それぞれのフレームに時代背景がうかがえる
現代のモデルと往年のモデル、両者を比べたとき、同じ4気筒スポーツでも、その違いが最も大きく出るのは車体関係、特にフレームかもしれない。
往年のモデルたちは、それぞれのコンセプトや仕様、テクノロジーの違いこそあれど、いずれもアルミツインスパーフレームを採用しているが、最新4気筒モデルであるZX-25Rは2気筒スポーツのニンジャ250同様、一部トラス構造を用いたスチールフレームを採用する。
KAWASAKI Ninja ZX-25R
「車体はスチールトラス構造!」

アルミツインスパー採用の理由は主に軽量・高剛性の実現。当時はバイクブームで販売台数が多く、高価な素材を投入しやすかったことも一因かもしれない。
一方、ZX-25Rのトラス構造のメリットは、剛性や強度の設計の自由度が高いこと。解析技術の進んだ現代のバイクだからこそ、剛性の最適化が図れる方式を選んだ、ということなのだ。

このストリップはCBR250RRのもの。ZX-25Rのフレーム構成はこれによく似ていて、メインビームにトラス構造を採用している。

フロントフォークにはショーワのSFF-BP・倒立フォークを採用。ブレーキはラジアルマウントキャリパー。時代の差がここにある。

マフラー側のスイングアームは排気レイアウトの自由度を高める湾曲タイプ。これは往年のマシン達が先鞭をつけた技術だ。
アイデアが光るアルミフレーム
HONDA CBR250RR(1990)

低重心化とマスの集中を狙った「LCG」と呼ばれる独特な形状のアルミツインチューブフレームを採用。4気筒エンジンを抱え込むようにマウントするレイアウトは、最新のリッターSSにも通じるものがある。

フォークこそ正立だが、ラジアルタイヤにダブルディスクと、装備は非常に豪華。

ガッチリした形状のスイングアーム。左右非対称アームの歴史はこの時代から始まった。
EXUP&デルタボックスで武装
YAMAHA FZR250R(1989)

当時のワークスマシン直系の技術と言えるアルミデルタボックスフレームを採用。ステアリングヘッドからピボット部に向かって幅が絞り込まれるユニークな形状のフレームで、スイングアームもアルミデルタボックスだ。

フロントブレーキキャリパーは異径4ポット。対向式ピストン採用でタッチも向上。

スイングアームはワークスレーサー・YZF750で培った技術が投入されたもの。
レーシーな仕上がりの車体
SUZUKI GSX-R250R(1989)

クラス最強を目指して生まれたGSX-R250Rのフレームは「ALBOX」と呼ばれた、スズキ独自のアルミツインスパーフレーム。ステアリングヘッドからピボット付近までストレートに伸びたメインビームが印象的だ。

ダブルディスクのローター径は290㎜。これはGSX-R400RやRGVΓと同じサイズ。

スイングアームはクラス初のサブフレーム付き。リアサスはリンク付きフルフローター。
クラス初の倒立フォークも採用
KAWASAKI ZXR250(1989)

ZXR250のフレームは「E-BOX」という名前のアルミツインチューブ。メインビームは目の字断面を持つ、ガッチリした押し出し材で構成されていた。クラス初の倒立フォークなど、足回りも豪華だった。

倒立フォークは250クラス初の装備。プリロードと伸び側の減衰力調整機構も備わる。

リアのスイングアームは、個性的な形状のライバルに比べるとシンプルな角パイプ。