全体としての完成度を高める細部のバランス
もはやカスタムファンにはおなじみだろう、ブルドックのコンプリートカスタム車、GT-M。
この車両は見ての通り角型Zの代表格、Z1000Mk.Ⅱを元にブラック主体で仕立てた1台となっている。

それにしてもこのところのGT-Mは、今までに増して初見からのまとまりがよく見える。ノーマル19/
18インチのZが前後17インチに、フォークも太く、スイングアームも換わっているのに、何の違和感もない。
「コンプリート、完成車として作ってるから当たり前でしょ」という意見もあるだろうが、それを超えたレベルに入った感さえある。間違いなくカスタムなのに、隙がないと言ったらいいだろうか。市販車でもこうは行かないレベルか。
「内燃機加工やフレーム加工も含めてほとんどが自社製作、自社作業ですし、使用パーツも基本的にはGT-Mのために作ったもの。ですからそれを組み合わせてできあがった時のバランスにも配慮しています。自然な感じと言うんでしょうか。その自然な感じがお客さんにもなじんでいくんでしょうし、とくにGT-Mを普段使いをされるような方には、そこも大事だと思っています」
そんな話をブルドック・和久井さんから聞いたことがある。
さらにその効果を高めているのは、細かい部分の作りだろう。ブレーキラインやオイルラインの配置や長さ、バンジョーやステー類の取り出し角度。今回のようなフルブラック仕立ての中にアクセントで入るカラーパーツ(チェーンアジャスターブロックのゴールドやバンジョーのオレンジ)もその一環だ。
「せっかくこうしたコンプリートをオーダーいただくのに、ラインがストロークで必要となるもの以上にだらっとしてたり、変な方向を向いていたらやっぱりいやですし、ほかにも変なことがあるのかもと思われかねません。
私はZが好きでこうした車両やパーツの製作をやってますから、機能もちゃんと確保した上で見た目も良くしたい。それは新しいパーツを作る時にも考えますし、多くの車両を作るうちにより洗練されてくる」(同)
魂は細部に宿る。使い古された言い回しかも知れないが、そうした細部までに行き渡った配慮によって、車両全体、1台のGT-M全体としてのクオリティはさらに、かつ日々高められているのだ。
Detailed Description 詳細説明

小ぶりなウインカーやマジカルレーシング製カーボンモノコックボディ・ミラー(ステー含む)も、Mk.Ⅱ自体が最初からこうだったのではないか...という絶妙なバランスで取り付けられる。ライトの裏もすっきりとしている。左右マスターシリンダーはブレンボのRCSタイプだ。

燃料タンクは同社オリジナルブランドのマッコイ製、アルミのZ1000Mk.Ⅱタイプ。当然改めての塗装仕上げがされるが、ラインのバランスもノーマル以上といえる。

シートもマッコイ・スプリームを装着。しっかりしたベース、ホールド感の高いインナー/表皮によってコントロール性も高まる。

フェンダーレス仕様となるテール部分。フレームの加工や補強もブルドックの自社内で行われ、完成時のまとまりも考慮されるのだ。

プラグコードなどの配線やオイルライン(シリンダーヘッド上からカム下に入るライン)やクラッチを油圧駆動化したそのフルードライン等、どれも決して目立たず、でも無理に隠した感もない自然な位置にある。エンジン自体はブルドック社内で内燃機加工まで行っている。

ブラックボディのキャブレターはFCR-MJNのデュアルスタック仕様。トップキャップは赤の縮み塗装、ドレンボルトも赤で合わせてある。

ブラックのフロントFフォークは、ブルドックスペシャルチューニングによる、ナイトロンNTR43/ラジアルマウント一体型、カシマコート×DLCコート仕様。

リヤサスはマッコイ Zシリーズ・ナイトロン/ブラックを装着。スイングアームはマッコイ目の字断面で、ホイールも同社オリジナル品のラヴォランテ。前後サイズは3.50-17/6.00-17だ。

排気系はWin MccoyフルチタンNEOで4-1レイアウトの外観に4-2-1の特性を作り込んでいる。サイレンサーもMccoy NEOのショートをチョイスする。

ステップキットもマッコイ・ブランド。この車両のように全体をブラックで統一する際に使える、オリジナルパーツが用意されているのも同社の強みなのだ。