要所を押さえることを実践した手堅い1台
カワサキZ1000Mk.Ⅱをベースにサンクチュアリー・アビリティが手がけた車両。アビリティはサンクチュアリーグループにありながらもオリジナルスイングアームやワンオフパーツを駆使するなどの独自路線も強めに見せてきたが、この車両はむしろサンクチュアリーグループによるオーソドックスな作りの方が印象に残ってくる。
同店代表の菅原さんによれば「この車両はその通りに、17インチカスタムのベーシック仕様です。フレームもサンクチュアリーST-2仕様(Z系でのストリート用補強の標準的なもので、Mk.ⅡではZより1カ所少ない12カ所)で、インライン処理やレイダウン加工も行って、エンジンは純正オーバーサイズ仕様」とのこと。
さらに見進めていくと、前後サスはオーリンズでフロントはサンクチュアリーのE×Mパッケージ、ステムとスイングアームはスカルプチャーでホイールはO・Zレーシング製アルミ鍛造のピエガ。サンクチュアリーがオリジナルコンプリートカスタム車のRCM製作で使う手法やパーツそのままと言っていい。
つまり、17インチに最適化したフォークオフセットやスイングアーム長を持ったパーツが使われているわけで、これならフレームやエンジンの作りと合わせて、心配するべき箇所はまずない。
しかも塗色はMk.Ⅱ純正の紺、マフラーも角Z、特にMk.Ⅱには間違いなくこれが合うと言わせるだけの魅力を持ったメガホンエンド……と、突出したパーツや色がない代わりに、ずっと見ていても見飽きない良さの方が前に出てくる。オーソドックス=定番の作りと言ってしまえばそれだけなのかもしれないが、定番を築き上げるには相応の労力や支持が必要でもある。カスタムは、他と違うこと。しかし今時はその一方で着実なものが欲しいという欲求も増えた。
冒頭のようにグループ内ではちょっとはみ出た感じでワンオフやオリジナルを手がけてきたかもしれない。でも、だからこそ見えてくる普遍の良さ、飽きなさというものもあるだろう。この車両からはそんな語りかけも感じられる。
Detailed Description 詳細説明
キャブレターはTMR-MJNφ36mm。点火系コントロールはマップ変更も可能なトレーディングガレージナカガワによるHIRユニットを使う。