても市販されていた。
![画像9: '87年に4耐2連覇を達成したノービス仕様車](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/08/12/d58ef0b7a5144225c4ac61704c89e7c32a884c21_xlarge.jpg)
STDではステップ下にピボットを置いて、長いロッドを介することで1ダウン5アップとした変速パターンだったが、フレームにピボットを取り付けて逆パターンに変更している。
![画像10: '87年に4耐2連覇を達成したノービス仕様車](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/08/12/d6997b015668d89a6893c78c66e68727fdc75b9f_xlarge.jpg)
キットパーツとして販売されていた、ヨシムラ・ショーワのリアショックユニット。この年ヨシムラでは、TT-F3用にヨシムラ・ショーワを、TT-F1用にはヨシムラ・カヤバをリリースしていた。
![画像11: '87年に4耐2連覇を達成したノービス仕様車](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/08/12/9b6ca1ca8729ad7615d32a45e60f07767474d210_xlarge.jpg)
ピボットに偏心カムを持つ“E-フルフローター”と呼ばれたリアサスペンション。ショックユニット以外は純正パーツを使用。
![画像12: '87年に4耐2連覇を達成したノービス仕様車](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/08/12/f652db60476591c9c84a74a88778cc8098c4bc8f_xlarge.jpg)
STDのスイングアームに、F1と同様にリアフェンダーを装着。
![画像13: '87年に4耐2連覇を達成したノービス仕様車](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/08/12/9a866c54d9e81c05f8649d68fe96c5a8f157fa59_xlarge.jpg)
φ210㎜ディスクや対向式2ピストンキャリパーとそれをフローティングマウントするトルクロッドなどは、STD部品を使用。
![画像14: '87年に4耐2連覇を達成したノービス仕様車](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/08/12/ee7ce4cf5ee5dc3d3c5a147cfbbce5cd7673e265_xlarge.jpg)
'87年にヨシムラが販売したコンプリートマシーン、トルネード(TT-F1用も存在した)とほぼ同等の仕上がり見せるエンジンまわり。右サイドは、クランクケースカバーも純正品のままだ。
![画像15: '87年に4耐2連覇を達成したノービス仕様車](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/08/12/f87acbd05d8ed64d7628126e51016e6749826b50_xlarge.jpg)
ジェネレーターを廃し、キットパーツを用いてフルトランジスタのバッテリー点火に改めたため、左側クランクケースカバーは、ヨシムラが製作した小型のスペシャルパーツに交換されている。
![画像16: '87年に4耐2連覇を達成したノービス仕様車](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/08/12/be38db0d186ed6d9563858c6808042a2d2e2f568_xlarge.jpg)
キャブレターは変更禁止だったため、ツインチョークの負圧可変ベンチュリー型のままだ。2気筒が1個のダイヤフラムを兼用する特殊な形式のため、セッティングにはずいぶん苦労したとのこと。
![画像17: '87年に4耐2連覇を達成したノービス仕様車](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/08/12/aea0114a86f531be8101a1d394b9c0a50dccbf26_xlarge.jpg)
排気系は、エキパイの1-2/3-4気筒をチャンバーで結んだデュプレックス方式。この年からベースマシーンにもメーカー純正で採用されたが、レース用のそれとはチャンバーの位置も容量も異なる。
![画像18: '87年に4耐2連覇を達成したノービス仕様車](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/08/12/63b1968c7f8f05499dac76e439b9a334a832ac85_xlarge.jpg)
アルミ製の胴体を持つサイレンサーは、キットパーツと同じ。
![画像19: '87年に4耐2連覇を達成したノービス仕様車](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/08/12/de51f4ac629198ab02b87f458fef9ada34f0835d_xlarge.jpg)
カムシャフトはむろんヨシムラ製だが、このマシーンにはキットパーツとして販売されていたものと同一品が装着されていた。
![画像20: '87年に4耐2連覇を達成したノービス仕様車](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/08/12/6463003dd5d93e33acd791a18661804f8857b78f_xlarge.jpg)
ポート研磨以外、大きな手を加えていないシリンダーヘッド。
![画像21: '87年に4耐2連覇を達成したノービス仕様車](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/08/12/2510d58b8997d50a9847d0b4050ae69c82dad134_xlarge.jpg)
ロッカーアームはTT-F1用とは異なり純正部品を使用。ただしバルブコッターとリテーナーは、F1用と同手法で軽量化がなされる。
![画像22: '87年に4耐2連覇を達成したノービス仕様車](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/08/12/81c4afd87e0c5e4b9e1f6cb715b4370c6ca0fe60_xlarge.jpg)
バルブ径は、ノービス仕様は拡大せず。国際A級は拡大していた。
![画像23: '87年に4耐2連覇を達成したノービス仕様車](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/08/12/67d8d72efd38bfc73685675cc45b75673324b062_xlarge.jpg)
クランクシャフトはSTD。ミッションはF1用と同様にして減速比の変更とギアの強化が行われていた。国際A級仕様車は、さらに1次減速をスパーギアに変更したクランクシャフトを使用していた。
![画像2: 鈴鹿4耐2連覇を達成した ヨシムラ「GSX-R400 4耐仕様」-1987年-【日本のバイク遺産】〜ヨシムラとモリワキ〜](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/08/12/8801845909d7a539929c59b699dba3970ffaeae5_xlarge.jpg)
![画像3: 鈴鹿4耐2連覇を達成した ヨシムラ「GSX-R400 4耐仕様」-1987年-【日本のバイク遺産】〜ヨシムラとモリワキ〜](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16782548/rc/2020/08/12/e1c2ee24e9eaa77bbe4c62f718b6c39c8d650892_xlarge.jpg)
純正品と同じ鋳型で鋳造した2本リングのピストンと、ボルト+ナット留めによる締結をボルト留めに変更した強化ロッド。
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この続きは「ヨシムラ」と「モリワキ」の歴代のレーシングマシンやヒストリーを一冊に集結した、日本のバイク遺産シリーズMOOK「ヨシムラとモリワキ」に掲載されています。