ビジネスユースからパーソナルユースまで、世界のあらゆるシーンで大活躍しているのがスーパーカブ。生産を日本の熊本に戻した新型スーパーカブ110は、カブらしいフォルムは残したまま各部をブラッシュアップ、バイクとしての魅力をさらに高めた。60年以上にわたって愛されてきた、偉大なるバイクの魅力を紹介しよう。

ホンダ「スーパーカブ110」解説&試乗インプレ(太田安治)

60年以上愛された理由を高い完成度が物語る

画像: Honda SUPER CUB 110 総排気量:109cc 最高出力:8.0PS/7500rpm 最大トルク:0.87kg-m/5500rpm 2020年モデルの発売日:2020年5月22日(この記事の写真は2019年までのモデル) メーカー希望小売価格(税込):28万500円

Honda SUPER CUB 110

総排気量:109cc
最高出力:8.0PS/7500rpm 最大トルク:0.87kg-m/5500rpm
2020年モデルの発売日:2020年5月22日(この記事の写真は2019年までのモデル)
メーカー希望小売価格(税込):28万500円

誕生60周年、累計生産台数1億台突破、新型登場と国内生産回帰など、スーパーカブ関連のトピックは2019年の大きな話題となった。これはスーパーカブが誕生以来60年以上世界中で愛され続けている証明だ。

現在50歳代以上のライダーなら、一度はスーパーカブに乗ったことがあるだろう。通勤通学に買い物、営業回りや配達など、1958年の登場以来、庶民の生活に寄り添って大ヒットした乗り物だけに、身近にあって当たり前の存在。初めてのオートバイがスーパーカブという人も多いと思う。

ただ、実用モデルだけに野暮ったく見えたのも事実。1960年代の学生はスポーツモデルで学校に乗り付けることがカッコイイとされていたし、70年代からはレジャーモデルやスクーターが台頭して、趣味性とは無縁なスーパーカブは働くバイクのイメージが強まり、若いライダーとの接点は減っていった。

画像1: ホンダ「スーパーカブ110」解説&試乗インプレ(太田安治)

80年代の空前のバイクブームで、スポーツモデルは一気に高性能化したが、スーパーカブはそうした時流に影響されず、完成度を追求。90年代に入ると高性能バイクに対するアンチテーゼとして、スーパーカブを洒落たストリートバイクとして扱うライダーが増え、97年には前後ホイールを14インチにしたリトルカブが人気を博した。

90年代に入ると国内需要の減少が顕著になる一方、東南アジアでの販売台数は右肩上がり。そこで2009年型の110から部品の半数以上をタイから輸入して熊本製作所で組み立てる手法を取り、2012年からは生産を中国工場に移管した。

現行型から再び熊本生産となったが、これは製造、流通のコストを見直した結果。新型スーパーカブが再びメイドインジャパンとなり、往年のルックスも取り戻したことを喜ぶファンは多いだろう。

画像2: ホンダ「スーパーカブ110」解説&試乗インプレ(太田安治)

僕は学生時代、90ccモデルで配達のアルバイトをしていたし、派生モデルにも乗っているので、遠心クラッチのロータリー式ミッションに違和感はなく、久々だったが乗り慣れた感覚。

ホンダの開発陣が細かな改良を積み重ねているのだが、ライディングポジションも加速感もハンドリングも、すべてが僕の覚えている「スーパーカブ」のままで、不思議な安心感に包まれる。

スーパーカブ110はパワーに充分な余裕があり、市街地で交通の流れをリードすることも簡単だし、急な上り坂でも失速するようなことはない。

画像3: ホンダ「スーパーカブ110」解説&試乗インプレ(太田安治)

荒れた路面や段差での安定感は小径ホイールのスクーターとは比べものにならないほど高く、車重バランスが後輪側に寄っているスクーターとは違うニュートラルなハンドリングで渋滞路も軽快に走れるし、接地感も伝わってくる。「働くバイク」と呼ぶにはもったいない扱いやすさだ。

日本のライダーなら、ホンダを世界的企業に押し上げたスーパーカブに一度は乗って欲しい。登場以来60年間も基本設計が変わっていない理由が判るはずだ。

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