先だっての海外発表会&試乗会において、驚異のパフォーマンスはアナウンスされておりますが、日本での公道デビューをイチ早く体験する事が叶いました! とにかく、ハイパフォーマンスを支えるテクノロジーを紹介していたら世が明けそうなので、公道での「初乗り感想」のみを紹介させていただきます。
GPマシン譲りのテクノロジーや車体造り等々は、ドゥカティWebにて!
https://www.ducati.com/jp/ja/bikes/panigale/panigale-v4
試乗したパニガーレV4Sの最高出力は214Ps
MotoGPにて活躍するデスモセディチGPエンジン同様の、V4レイアウトと排気量を同じくするエンジンは、Vツインエンジンに比べ部品点数増による『重量増』があって然るべきはずが、まるっきり感じることはない。左後方シリンダーヘッドの張り出しが視覚的にV4エンジンである事をアピールする程度の極端ともいえる程コンパクトにまとまっている。
ハイトを抑えたエンジンと股下に集約された燃料タンクのお陰か、スーパースポーツモデルとはいえオーバーリッターマシンとは到底思えぬ軽やかな車体となる。「マスの集中極まれり」といった具合に、実際の車体重量の手応えは皆無といっても過言ではないでしょう。サイズ感からいっても、SS600サイズといえるのでは?
エンジンは、Vツインパルスと称する不均等爆発を採用する事で、ツインの様でありV4独特のゴロゴロしたフィーリングを演出。ガッツンガッツンとパンチ力が強大なVツインエンジンと比べ、マイルドなVツインといった具合というか、不均等爆発なのにも関わらずお行儀良く整ったパルス感が優等生的でもある。
レーシングマシンの血統が色濃いポイントとして、ローギアがとにかくロング設定で、下手するとローギアのまま速度が100マイル(イメージであって、実際には146km/h程)近くまで出てしまう。さすが、エンジン回転数の全域をトルクフルにフォロー出来ない様で、極低回転域では薄情なほど薄いトルクで、低速でのターンで気を揉む事も……。
とはいえ、いざ交通の流れにのれば、十二分節度があり回転上昇とともに太いトルク感も味わえる。どのモードに於いても、アクセラレーター操作に対し過度に反応する事はなく、とても自然且つリニアなエンジン呼応は安心出来るのは嬉しい。だって、一度ブン回れば214Psだよ?
伸びやかに回るエンジンは、1万回転以上を常用したとしてもチカラを倍々に増す勢いで勢い知らずにレッドゾーンに誘う……。峠レベルではハッキリ語り尽くせない、計り知れないチカラの倍々ゲームかもしれない……。扱い切れずにお手上げかと思いきや、先にも述べた様に必要なチカラを手の内でコントロール可能なので、意外と気負いする事なくエンジョイ出来るほどだった。
今回試乗した「S」は、求めるエンジンや足まわりの演出、そして路面状況や体調等にもフィットさせられる幅広いセッティングが可能なのが特に嬉しかった。ガラッと表情や性格を変化させる、大胆にして繊細な機能は貴重な時間を贅沢に演出してくれることだろう。
取り急ぎインプレで失礼いたしました。
続く。
撮影:柴田直行 文:本誌・山口